7話 転生!?マジで?
ん、あれ、生きてる?
俺は確かに死んだ筈……。
「てか、ここは………天界?」
どういう事だ?何でまたここに?
って、また上から光が………………。
まさか、なぁ?
そう思いながら光を見上げると、そこには……………女神様がいた。
「初めまして、死した人の子よ。」
女神様、俺だって気づいて無いみたいだな。
「あのー、女神様?何で俺はまたここにいるんでしょうか?」
「え?何言って……あっ!?あ、貴方はもしかして勇者召喚の!?」
「はい、その通り!」
てか、女神様、やっぱり気づいて無かったな。
でも、それより。
「で?どういう事なんですか?」
「あ、はい。説明すると、私はここに貴方が元々居た世界で死んだ人の魂を、ルエークスに転生させる為に来たんです。ですが、何故かルエークスで死んだ貴方がここに呼ばれてしまった……」
「え、じゃあ俺はもう一度あの世界に戻れるんですか!?」
「ええ、ここに来た以上、決まった事なので。ですが、今回は転生ですので、生まれるところからになります。それと、少し時間がずれる事になります。」
時間が?どういう事だろう?
「時間がずれるって、どういう事ですか?」
「いえ、転生や転移の時は普通、時間にずれが生じるんです。本来は別の世界から移動するので、時間のずれは関係無いんですが、今回は同じ世界に転生するので……」
時間のずれが分かってしまう、と。
それなら仕方ないな。
「実際、どのくらいずれるんですか?」
「そうですね。今回は17年前に転生するみたいです」
「えっ!?過去に転生するんですか?」
「いえ、これも本来はあり得ない事ですが、同じ世界に転生という事で、その様になってしまったのでしょう」
でも、ラッキーだな。
17年前なら、俺が17歳になったら、丁度俺達が来る時になるじゃないか。
「では、そろそろ転生の儀式を始めます。まず、言葉については、貴方は問題ありません。勇者召喚の術式の、言語理解の効果が、既に魂に刻まれてます」
成る程、だから向こうの言葉が分かってたんだな。
「次にステータスについてですが。職業やスキル、称号は引き継げます。ただし、名前や種族、Lv、能力値は引き継げません」
まあ、当然だな。
スキルと称号、それに職業を引き継げるだけでも、充分だろう。
「では、次に転生先の家柄を決めます」
「え、決められるんですか?」
「ええ、大まかにですが。農民の家、職人の家、商人の家、貴族の家、王族の家から選んで下さい。一度決めたら変えられませんよ」
じゃあ、慎重に選ばないとな。
農民の家は却下、職人の家と商人の家も却下だな。
王族の家も大変そうだから却下だな。
じゃあ貴族の家か。
まあ、ラノベだと大体これ選ぶし、これで良いよな。
「女神様、俺は貴族の家に転生したいと思います」
「分かりました、貴族の家ですね。では、次に固有スキルを選びます。この中から選んで下さい」
そう言って、俺の目の前にステータスと同じ様な板が出てきた。
そこには色んなスキルが載っている。
見きれないので、おすすめというのを見てみる。
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『おすすめ!固有スキル!」
【固有スキル・スキル強奪】
【固有スキル・武具創造】
【固有スキル・勇者召喚】
【固有スキル・経験値10倍】
【固有スキル・スキルコピー】
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うーん、あんまり要らないかなぁ。
スキル強奪とスキルコピーは吸収があるから要らないし、武具創造は職人に作って貰えばいいし、勇者召喚とか絶対要らない。
経験値10倍も、俺はこつこつLvアップしたいからな。
「ん?なんだ、これ?」
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『扱いづらい!固有スキル』
【固有スキル・魅了】
【固有スキル・神運】
【固有スキル・狂化】
【固有スキル・黒鴉之紋翼】
【固有スキル・ドジッ子】
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この中で気に入ったのは、黒鴉之紋翼だ。
名前も格好いいし、効果も良かった。
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【固有スキル・黒鴉之紋翼】
【鴉の様な漆黒の翼を背中から出す。その翼を出している間は、飛ぶ事が出来る。翼を仕舞っている時は、身体の何処かに翼の紋章になって現れている。空を飛ぶ時は体力を消費する。】
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空を飛べるんだぜ!?
これを選ぶしか無いでしょ!
俺は体力が無限だから、ずっと飛ぶ事も出来るしな。
「女神様、これにします」
「はい、分かりました。では、次の種族については完全なランダムになります。転生後には、新しい魔法属性、スキルも手に入りますが、それもランダムになります」
ランダムかー。
俺は何になるのかな?出来れば、人間がいいんだけど。
「これで全てになります。何か質問はありますか?」
「いえ、何にもありません!」
「では、転生の儀式を実行します。新しい人生を楽しんで下さい」
女神様が最後に微笑んでくれた。
いやー、これだけでも幸せだな。
俺の意識はどんどん薄くなっていった。
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「おぎゃあー!おぎゃあー!」
「奥様、無事に生まれました。元気な男の子ですよ」
「あぁ、私の子供……」
(ん?なんかうるさいなー。って、もしかして俺の声か、これ?)
俺の目の前には、20歳位の女性と25歳位のお姉さんが居た。
多分、さっきの会話からしても、女性が俺の母親なんだろう。
お姉さんはメイドかな?
と、そんな事を考えていると、突然部屋の扉が開かれた。
開いたのは、20歳位の男性だった。
「マリア、う、産まれたのか?」
「ええ、ピリアム、男の子よ」
「おお、男か」
どうやら、この男性が父親みたいだな。
男性は女性から俺を抱き渡され、俺を見ながら言う。
「我が家の三男だ。名前は何にしようか」
「そうね……あ!アークはどうかしら?」
「それも良いね。僕はこの子を見て、レミアスという名を思いついたよ。この世界の英雄の名だ。この子はいつか、何か大きな事をする予感がするんだ」
「あら、アークよ。私が決めたんだもの」
「いーや、レミアスだね」
「はぁ、この二人は」
その後、結局二つを混ぜた、レミアークが俺の名前に決まった。
「レミアーク、元気に育ってくれよ」
「私達の子ですもの、心配ないわよ」
この日、鏡 満月は、テークラン王国、リューナー公爵家三男、レミアーク・ファル・リューナーとして、ルエークスに生まれ変わった。