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薫り 3
「んー…何か、柔らかい感じになったというか…。彼氏でも出来た?」
「ちょっ…⁉︎栗原さんっ!」
小声で慌てる。
「…図星だな」
イケメン彼氏がぼそっと呟く。
「…ごゆっくりどうぞ」
顔を紅くしつつ、持ち場に戻った。
栗原さん…自分こそ彼氏が出来てから雰囲気変わったくせに。他人の変化には敏感なものなのだろうか?
15時になり、短い休憩に交代で入る。
スマホを見ると、優輝から大きな魚の画像が届いていた。今日も釣りに行ってたみたいだ。
『大きいね。魚の名前は?』
すぐ既読が付いた。
『ブラックバス。キャッチアンドリリースするから食べないやつなんだ』
『今日は川?海?』
『湖。大学生の従兄弟と一緒に来てるよ』
『楽しそう。私、今バイトの休憩中』
『バイト、何時まで?』
『17時まで』
『俺、行こうかな。亜樹の喫茶店』
『え、無理』
『えー何で?』
『落ち着かないから』




