祖父母とるか[宇宙の視点]
もうすぐ、つくと連絡を受けて待っていた。
流星と並んで待っていた。
「るかなのか?今は」
「ああ、やっと引き出せた。」
「催眠療法とかは、どうだろうか?」
「そんな事したら、月が完全に崩壊する」
「そうかな?それでも、月を呼び戻してあげたい」
「それは、星さんの為か?」
「そうだね、兄貴としては月の幸せを願ってやりたい」
「幸せを願うなら、催眠療法はやめといた方がいい。月には、キツすぎる。」
俺の言葉に、流星は納得してない、顔をしていた。
「一番、よさそうなのに」
「近道はよくない。ゆっくりが一番だ。」
俺は、流星の肩を叩いた。
「きた、きた」
るかと星さんが、やってきた。
「遅くなった。」
「それ…。」
二人の指を見つめて、流星が言った。
「これか、結婚式したから。な?星」
「うん」
その言葉に、少しだけ切なそうな表情を浮かべていた。
「催眠療法なんてのは、どうかな?」
「流星、だから、それはよくないって」
「それって、12歳の月を呼べたりすんのか?」
るかは、食いついた。
「うまくいけば、大丈夫だと思うよ。」
「医者が、そういうのを使ってどうすんだよ。」
「それなら、今すぐにやってもいい。婆さんと爺さんに、月を会わせてやりたいんだ。」
るかは、キラキラした目で流星を見た。
「うまくいかなかったら、るかも二度と戻ってこないかもしれないんだ。」
「それでも、婆さんと爺さんに会わせてやりたい。」
るかをとめたのは、星さんだった。
「嫌だよ。僕は、もう…。僕を抱き締めてくれる存在を失いたくないよ」
ポロポロ泣いている。
「ごめん。泣かないで。俺が、悪かったから。ね、星」
星さんにどう接していいかわからなくなっている。
なんか、面白いな。
「宇宙君、今、笑ったよね?」
「さあな?行くぞ」
「待ってよ。星、本当ごめんね」
「許さないから」
星さんは、膨れっ面で怒ってる。
るかは、どうしたらいいかわからずにうろたえている。
いつだって威圧するのは、るかの方だった
だから…。
泣かれたり怒られたりして、どうしていいのかわからないんだな。
コンコン
「失礼します。」
二人部屋に案内した。
四人で、入った。
「婆さん、爺さん。眠ったままなんだな。」
「ああ」
「目を覚まして欲しいな。」
るかは、泣いていた。
「覚えてるか、二人の事」
「月が初めてちゃんとした愛をもらったと認識したんだよ。宇宙君も、愛されていただろ?二人には」
「そうだな。俺達、三人をちゃんと愛してくれていたよ。婆さんと爺さんは…。」
「あいつは、会いに来たのか?」
「明日来るよ。」
「流星も泣いてるのか?」
「そうだね。二人には、いろいろ世話になったから」
三人で、二人を見つめているけど、目覚める気配はなかった。
「明日また来るよ。宇宙君。流星」
「ああ、そうだな。ちょっとだけ話さないか?」
俺は、四人で院長室にやってきた。
「コーヒーを4つ頼むよ」
院長室の前にいた長岡に頼んだ。
「何の話?宇宙兄さん」
「月の事だよ。このまま、月が戻らなかったら星さんは、るかと生きていく覚悟はある?」
長岡は、コーヒーを4つ置いて部屋から出ていった。
「そうしたいと思っています。」
「そう、じゃあ、こないだみたいな月ならどうする?」
「それは…。」
「難しいよね。自分もすり減ってしまうから…。それなら放れるか、駄目でも呼び戻す方法をとるかしかないと思うんだ。」
「催眠療法だよね?」
「そうだ。そうなった時、どちらを選びたい?」
「僕は、放れたくないです。」
「なら、呼び戻すしかないよね。それは、月が壊れる可能性がある事をわかっていて欲しい」
星さんは、考えながら頷いた。
「それを、簡単に使うのはやめよう。最後の手段にしたいと俺は思っている。」
みんな、納得をしてくれた。




