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流星群 20
優輝と土日に出掛けたことはなくて。
彼の制服姿しか見たことが無い。
スポーツブランドのTシャツとジャージという、さっきまで部活やってました感満載の彼を見るのも初めてで。すごく新鮮。
私に気がつくと見慣れた笑顔をこちらに向けた。
「亜樹!…ジャージ、何か新鮮だな」
「私も優輝のジャージ見て同じこと思ったよ」
「合同体育で一緒になること無いもんな」
「寝袋、ありがとうね。私の分持つよ」
天体観測用の寝袋の話をした時、優輝は「俺2つあるから持ってくよ」と言ってくれていたのだ。
「いいよ、そんな重いもんじゃないし」
「でも、優輝ばっかり大荷物じゃん?」
寝袋は嵩張るらしく、今から旅行でも行くのだろうか?と尋ねたくなる大荷物だった。
「大荷物は釣りで慣れてるから気にしなくていいの」
頑なに寝袋を渡そうとしない優輝に、私は「ありがとう」と小さく言うしかなかった。
「そのジャージは部活やってた時のやつ?」
ジャージのポケットの近くに優輝の名前の刺繍が入っていた。部活でジャージを注文するとサービスでいれてくれるやつだ。
「そう、中学のサッカー部のやつ」




