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雑音 6
「受験はそれでいいかもだけど。今度の期末はどうすんの?」
「ゔっ…新城さん、テスト前数学教えて?」
「いいけど…。私に教わる前に授業ちゃんと受けようよ?」
「…佐藤の数学、眠過ぎるんだよ」
桐生は目を逸らすと低い声でポツリと言った。
佐藤先生の数学は淡々とした喋りで、意識不明になる生徒は数多い。
「…うん、確かに子守唄だけどさ」
「だろ?じゃあ決まりだな」
「ねぇ、桐生くん」
浅田さんが声を掛ける。
「お、浅田」
「新城さんと仲良いんだ」
桐生と亜樹が顔を見合わせる。
「仲良いっていうか…」
「…別に良くね?新城さんと仲良いと何かあるの?」
「いや別に…何も無いけど」
「俺、もう行くわ。新城さん、またね」
「う、うん…」