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雑音 1
クラス中の視線を感じた。
一瞬たじろぐ。何事だろう?
「えっと…おはよう…」
松田さんがすぐに寄ってきた。
派手なグループの子だ。
普段亜樹と絡むことはあまり無い。
「新城さん、今桐生くんと随分親しげに話してなかった?」
「あー…話してはいたけど…」
「どういうこと?」
「んーと…親しげに話してたら何かまずい?」
「まずくは無いけど。珍しい組み合わせだからびっくりしちゃって」
痴漢に襲われかけてた話なんかしたくない。
「ちょっと、ね。あっ!ねぇ、数学って宿題出てたよね?」
「え?宿題なんてあったっけ?」
「あったと思うよ。ねぇ、梨沙、数学の宿題って黄チャートの昨日の所だよね?」
「うん、私やってきた」
「まずい!私やってないや」
松田さんが自席に戻っていった。
上手く誤魔化せたかな?