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嫉妬 3
「慎二先輩がいた時は大人しかったのに…。慎二先輩、ほんと帰ってきて欲しい…」
バーガーショップのテーブルに突っ伏する私の手を優輝が捕らえる。顔を上げると、不機嫌な顔をしていた。
「優輝…?」
「他の男、名前でなんか呼ぶなよ…」
目は逸らしているが、指は絡められている。
「俺が他の女のこと、名前で呼んでも亜樹は平気なわけ?」
「へ、平気じゃない…」
確かに、ちょっと嫌かも…。
「名前呼びは俺だけ。いいね?」
私の目を見て念を押す彼の表情は真剣だ。
「うん…。でも、親戚なら問題無い?」
「春樹のこと。従兄弟だし、今更名前じゃないのは気持ち悪くて…」
「んー…。親戚なら、ギリギリセーフ。嫌だけど」
「嫌なんだ」
苦笑いしか出来ない。
妬いてくれるのは嬉しいのだけど。
愛されてるのが実感できて嬉しいのだけど。
優輝の嫉妬はたまに不便だ。




