え?これって簡単に出来ましたけど...
「へぇーアリサっていうんだ」
「ああ!可愛いだろう!」
今父親から私を自慢されているこの女性は元パーティで魔法使いをしていた、レイチェル=マギナという凄腕魔法使いらしい。
「目元などは父親そっくりだな」
この厳格そうな筋肉ムキムキなおじ様はガリス=ケイン、元パーティで拳法家をしていた人だ。ムキムキだねムキムキ。
「ちっちゃくて可愛いですー!」
このゆるふわ巨乳ガールは元パーティで僧侶をしていた、カンナ=マイルという人で世界でも有数の僧侶らしい。
「あらあら〜久しぶりねぇ〜」
「マリアも元気そうね」
「久しぶり」
「久しぶりですー!」
お母さんとも旧知の中らしい...旅の途中で母さんとは出会ったらしいんだけど何も聞いてないんだよね...
「アリサ=ロムルートです!こんにちわ!今日は私の誕生日のために来て下さりありがとうございます!」
ニッコリ笑顔で言う、名前は父親が言ったが自己紹介はしとくべきだろう。
「ええこんにちわ、4才なのにしっかりしてるわねー」
「流石は勇者になるものだ」
「こんにちわ!」
またかよ!どんだけ勇者にしたいんだよ!父親の元パーティからも言われるとは思わなかったわ!まぁ当然といえば当然か...歴代最強の勇者をその目で見てきた人達だ、次は娘である私という理屈はわかる。わかるけども!
「アリサは鍛錬でも凄いんだぞ!!俺よりも必ず強くなる!」
「それは頼もしいわね」
レイチェルさん...騙されないで下さい...私は勇者になりたくないんですぅ...
「そうだ!定期的に来て娘を見てやってくれないか!」
なんやて?今なんて言った?私の唯一無心になれる鍛錬の時間を誰かに監視されながらすると?
「お父さん、流石にそれは皆さんに悪いです」
「あら、いいわよ」
「俺も問題ない」
「私もです!」
断ろうぜ...そこは断ろうぜ…?嫌だよ〜!絶対嫌だ〜!
「その前にまずは実力がどんなものか見せてくれない?」
レイチェルさーん!余計なことは言わないでー!まだ誕生日パーティの時間まで余裕はあるとはいえ遠慮したい。
「じゃあ庭に行こうか」
うわぁあああ!!父親ぁああ!!何勝手に決めてんだぁああ!!
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とりあえず支度だけして庭に出た。
「まずは魔力を見せてくれないかしら?いっておくけど全力よ。全力を出してなかったらわかるから」
嘘だろ...ていうか私が全力を出さず失望させようとしたことがバレてる!?糞!やったらぁ!!全力全開フルパワーじゃい!私は内心半泣きで全力で魔力を全身に循環させる。
「ハァアアアアア!!」
「!!!嘘でしょ...」
地面がひび割れ空気が震える、風が吹き荒れ鳥が危険を察知して逃げる、それほどにアリサの魔力は暴力的でありながら美しく力強かったのだ。
「ハァッ!!!」
「私の魔力には届かないまでもこの年でその量は異常よ...」
レイチェルSide
レイチェルは冷や汗をかく、どんな化物だこの娘は、これでは勇者というよりは...
先程からレイチェルは違和感を抱えていた。アリサが私達の指導を受けたくなかった様子だったのだ。多分手を抜く可能性があると考え、釘を刺して置いたのだが...この魔力の質ははっきりいって異常だ。
「ふぅ...」
アリサが魔力を静めたようだ、周りに静寂が戻り、一気にあの威圧感から解放される。
「魔力の量は十分以上、あとは魔力操作ね。」
「はい!中級魔法ならば四属性を操れます!」
はっきりいって異常だが先程よりは驚かない、自分も同じようにこの年ぐらいで扱えていたからだ。
「そう、ならば見せてくれない?」
「はい!」
そう言ってアリサが持ってきた木刀に魔力を流す、すると何も出てこなかったのだ、エンチャントとは炎や水や風、土のどれかの属性を付与するものだ。まさか失敗か?と思い聞いてみると。
「よく見てくださいレイチェルさん。」
見てみると戦慄が走った、この子はエンチャントするときに魔力を必要最低限にするため、薄く薄く膜のように武器にまとわりつけていたのだ!これを驚かずして何が魔法使いか!これはエンチャント魔法の革命ともいえる代物だろう、扱えるものが限られてはくるが...
「アリサ...あなたどうやってこれを...?」
「木の葉を叩き切る鍛錬で思いついたんです!普通の風のエンチャントだと飛んでいってしまうので薄くして切れ味だけ上げるために!」
どういう思考をしていたらこんなことが思いつくだろうか…凄すぎる...私が教えることは何も無いわ...
この世界の魔法使いは武器をあまり使わないのでこんなことは思いつきません、戦士も魔法を高度に扱えるものはほとんどいないのでこんなことも出来ません。だから必然的にアリサ天才!ってなるわけです。父親は脳筋なので思いつきません。