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夏の雨 12
二人きりであることを意識した途端、緊張が走る。
「そんなに緊張しなくても、取って食わないって」
優輝が苦笑いする。
「き、緊張なんてしてないってば!」
頬が紅く染まるのがわかった。
慌ててサンダルを脱ぐと躓いて転びそうになって彼の腕に支えられた。
「慌て過ぎ」優輝は笑いながら言うとそのまま私を腕の中に捕らえた。私のうなじに顔を埋めると深呼吸をした。
「亜樹の匂い、落ち着くな」体を離すと手を取って私を部屋へと導いた。
優輝の部屋に入る。
先日来た時とほぼ同じ感じだ。同じ部屋なんだから当たり前なのだろうけど。
「麦茶、飲む?」
「うん。いただきます」
麦茶ぐらい出しなさいとこないだお母さんに言われてた彼はその通りに冷たい麦茶を持ってきてくれた。
やっぱり素直だな、この人は。




