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つままれる 1
嘘でしょ…。
この人、いつか開けちゃうんじゃないかとは思ってはいたけど…。
本当に開けるとは…!
私、新城亜樹は今この瞬間、人生で一番固まっている。
思考停止して、言葉が出てこない…。
対するは、この人…。
最近このクラスの教室によく来る男子。
背が高く、格好いい人の部類に入る。
しかし、派手な感じで、気安く近づける感じの人ではない。
日々剣道場で練習に精を出す亜樹とはほぼ無縁の人だ。
ドアをガラッと勢い良く開けて、大きな声で友達を呼ぶ。
最近は連日来ていた。
教室の廊下側、一番前の席に座る亜樹のすぐ真横には教室のドアがある。
この教室のドアは2枚とも左右に動くのだが、基本亜樹の目の前の片方のドアしか通常使われない。
どこの教室でも生徒の数はほぼ同じで、ドアに関する事情も同じであるはずなのだが…。