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薫り 12
その、つまり…。
今、私がいるのは彼氏の部屋で。
その彼氏に抱き締められている、ということは…。
私だって、そこまで無知じゃない。
彼の家で、部屋で2人きり。
そういう事を、するのだろうか…。
「俺ね。正直言うと、彼女が出来たのは初めてじゃない」
でしょうね。ちょっとショックだけど、予想はしてたから良しとしよう。
「でも、こんなに自分に余裕が無くなるぐらい、好きになったのは亜樹が初めてなんだ。部屋に連れて来たのも、亜樹が初めて」
「そうなの?」
素直に嬉しくて、顔を上げたら唇が重なった。




