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火夏星 6
「いないよ。何で?」
「新城さん、彼氏いたら今日俺と勉強してたのまずかったかなーって思って」
「桐生くんは?」
「ん?俺?」
「彼女とか、いるの?」
「気になる?」
「気になるっていうか…。もしいた場合、私と2人だけで勉強してたのはまずかったんだろうなって」
まずいどころではない。
桐生くんと付き合ってないであろう松田さんからもう既に亜樹は敵視されている。
「そういう人は、いない」
「…付き合ってる人はいないってことね?」
「そう。そんなに気になる?」
言うと、彼は少し笑った。
「…気になるのは女の子達の視線かな」
窓の外を見て亜樹はため息をついた。
「…何か言われた?」
「…うーん…。直接何ってわけでは無いんだけど…」
「嫌なこと、言われた?」
「…桐生くん、人気があるから何か言う子がいるかもって忠告された…ってぐらいよ」