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記憶 7
閉館30分前。
小腹が減ってきたな。
この県立図書館は20時が閉館時間だ。
今日の晩御飯、何作ろうかな。
貸出カウンターに座ってエントランスの方をぼんやり見てると、背の高いスーツの男性が入館した。
あの人…貸し出し間に合うかな?閉館15分前には貸し出し締め切っちゃうんだけどな。
パソコンのモニターに目を移し、作業に戻る。
「すみません」
「はい」顔を上げるとさっきのスーツの男性だ。
今朝夢で見た、大好きだった人とそっくりだ。
そんなはず、無い。
「貸出予約していた、桐生ですが。昼間にお電話頂いて…」
その低音が私の鼓膜を心地良く揺らすところまで、もういっそデジャヴだ。
「貸…し出し…予約…ですね。ええと…桐生さん…」
業務中だ、私。落ち着いて!
「…あった。こちらの本でよろしいですか?」




