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死した竜の物語  作者: 獅子貫 達磨
第四章 帝国を目指して
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39話 コラプスケロベロス

かなり間が空きました。

申し訳ないです。


※修正

四章19話33話でルガロ⇔帝国統一貨幣のやり取りで一部計算が間違ってたので修正しました。


俺が模擬戦とはいえ苦戦させられたエヴァーンとの戦いで使われた死神の魔剣(レフソクレイム)

その魔剣は昔にエヴァーンが一人でこの迷宮≪永劫なる種族の眠る墓ノスフェラト・グレイブ≫に潜った際に60階層のコラプスケロべロスを撃破した時に出た報酬だと言っていた。

再現不可能な人造ではない魔剣と言うだけあって色々な永続術式付与トゥルー・エンチャントの効果が付けられて、模擬戦で戦った際にはかなり苦戦させられた。

と言うか初見であんなの見切れるはずがない。

今でも善戦は出来た方なんじゃないかとは思ってるけど……。

そして、俺は今の所あの魔剣より優秀な武器を見た事が無い。

……まぁ、そもそも他の幻想遺物アーティファクトや魔道具を見る機会がなかったって言えばそれまでだけど。

基本的に迷宮の難易度と報酬は比例する。

特に戦闘系の迷宮ではその特徴が顕著に出るらしい。

つまりはより難しい迷宮にはより効果的で有用な幻想遺物アーティファクトだったり加護が出るって訳だ。

まぁ、そうでもない限り基本的に誰も態々好き好んで高難易度の迷宮には足を運ばないだろう。

命を懸けて潜ってるんだから当然と言えば当然だろうし、見合わないと感じられたら人が来る事は無いだろう。

実際に報酬がそこまで良いとは言えないにも関わらず、迷宮内の環境が厳しい母神ムーマーの≪怒れる自然の大遺跡≫は不人気だったみたいだし。

エヴァーンと一緒に訓練した懐かしい場所だが、あそこでは迷宮内で人間を見た記憶は無い。

だからこそゆっくり訓練できたともいえるんだけどね。

今思うと帝国…と言うかシドの奴が貸切ってただけかもしれないけど。

狩人からすれば迷宮に居る魔獣と俺の区別なんてつかないだろうから見かけたら即戦闘になるだろうし、そこら辺を気にしたのかもしれない。

いや、詳細は知らないけど。


話が少し逸れた。

とまぁ、何が言いたいかと言えば、ここの迷宮も第一級戦闘迷宮と言われるだけあってかなりの難易度だって事だ。

実際にさっき俺とヴァゴスも50階層の黒闇の骸術師ブラックボーン・カオスメイジにやや苦戦した。

……アンデットじゃなければ命の危機だったって考えたら「かなり苦戦した」と言っていいのかもしれないが、アンデットという特性も込みでの作戦だったからここでは「やや」と形容したいね。

つまりはそんな難易度の迷宮の60階層の敵は俺が戦った50階層の主より更に強くエヴァーンの持っていた魔剣クラスの物ないし有用な加護が入手可能である階層主。

それがコラプスケロべロスって訳だ。

エヴァーンが使ってた魔剣の強さを文字通り身に染みて実感してる俺は模擬戦の印象として強く残っていたのでそれを入手できる程の相手って意味でも楽しみだった。

どんな奴なのか気にはなるだろ?


そしていよいよ対峙の時となった。

ただ、さっきの50階層の主とは違って普通に何度でも戦える相手らしいからイザヨイが何の躊躇いもなく扉を開けて入ったのでそれに着いて行っただけだけど。


別段50階層と言う一つの区切りを超えたからと言って階層主のフロアの作りが変わったりする訳じゃないみたいだ。

イザヨイが開けた扉から奥にある反対側の扉に向かって順々に壁の松明へと火が灯っていく。

と言っても元々暗い所でも明るく見えるからあんまり関係ないけど。

部屋の中央には一匹の狼が鎮座していた。


最初に抱いた感想は「デカい」だ。

俺がムーマーの迷宮で一番最初に戦った階層主のタイラントウルフ。

あれの更に倍近い体躯を誇っている。

正面切って相対しているイザヨイとアカツキが対比的に酷く小さく見えた。

そしてデカいだけじゃなく、頭の部分には3つの頭がある。

身体は1つなのに頭は3つもあるのか。


コラプスケロベロスの中央の頭がこちらを認識すると、唸りながら体を起こす。

そして、そのまま正面に居るイザヨイへと素早く飛び掛かった。

その巨躯からは想像してなかったレベルの素早さでやや面喰って、俺へと飛びかかった訳じゃないと分かってても一瞬ビクリと反応してしまう。

そして、その圧を正面から受けているイザヨイがこの迷宮に入って初めて戦闘に手を出した。


迷宮に入った当初に聞いた『死者への圧政』の術式はイザヨイが言った通りに40階層以降は効き目が薄くなり、途中の道中でも普通に骸骨や死人、死霊が寄ってくるようになった。

ただ、寄ってきた有象無象は何故か一定以上俺達…多分正確にはイザヨイに近づくと独りでにボロボロと身体が崩壊して消えていくのだ。

そんな状態がこの60階層の直前の59階層まで続いた。

しかし、一級戦闘迷宮の60階層の主であるコラプスケロべロスともなると今までの出会い頭に敵が何故か勝手に身体が崩れさる、と言う風には行かないのかイザヨイの近くへと飛び掛かっても身体が崩れる様な気配は無い。


