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火夏星 1
テスト前は1週間部活が休みになる。
帰り支度をしていると、メッセージアプリに通知があることに気付いた。
『新城さん、今日部活ある?』
桐生くんからだ。
『今日からテスト休みだから部活無いよ』
『数学教えて欲しいんだけど。今日予定ある?』
『特に無いけど』
『じゃあ図書室で待ってる』
急遽、桐生くんに数学を教えることになってしまった。
亜樹は決して数学が得意というわけではないのだけど。
寧ろ亜樹は文系だ。
「亜樹、帰ろっか」
梨沙が声を掛けてきた。
松田さん達の手前、念の為小声で梨沙に話す。
「今日、図書室に行くことになっちゃって」
「どうしたの?」
「…桐生くん。数学教えて欲しいって」
「あら」
2人、顔を見合わせる。
「うん、了解」
「梓にも小声でさりげなく伝えておくわ」
「ありがと」