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仏前のR18
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R18(立成18)年の、夏休み。
窓の近くでは、扇風機に揺られた風鈴がチリンチリンと鳴っている。
その風鈴の音色に耳を傾けながら、アタシ、政所弓稀は仏壇の前で手を合わせ、呟いた。
「………………つくし」
◆◆◆↑立成18年8月◆◆◆
◆◆◆↓立成?年?月◆◆◆
「……おぶつだん、あったの?」
あたしが運転している車中で、可愛らしい声が響いた。
「あったよ。今のとは、少し形が違うけどね」
「ふーん……。……あれ? 寝てるの?」
言われて、ルームミラーを確認してみた。……ほんとだ、いつの間に。
「疲れて寝ちゃったみたいだね」
「もっと今日のお話ししたかったのに……」
「しょうがないよ。帰ったらすぐに夜ご飯にするから、そのときにいっぱい聞こうか」
「うん!」