迎えに行く[氷雨の視点]
自分の部屋で、ボッーとしていた。
星とお揃いのネックレスを見つめていた。
どうすれば、僕は星を救えるのだろうか?
電話が鳴って、星が助けてくれと言った。
初めから、そのつもりだった。
ポケットに必要なものをいれた。
「パパ、出掛けるの?」
妻に声をかけられた。
「兄さんが、熱を出したからって」
「それは、大変ね。雨だから、気をつけてね。」
「ごめん。行ってくるよ」
僕は、降りしきる雨の中。
傘もささずに走り出した。
「星影公園にいるから」
「わかった。今から電車に乗るから」
電車に乗った、星をどこに連れて行ってあげればいいのだろうか…。
僕は、星影公園のある駅で降りた。
走って、走って、走って…。
星影公園にはいる。
座り込んでる、星を見つけて抱き締めた。
「氷雨、息ができないよ。」
「大丈夫、僕がいるから」
星は、しがみついて泣いてる。
「僕は、僕がいらない。男じゃなかったらよかった。憎いよ、この体が憎い」
「そんな事言わないで、僕は星を愛してるんだよ。だから、そんな風に言わないで」
僕は、星を強く抱き締めた。
「月といたくないよ。会いたくない。もう、お金をあげて出ていってもらおうと思うんだ。」
「そう、決めたんだね」
「うん。痛くて苦しくて辛いのは、もう嫌なんだ。」
星の言葉に、僕はある人にかける事にした。
「少し待ってくれる?」
「うん」
星を置いて、電話をかけた。
その人は、星影公園に来てくれると言った。
「星、月さんと終わらすつもりなら…。月さんにちゃんと話をすべきだよ。僕も一緒にいるから。ね?」
「そんなの、酷くない?忘れてるなら、思い出す必要なんてないよ。」
「それでも、話す方がいいよ。話したい事だけでも伝えるべきじゃないかな?」
僕の言葉に、星は首を横にふった。
「大丈夫?ずぶ濡れだよ」
「流星さん?」
「僕が呼んだんだよ。連れて行ける場所がなくてね」
「行こうか」
流星さんは、僕と星を車に乗せた。
「どこに行くの?」
「秘密基地だよ。ね、氷雨君」
「はい」
「氷雨と流星さんは、仲良くなったんだね。」
「飲み友達だよ。」
「そうか、よかった。」
「涙、少し止まったんだね?」
「うん」
流星さんは、車を運転してくれている。
「マッチングアプリが原因?星さんが泣いていたのは…」
流星さんの言葉に、星は頷いた。
「やっぱり、結婚しようとしてる?」
「たぶん」
「じゃあ、俺が宇宙兄さんと何とかするから。任せて」
「もういいんです。僕は、月を解放する事にしたので」
「解放って、月は、星さんを愛してるんだよ。今だって、どこかにはちゃんと…。」
「そのいつかや奇跡を僕は、待てないみたいです。嫌悪感を向けられる事が耐えられないみたいです。」
「そんな目を向けてるのか、月は…。」
「はい。それが、どうしようもないぐらい我慢が出来なくて。僕は、月といられないんです。それがなかったら、いれるんですが…。」
流星さんは、車を止めた。
「それは、辛いね。俺もわかるよ」
花町にあるマンションに止まった。
「どうぞ」
後部座席を開けてくれた。
「星は、幸せになっていいんだよ。月さんじゃない誰かを見つけたっていいんだよ」
「そうだよ。縛られる必要は、星さんもない」
7階を押した。
エレベーターを降りて、鍵を開けた。
ガチャ…。
「たぶん、驚くよ。これは、俺と氷雨君の秘密基地だから…。」
扉が、開かれた。
星は、驚いて泣いていた。
ひかれると思ったのに、星はひいていなかった。




