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薫り 13
2人きりで、彼の部屋で、抱き締められてキスとか。
シチュエーションに対してキャパオーバーな私は全身にも、唇にも力がガチガチに入ってしまう。
「亜樹、力抜いて」
唇を離すと優しく微笑まれる。唇が離れたと同時に、顔から力が抜けると、間髪入れずにもう一度唇が重なる。ゆっくりと、角度を変えて何度も重なる。
段々と噛み付くようなキスに変わると、ただ優輝にしがみつくしか出来なくて。息が苦しくて吐息が漏れた。
「亜樹…貰ってもいいか?」
熱を孕んだ目で見つめられる。
拒絶するという選択肢は全く浮かばなくて。
そういう事をするなら、初めては優輝がいい。
こくんと頷くと、ラグの上にそっと押し倒された。
「俺もね」
「うん?」
「初めてだから。こういうの」
「えっ」と驚きの声を出そうとしたけど、声を出す前に唇を塞がれた。唇が重なったまま目を閉じると、服の上から優輝の手が膨らみに触れた。
彼の手に包まれ、指先の力を感じる。心臓はもうとっくに破裂しそうだ。




