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死した竜の物語  作者: 獅子貫 達磨
第二章 死肉竜の目覚め
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舞台袖

今日は短めです。

予約投稿忘れてました……。

空間に女の笑いが響く。

白い女の白い声が反響する。

その笑い声は酷く楽しそうだったが、聞く者の不安を掻き立てるような冒涜さを秘めていた。


「ふふふふふ。

 楽しそうな事になりましたね!

 このままでも楽しそうですけど、もう少しスパイスが欲しい所ですよねぇ。

 そうだ!ちょっと細工をしてあげましょう。

 条件で効果が発動するようにして……あ、でも他の人が触ったら大変ですね。

 ……ま、その場合は破った人が死ぬだけですし別にいいでしょう。」


宙に浮いたキーボードをカタカタと叩きながら楽しそうに女が呟く。


「折角、レフさんの因子が揃った地上では数少ないサンプル同士ですからね!

 あっちで余ってる子と顔合わせさせてあげてもいいでしょう。

 いい加減退屈してるでしょうしね。」


鼻歌交じりにキーボードを叩く。


「にしても、レフさんもいい加減ですよねー。

 自分の因子を混ぜて送り込んだ相手の事を忘れちゃうんですから。

 まぁ、らしいといえばらしいですけどね!

 そもそもNGG計画の子達の事自体みんな忘れ気味ですよねー。

 最近はオリジナルの方から連れてくる方がメインの計画になりつつあるので仕方ないって言えば仕方ないんですけどねー。」


ふふふふ、と女は楽しそうに笑いながらモニターを眺める。

同時に女の後ろの空間が音もなく割れ、浅黒い腕がニュッと現れた。

そのまま、腕は迷うことなく女の頭へと延びていくガシッと掴んだ。


「ふぇ?」


突然の頭に対する感覚に女が気の抜けた返事を返す。

次の瞬間。


「いたたたたたたたたたたたたた。

 痛い!痛いですっ!

 ちょっとぉ!離してください!

 痛いっ!千切れる!千切れますって!

 もしくは捥げます!頭がパーンってなっちゃいます!

 良いんですか!?R-18になりますよっ!」


「別にいいぞ。

 俺の場所じゃないからな。

 お前の神界がどれだけ汚れようと知らねぇよ。

 真っ白だから赤いアクセントが加わって丁度いい塩梅じゃねぇか?

 ショートケーキみたいだな。」


「そんな鉄臭いケーキは嫌ですよ!

 食べるのは断固拒否します!

 と言うかほんとに捥げますって!

 そっちと違って私は死ぬと痛いんですよ!」


「知るか。

 で?俺がなんだって?

 何か面白そうなこと言ってたな?

 もう一度言ってみろよ。」


ギリギリと腕の握力を絶妙にこめつつ男が続ける。


「いやいや、何にも言ってませんって!

 いい加減とか面倒くさがりとか適当とか節操なし、とか何にも言ってませんよ!」


「前言撤回だ。

 頭以外も余すことなく全身弾けさせてやる。

 良かったな。」


「ギャー、藪蛇でした!

 離してください!

 と言うかちゃんと言ったんだから約束を守って解放してくださいよ。」


「俺は別に話したら外すとは一言も言ってない。

 お前が勝手に話しただけだ。」


「この鬼畜!

 鬼っ!吸血鬼っ!」


男のこめかみに血管が浮き出たかと思うと、そのまま腕に力が込められる。

グシャリとトマトの様に女の頭がひしゃげて潰れた。





「まったくもー、なんなんですか。

 急に私の神界に来て。

 用事があるならノック位してくださいよ!

 それがマナーってモノでしょう!

 私が人に言えない事してたらどうするんですか!」


全く同じ姿をした白い女が現れ、頭の弾けた自分の死体を箒とチリ取りで片付けながら怒った様子で浅黒い男にそう言った。


「寧ろ人に言える事してる事の方が少ないだろうが。」


「それはレフさんだって一緒でしょう!」


「俺は酒池肉林してるだけだ。」


「自覚はあるんですね。」


やれやれー、と大仰に肩まで手を上げて女が首を振る。


「で、俺の名前が丁度聞こえたが何してたかキリキリ吐け。

 楽になるぞ。」


「寧ろさっき一回楽にさせられたんですけどね!

 あっ、もうやめてくださいっ。

 分かりました!分かりましたからっ!

 ちゃんと話しますからその手を下してください!」


「最初っから素直にそうしろ。」


「ぶぅ、良いじゃないですか―。

 レフさんだってこんな美人と搦めて内心は大層嬉しいんじゃないんですかー?」


にやにやと大層人の神経を刺激する笑みを浮かべる白い女。

対して男がもう一度腕を上げようとすると、スッと下がってゴホンと咳ばらいをした。


「さてさて、私は真面目で誠実な女ですからね!

 レフさんの質問になんでも答えてあげましょう!」


「で、俺の因子がなんだって?」


「聞こえてたんじゃないですか―。

 いやいや、地上でレフさんの因子が入った竜の子を見つけたので観察してただけですよー。」


やだな~、と手をヒラヒラとふる女に対して、男は顎に手をやり考える。


「俺の因子……。

 NGG計画の事か。

 地上で生きてる奴なんていたか?」


「もう!この前ギアちゃんと話してたの忘れたんですか!」


「……ああ。

 あのちっこい死に損ないか。

 居たな。忘れてた。」


「せっかく因子を与えてるんですから、見守ってあげましょうよ!

