66/168
薫り 1
日曜日。喫茶店でのバイトの日だ。
朝から入って夕方まで頑張るか、夕方から閉店まで働くシフトの2択で。高校生の私には夕方からのシフトは選択肢には無く。
朝早くからモーニングを楽しみにやって来るお客さんとの攻防戦だ。店員同士でも、お客さんとものんびり会話する余裕は無い。
それでも、昼間になると店内は落ち着く。
交代で昼食を兼ねた休憩を終えてホールに戻ると、夕方のシフト組の栗原さんが彼氏と思われる人と一緒に店内に入って来た。
「いらっしゃいませ。そちら窓側のお席どうぞ」
栗原さんは微笑んで、背の高いイケメンと共に窓側のソファ席に座った。
お冷とおしぼりを盆に載せて注文を取りに行く。
「失礼します。ご注文お決まりですか?」
「デニッシュアイスを…生クリームでお願いします」




