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つままれる 2
彼はまだ固まっている…。
ドアを開けたら人がいるとは思っていなかったのだろうか?
いやいや、びっくりしてるのは寧ろこっちの方だから!
亜樹はなかなか動き出せない頭の中を何とか回転させた。
「えっと…浅田さん達…かな…?」
彼は浅田さんを筆頭とする派手男女グループとよくつるんでいる。
「今はいないみたいだけど…?」
教室内を確認して「桐生」とよく呼ばれている彼に告げる。
やっと我に返ったらしい桐生くんの表情がようやく戻る。
「ねぇ、このクラスにさ、嫌いなやついない?」
「え?何で?」
文脈おかしいし。
唐突過ぎるし。
いなくも無いけど。
どちらかと言うと、このドアを開けてしまった桐生くんに良い印象は全く無いけど。
そのまま、またしても絶句する亜樹に桐生は言い放つ。
「そうか、浅田だな…」
「え⁉︎ちょっと…!」
そのまま桐生くんはどこかへ行ってしまった。
呆然とする亜樹。
浅田さん、正直好きも嫌いも無いんだけど。
関わり無いし。
余計な事言わないで…!