そして、初めてイザヨイがどんな風に戦うのか見れると思ってややワクワクする。

同族の戦いってアルーダとエヴァーンでしか見たことなかったし。

まぁ、そもそも会ったことのある同族自体が少ないけどさ。


コラプスケロべロスが威嚇し飛び掛かった瞬間、今までと同様に緊張した様子もなくイザヨイが手を軽く上げてから無造作に振り下ろした。

同時にピタリと唸り声が止み、反響した音だけが響く。

そして、飛び掛かった勢いのまま真っ二つになった巨躯が地面にどさりと横たわった。


………俺が期待していた戦いは手刀一振りで切り捨てられ、コラプスケロベロスの瞬殺で幕を閉じた。

何とも言えない気持ちで灰になって崩れていく巨体を眺める。


『……まぁ、真祖越えの始祖や神祖に足を突っ込んだ吸血鬼の連中ってのはあんなもんだ。

 腕を振り下ろす一瞬だけ赤い光が見えたから血液操作の一環だろうな。

 言ってしまえば以前にエヴァーンがお前の腕を切り落としたのと同じだ。

 緩急の速度や威力とか諸々が段違いってだけでな。』


さもありなん。

ただ、何か誇らしげにエヴァーンが魔剣の事を語ってたのを覚えてるだけに微妙に悲しい。


『今のお前なら相手の図体がデカい方が、下手すりゃさっきの骸骨どもより戦いやすいとは思うけどな。

 ま、それでも瞬殺は無理だろうけどよ。』


ふーむ。

まぁ、感傷に浸ってる暇はないしな。

今は先を急ぐとするか。

何とも言えない気持ちだけど、別に悲しかったりする訳じゃないし。


当のイザヨイとアカツキは灰になったコラプスケロベロスを気にする事無く、地面から出た箱から報酬を拾うとスタスタと先へと進んでいった。


ん?

何となく見ていたイザヨイの手元の物に目が行く。

丁度、報酬の箱から拾い上げられたキラリと反射する物。

直ぐに影に仕舞われたから詳しくは見えなかったけど。


『どうした?』


いや、よく見えなかったけどイザヨイが今仕舞ってたのってが金属っぽかったから。


『で?』


え?

いや、さっきヴァゴスが言ってただろ「金属について知る必要がある」って。

金属なら借りてヴァゴスに渡せばいいかなって思ったんだけど。


『あのな、毎回言ってるがあまり借りを作ろうとするな。

 特に自分より上位の存在にはな。』


うーん、今更だと思うけど。

それじゃ、借りるって言うのがダメなら買い取れば?


『何を使って?金か?

 ルガロはカードの中で専用の魔道具が無いと金のやり取りができない。

 帝国統一貨幣はこの後使うかもしれねぇし、無駄遣いは出来ねぇ。

 あまり取れる手段があるようには思ねぇけどな。』


まぁ、今更って事でいいじゃん。

それに貸し借りの話以前に前の二人がその気になったら俺らは消滅する可能性が高いだろ?

今の所はずっと友好的に接してくれてるんだし、あんまり疑わなくていいと思うけど。


『どちらかと言えばあの二人の動向よりも、お前のその警戒心の無さが問題だって思って言ってるんだけどな。

 特に敵以外の相手と交渉する際にザル過ぎる。

 もうちょっと駆け引きとかってものを学べ。』


今までそんな機会なかったんだからしょうがないだろ。

機会があれば学ぶけど、機会があれば基本ヴァゴスが代わりに交渉してるじゃない。


『ずっと俺様に頼りきるのもどうかと思うがな。

 俺様が魔界に帰ったらどうするつもりだ?』


面白い事を言うね。

魔界に帰った後の俺の事をヴァゴスが心配してくれるのか?


『む。』


んじゃ、そう言う事で。

ヴァゴスに何かを言われる前に先を行くイザヨイに向かって声をかける。


「なぁ、今の階層の報酬は何だったんだ?

 一瞬見た感じ金属っぽかった気がしたんだけど…。」


そう、声をかけると前のイザヨイが俺の声に対してチラリとこちらを振り返るが、歩いたまま前方へと向き直り口を開く。

毎回、俺が声をかけても同じ感じだな。

まぁ、立ち止まらないってのは急いでる俺達への計らいなのかもしれないけど。

少なくとも理由なしに礼儀を軽んじるタイプではなさそうだ。

吸血鬼の礼儀なんて俺は知らないけどさ。


夜輝金ステライウムよ。王然金とも言われてるわね。」


えーっと、どんな金属だ?

確かさっき戦った骸骨の魔術師が持ってた杖の素材にもそんな名前があったな。


夜輝金ステライウムは星空みてぇな色をした金属だ。

 程よく頑丈な上に魔力伝達もかなりいい。

 バランスがいい金属だな。

 魔道具の作成によく使われる。

 難点なのは重い事と高価な事くらいだ。』


注釈ありがとう。


「別れるまでの間だけで良いから借りてもいいか?」


「別に構わないわよ。

 私達は取り敢えず回収してるだけだし。

 なんならそのままあげるわ。」


んー、それはどうなんだろう。

高価って聞いた直後だしな。


「はい。」


葛藤してる俺に向かって影から取り出した暗い藍色に金色が点々と散りばめられた延べ棒が数本差し出される。

重いんじゃないのかよ。


「いや、一本だけでいい。」


差し出されてしまうと迷うのも悪いし、そう言って一本だけ受け取る事にした。

確かに結構重い。

綺麗な金属だ。


「それじゃ、先に行くわよ。」


イザヨイはそう言うと残った夜輝金ステライウムを再度影へと仕舞い、先へと進む。

俺も取り敢えず渡された夜輝金ステライウムをヴァゴスへと渡して、その後に続く。

それで研究できそうか?


『まだ分かんねぇよ。

 ま、貰ったんだ。

 気楽にいこうぜ。

 帝国に着くまでには何とかモノにしてやるよ。』


そりゃ頼もしい事で。


いつもお読みいただきありがとうございます。

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