32/168
火夏星 5
「!…ああ、ごめん、何だったっけ?」
「もうすぐ図書室閉めるみたいだけど…。そろそろ出る?」
気が付けば図書室でまだ勉強していたのは亜樹と桐生の2人だけだった。
他の人達はもう既に帰っていたらしい。
「もうそんな時間だったんだ。帰らなきゃね」
慌てて勉強道具を鞄に片付ける。
図書室から2人並んで出ると、廊下に人の気配も無く、しんとしていた。
「部活以外で学校にこの時間までいたの、初めてかも」
「俺も。部活やってないけど、学校終わったら基本すぐ出るからな」
「校舎に人がいないと、こんな静かなんだね」
「…今、もしかして俺らしかいないんかな?」
「なあ、新城さん」
「うん?」
「彼氏とか…いるんか?」