82/168
夏の雨 2
一瞬の隙を突かれた。
……パン!
小手を打たれた。
審判の旗が上がる。
私の試合は、そこで終わった。
悔しい悔しい悔しい!
隙を突かれたのは私だ。
一瞬の隙を許した。
悔やんでもしょうがない。でも悔しい。
大事な試合で、こんな終わり方するなんて。
涙が止まらない。
女子部員が私を囲んで慰めてくれるけど、お願いだからほっといて欲しい。泣かせて欲しい。
いつまでも泣いていられない。
みんなの目もあるし、何とか泣き止む。
慎二先輩の応援行かないと。
防具を片付けて身なりを整えて。
男子の試合会場に着くと慎二先輩がもう防具を付けていた。




