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漫才 コント

『プロの報酬』



登場者 B(ボケ) と T(ツッコミ)



BT 「どーも」

   観客に一礼


B 「では、これから漫才を始めたいと思います」


T 「そんなこと、改まって言うこと無いでしょ?みんな、分かっててここに観に来てるんだから」


B  観客を見渡し、後にTを見て

  「そうなのですか?」


T 「そうですよ!僕ら、それが仕事なんですから!」


B 観客を見渡し、後にTを見て

  「仕事?」


T 「それ以外、何があるの?これでギャラもらって飯食ってるんでしょ?」


B 「これで?・・・違うでしょ。これは副業で本業はバイトの・・・」


T 「逆!それ逆だからね!!志の低い芸人は売れないよ!!こっちが本業!!ちゃんとギャラも出てるでしょ!!」


B 「ああ、そうでした。こっちはスズメの涙ほどのギャラしかもらえない仕事でしたね・・・」


T 「そういう事言うな!今後の仕事が無くなるぞ!!!」


B 「無くなるって・・・泣く泣く仕事するよりマシでしょ!?」


T 「泣いて無い!泣いて無い!!」

  何者かに向かって

  「いつも感謝してますよー!!」


B 「誰に向かって言ってるの!?」


T 「今、それを言えるか!

この後、楽屋に戻ったら覚えとけよ!!」


B 「なんだか乱暴だなぁ。

まあ、怒ったのなら、しょうがない・・・」

  Tに向き直り、頭を下げ

  「顔だけは許して下さい」


B 「何かリアル過ぎるから止めて!」


B 「顔をやられたら、商売に成らない商売なので!」


T 「ややこしい言い方だな!!」


B 「次からは、本当に謝ります!!」


T 「謝って無いのか!!」


B 「実は私、日頃、思ってる事があるんです」


T 「何だ!?突然だな!

さっきの僕の怒りは、あなたに受け止められずにどこに行った訳!?」


B 「話を聞いて下さい」


T 「それは、あなただろ!!」


B 「いいですか?もう一度言います。 私。 日頃。 思ってる事。 が・・・あるんです」


T 「あ~はい!分かったよ!!日頃、思ってる事ね!!」


B 「で?」


T 「で!?・・・で?って何?」


B 「え?今、解ったよ!と、言いましたよね?つまり、私の思ってる事が、解ったって?」


T 「解るかい!僕は読心術を心得てたり、心理学者でも無ければ、ましてや・・・!」


B 「ましてや、超能力者でも無い!っと。」


T 「あなたは超能力者か!?」


B 「いえ。滅相もない」


T 「でしょうね!それなりの付き合いがあるから知ってるよ」


B 「あ・・・はい」


T 「何で、上から目線の返事なの!?」


B 「では、本題に戻って宜しかったでしょうか?」


T 「いきなりの展開戻しと過去形だね!?」


B 「私、日頃、思ってる事、があるんです」


T 「それね。で?それは何ですか?」


B 「はい。それは『人が笑うとは何か!?』という疑問です」


T 「テーマが重いな!!でも、其の答えは『面白いから笑う』んだろ?」


B 「・・・はい」


T 「何?その人に質問しといて『そんな事知ってる』みたいな返事は!」


B 「では?」


T 「何?続きがあるの?」


B 「はい。では『面白いとは何か!?』」


T 「ええ!?なんか、禅問答みたいになってる!!あなた、自分の職業知ってて言ってるの!?」


B 「はい。スズメの涙をもらう仕事を・・・。」


T 「違うでしょ!!もらうのはお金!」


B 「は?」


T 「スズメの涙をもらってもしょうがないでしょ!?スズメの涙程度のギャラをもらってんの!!」


B 何者かへ向かって 

  「言われてますよー!」


T 何者かへ向かって

  「すいません!本当にすいません!!」


B 「『本当に』とか言うところが、何か本当っぽくないですね」


T 「『ですね』じゃないだろ!あなたも謝りなさいよ!僕らコンビの芸人で同じギャラを分け合ってんだから!」


B 「そうでした。あなたは右目で、私は左目・・・」


T 「またスズメの涙か!」


B 「いつも右目の涙の方が先に出て量も少し多い・・・」


T 「半分こ!いつも二人は半分こ!!折半!!」


B 「だったかな?」


T 「『だっかかな?』じゃないよ!そうでしょ!!」


B 「この前のギャラを2で割ったら最後に端数で一円出たの、あなたが取りましたよね!?」


T 「そこ!?そこに不満があったの!?

ごめんね!でも、一円は最小金額だから!割れないからしょうがなかったからさ!」


B 「50銭どうしで分ければ良いでしょ?」


T 「ええ!?株や為替では出てきて有効な額面ですけど、現物となると1銭硬貨とかで払いますか!?」


B 「1銭硬貨!?」



T 「昭和の始めまでバリバリの現役で使われてた硬貨ですよ」


B 「そんな、昔はブイブイ言わせてたみたいに言われても・・・」


T 「そんなつもりは、全く無いよ!事実とか史実を言っただけだからね!!」



B 「じゃあ!それにしてください!!」

  お金をもらおうと両手を差し出す


T 「何だ?いきなり食い付いたな!」


B 「1銭硬貨は発行数が多いものの!」


T 「ものの!?」


B 「それでも古銭取引価格では一枚数十円程度はしますから!程度の良いのなら更に数十円上乗せされるので、それが50銭ももらえるなら!!」


T 「額面が同じでも、実質のギャラが勝手に増えてるじゃないかい!!」



T 「もう、いいよ」


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