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葉桜 5
「あー…昨日は、何か…ごめん」
恥ずかしかったらしく、彼は顔が少し赤くなった。
「ドア開けちゃったこと?…うん、昨日はびっくりしたよ」
ふふっと亜樹は笑った。
「あの後頭が混乱し過ぎて、授業何にも頭に入らなかったよ」
くすくす笑いながら彼に言う。
「俺も」
「桐生くん、固まってたもんね」
「新城さんもだろ」
「桐生くんのせいでしょ」
「人がいるだなんて思わなかったんだよ」
「いるんですー。私、あの時漫画読んでたの」
「何の漫画?」
「三国志。今うちのクラスで回し読みしてるの」