修練の間 【1】
前回のあらすじ
俺が神(仮)を名乗る者と会話して幼少期に両想いだった子のために生き返ることにした。神(仮)が努力の能力をくれるらしい。楽しみ。
体の構築は一日で終わって能力の付与も終わり、今から修練の間で強くなる予定だ。
『それじゃあ、行ってらっしゃい』
「あぁ、行ってくる」
目の前にある白い渦に飛び込んでいった。
視界が開ける。見渡す限り木、木、木、木、木、木のオンパレードだ。木々から漏れる光で周りの状況が何とかわかるってところだ。そう言えば神(自称)がステータスを確認しろとか言ってたな。声に出すのか?いや、こんな森で音を出すと狼とかくるか?これは最終手段として念じてみるか。お?出た出た。
名前:無し
性別:男
種族:神造人間【最高級】
レベル:1
生命力 100
魔力 100
筋力 1
知力 1
耐久 1
精神 1
運 1
固有能力
【必要経験値100倍】
【レベルアップ強化】
【能力取得確率上昇】
なんだこの能力は?必要経験値100倍?普通の人間が一レベル上げるのに100必要なら俺は10,000の経験値が必要だと?その努力に見合う対価があるんだよな?効果は見れないのか?
『必要経験値100倍……必要経験値が100倍される。レベルアップ時にステータスの伸び幅が100倍される。???の干渉により、効果が増大されている』
『レベルアップ強化……必要経験値が1/100される。レベルアップ時にステータスの伸び幅が100倍される。???の干渉により、効果が増大されている』
『能力取得確率上昇……能力の取得確率が上昇する。???の干渉により、80%の確率で能力が獲得できる』
“鑑定の能力を取得しました。適合化を始めます”
その声が聞こえた直後に、目が開けられないほどの痛みが襲ってくる。焼けるような、何かと眼球を混ぜているような気持ち悪さと果てしない痛みに俺は耐えきれずにその場で倒れ込んだ。
「はぁ……はぁ……」
痛みと気持ち悪さも収まる頃には周りは既に暗くなっている。しかし、見えている世界は昼間のように明るくて今までより鮮明にものを捉えることが可能になっていた。
「まさか鑑定か?」
鑑定
そう心の中で念じると目の前に薄い板が浮いて出てきた。触ることも出来るし動かすことも出来る。触った感じ材質は全くわからない。力を入れてもびくともしないが、重さは全くと言っていいほど無い。薄い板をよく見ると字が書いてある。
『ログ:鑑定を行った。しかし、目的が無いために何も結果が表示されなかった』
ログと言うことはこの修練の間は記録を取っているということになる。その記録を遡ることも可能なはずだ。試しに▲と書いてある部分を押すと、文字が消えたと思えば新しい文字が浮かんでくる。
『ログ:この世界に???の干渉を確認。妨害不可能。???から生命体を感知。承認しました。神造人間の種族が確定されました
ログ:神造人間の肉体から鑑定の力を感知。適合を開始します。』
さっきの混ぜたような気持ち悪さととてつもない激痛は適合だったか……これ身体を改造してない?取り敢えず能力は身体の一部ってことだな。それにしてもあいつ。めんどくさいことしてくれたな。努力ってこんなんじゃないよな?身体を削ってまでするもんじゃないよ。
――ガサガサッ
“気配探知の能力を取得しました。
聴覚強化の能力を取得しました。
視覚強化の能力を習得しました。適合化を始めます”
全身が熱い。灼熱の大地に分厚い服を着て直射日光に晒されているレベルで暑い。特に顔に集中して熱が集まっている。音を立てた奴に警戒しながら熱が下がるまで木にもたれかかる。暑い。それにしても暑い。だんだんと下がってきたかも知れないが暑い。視覚が強化されているらしいがそれらしい痛みは来ない。もしかして鑑定が特別すぎたのか?まぁいいか。熱もいつの間にか取れた。早いなと思いながらも早速手に入れた気配探知を使う。おぼろげながらもそこに何かがいるということはわかる。さすがに虫などの小さいものには反応はしない。虫まで反応するならもっと多いはずだからな。
音を立てた張本人は俺の右斜め後ろ側にいる。何かを警戒しているみたいだ。あ、俺か。取り敢えず俺の糧になってもらおうか。
息を吐き出す。目を閉じる。深呼吸をしながら音に耳を傾ける。気配がだんだんと形を帯びてくる。この形状は狼だな。鼻でも殴れば何とかなるだろ。最低限まで力を抜く。腕が重力に引かれているのがわかる。それでいい。俺はこの世界を掴んでいる。離せばどこまで進める。その名は縮地。相手の視線を誘導して意識を逸らし、超至近距離まで一瞬で詰める能力。
“縮地の固有能力が開花しました”
己は刃。何者も寄せ付けず、近寄る者を切り刻む刃。腕は刀。剛ではなく柔を制す何者も断ち切る刀。足は戦鎚。柔を引き潰し剛で何者も叩き潰す戦鎚。我は戦士なり。戦いに身を投じる戦士なり。我流武術・千刃の鎧。
“千刃の鎧の固有能力が開花しました”
「guraaaaa!!!!」
真後ろから狼が飛んでくる。それに合わせて俺は視線を手を叩くことによって誘導し、瞬間的に狼に超至近距離まで近寄る。そして左の拳で狼をぶん殴る。すると刀にでも切られたかのように傷が無数にでき、狼が倒れる。死因は血を大量に失ったことによる失血死だと思う。それにしてもさっきのはなんだ?何かが俺に憑依したような……
“レベルが1上がった。
レベルが1上がった。
レベルが1上がった。
レベルが1上がった。
英霊憑依の固有能力を取得しました。適合化を始めます。”
ファ!?うっ!?魂というものが改変されていく感じがある。自分が自分でなくなるような。そんな感じだ。しばらくしたら落ち着き、平静を取り戻すと頭の中に声が響く。
『お、これで声が聞こえるか?』
「何者だ!?」
『俺はお前に憑依している英霊というものだ。前世の名は……教えられない。ただ、お前の敵では無い。味方だ。英霊というのはf〇teの英霊とほとんど同じだ。ただ登場人物が違うだけで』
「メタいなぁ……」
『そんなことは置いといて……そういえば呼び名がないと不便だな。俺のことはエルギスとでも読んでくれ』
これが俺とエルギスの出会いだった。
英霊と言うからエルギスさんは英雄ですね(確信)
一体どんな偉業を成し遂げたのか気になる……電気の発明とか?
ちなみに敏捷と器用がないですが敏捷は筋力と耐久の合計を2で割る数値で、器用は知力と精神の合計を2で割る数値になります。
だってそう考えた方がリアルっぽくないですか?
例えば知識が無く精神も未成熟なのにリアルすぎる絵画を書いたり、筋力と耐久がないのに時速100キロで走ったりすることになるんだよ。
なのでこの作品は敏捷と器用が有りません。予め、ご了承ください。