 NGG計画も現行世界から実行するのは難しいって結論にはなりましたけど、

 現状新規サンプルを作らないってだけで、まだ計画途中の子は居るんですよ!」


「別にいいだろ、放っておいて。

 もう地上には見込みのある奴は残ってない。

 見込みがありそうなやつに声かけたけど、大体が断りやがったからな。

 今は殆ど魔界に移住しやがって。」


「まぁ、覚醒魔族にとっては今の地上は窮屈でしょう。

 ノベたんのところには偶に何人か移住に来るらしいですよ。」


「俺のところには誰も来ないな。

 ……もう地上では力をつける事はほぼ無理だろ。

 いつの間にか『十三王』って肩書きもも今や『九血王』ってのになっちまってる位だからな。」


「まぁ、それはそれで仕方ないと思いますけどねー。

 二人は神に成って、一人は自殺、もう一人はそもそも吸血鬼じゃなかったんですから。」


「ま、実質アズバラルムの奴もノーテットの神界に居るから、九血王っつっても八人しかいない訳だが。

 なんにせよ千年以上経つのに減る一方で増えてないのが見込みがない何よりの証拠だろう。」


「九血王で思い出しましたが、ゼクステーターさんところの眷族がレフさん因子の子竜ちゃんに接触してますよ。

 眷属って言っても曾孫レベルですけど。」


「別になんだって構いやしねぇよ。

 現行世界でのイジュネロスでのNGG計画は俺は諦めてるからな。

 さっさとオリジナルから人材を引っ張ってきた方が早い。」


「それはそれで面倒じゃないですか―。

 もともとあっちの世界と手を切ったのは向こうの神と絡みたくないからでしょ?」


「それはそうだが、逆に俺達がオリジナルと手を切ったのは、当初はまだ対抗可能な手段が無かったからに過ぎないぞ。

 今は対等以上に渡り合える。

 混沌は元より門が来ようが子山羊が来ても、白痴が来たとしても大丈夫だろ。」


「まぁ、それはそうですけどね。

 ただ、こっちに侵入されると厄介ですよ。

 もう、感知して取り除ける人はいないんですから。」


人と言うより竜ですけどねー、と女が笑う。


「何かあった場合はそっちの黒いのが何とかするだろう。

 そこら辺の細かい事は俺の管轄じゃねぇ。」


「空間を渡る対象を選り分けるのは次元を司るレフさんの仕事ですけどねっ!」


そう言いながら女がビシッっと人差し指で男を指さす。

男は無言で指された指を関節と逆方向に曲げた。


暫くの絶叫の後に涙目で女が続ける。


「ふーっ、ふーっ。

 もう!レフさんが興味無いならあの子は私が貰っちゃいますからね!」


「やめろ。可哀想だろ。」


「なんて事を言うんですか!

 あの子もきっとこんなむさ苦しい綺麗な女性ばっかり集めてる死神よりも

 母性溢れる清らかで純真な心を持つ人神の方がいいに決まってます!」


「性欲溢れる汚くて純悪な心の間違いだろ。」


「女性にそんな事言うなんて品性ねじ曲がってますよ!」


「ねじ曲がってんのはお前だろ。

 ……まぁ、好きにしろ。

 公約通り地上に過干渉しなければ今まで通り好きにすりゃいいだろうが。

 そもそも、NGG計画の検体は誰が誰の所有者って訳じゃねぇだろう。

 適当に地上の奴に俺らの因子を埋め込んだだけなんだからよ。」


「まぁ、そうですけどぉ。

 でも、見てるとお気にの子って出てくるじゃないですか。」


「知らね。

 見込みのない奴らには興味がねぇよ。」


「冷たいですねぇ。

 じゃあ、引き続き私が見守るって事で。

 で、急に私のところに来た用事はそれだけですか?」


「いや、別件だ。

 オリジナルの方の件で必要な追加マップデータの草案が纏まった。

 そのデータベースの受け渡しだ。

 マップ機能の根本部分の作成はお前が担当するんだろう?」


「ああ、そうでしたねー。

 態々ありがとうございます。」


「じゃ、確かに渡したから俺は帰るからな。」


「はいはーい。」


机の上に記録媒体を置いたのちに、来た時同様に男が空間に飲まれて見えなくなった。


「全くもうー、いきなり来るんですから油断も隙もありませんねー。

 にしてもレフさんは思った以上に自分の因子が入った相手に興味がないんですね。」


チラチラと後ろを確認しながらパソコン前に戻り、渡された記憶媒体を接続する。


「詳しく調べられたらどうしようかと思いましたけど、

 あの様子ならそんな事は無さそうで何よりです!

 流石にジュラさんの件までばれると、頭が弾けるだけじゃ済まなさそうですからね!

 そこまで気にしなくてもいいと思うんですけどねー。

 まぁ、何か危ない事があればみこっちが止めてくれるでしょう!」


フンフーン、と鼻歌を歌いながら作業を始めた。


二章はこれで終わりです。

明日は休みで三章は来週から投稿予定です。

引き続き本作品を宜しくお願いします。

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