88/168
夏の雨 8
優輝の家の最寄りの駅。
待ち合わせの10分前に着くと、優輝ももう着いていた。
改札を抜けて優輝に駆け寄る。
久しぶりに見る優輝の顔。
なかなか言葉が出てこない。
「……おかえりなさい」
私は上手く笑えているだろうか?
「…ただいま」
ゆるく口角を上げると私の手を取った。
繋がれた手に力を込めると体が傾いた。
目の前に優輝の胸があった。腕に包まれると泣きそうになった。
優輝の胸に顔を埋めて、背中に手を回した。しばらくそのままでいたけど、すれ違う人の視線が気になり出した。
「優輝…その、視線が…気になるんだけど…」
「…行こうか」
手を繋いで歩き出した。




