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火夏星 7
「俺が人気があるかどうかは知らないけど。そんなの気にしなくていい」
「気にしないっていうのは…ちょっと無理があるかな」
亜樹は苦笑いを浮かべる。
「新城さん」
亜樹が顔を上げると、彼は真剣な顔だった。
「何か言われたら、俺に言って」
「それ、なんかチクるみたいだし…」
「新城さんは何も悪くないから。何も悪い事してないのに何か言われるっておかしいだろ?」
「そう…だね」
「最近は朝、大丈夫?」
「朝…?」
「電車とか駅とか…。変な奴に絡まれたりとか」
「…あれ以来は無いよ。念の為、電車の時間とかドアの場所とか変えたから大丈夫っぽい」
「だからいないのか…」
「え?」
「あの電車、俺もいつも乗ってたから。最近新城さん電車で見ないからどうなのかなって思ってた」