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火夏星 9
階段を降りている途中だった。
2人とも立ち止まる。
「今なんて…?」
「俺達、付き合お」
「えー…っと?…付き合おうって言ったの?」
「そう。付き合ってれば一緒に登校しても問題無いんだろ?」
「そうだけど…」
「じゃあ、決まり」
「いや決まりって!」
いやいやいやいや。
頭がついていかないぞ。
「新城さん、誰か好きな人でもいた?」
「いないけど…」
「じゃあ問題無いじゃん」
「いや問題あるって!桐生くんこそ、好きな人とか…。そもそも私が彼女でいいの?」
「新城さんが俺の彼女になるの、嬉しい」
桐生の笑顔が夕陽に照らされる。
どうしよう。
この人の笑顔、結構好きかもしれない。