表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者召喚!かと思ったら転生!?こうなったら精一杯生きてやる!!  作者: 冷星 夜姫
新しい家族~新たな始まり~
22/25

20話 友達と鍛冶屋


 「ふむ、成る程。お前が隠していたのは、あの二つのスキルの事だった、と」

 「それで、あんなに戦えたのを隠していたのは、不審がられない為だったわけね」

 「はい、その通りです」


 皆にさっきのスキルについて説明した。

 まあ、発言するのは、お母様とお父様がほとんどだが。

 ここで、ヘミル兄様が聞いてくる。


 「でも、何でレミアはあんなに戦えたんだ?訓練してるの、見た事無いけど?」

 「ああ、それは私が転生者だからですよ」

 「テンセイシャ?」


 あ、やべ、流れで喋っちゃった。

 まあ、良いか。

 どうせいつかばれるだろうし。


 「レミア、テンセイシャ、って何なんだ?」

 「ええ、何なの、それ?」


 うん、そもそも意味が分からなかったみたいだ。

 一応誤魔化しておくか、面白そうだし。


 「そうですね………これから言う事を信じてくれますか?」

 「ああ、勿論だ」

 「当たり前でしょう」

 「勿論、信じるに決まってるだろ」

 「信じない訳が無いわ!」

 「信じるよ」


 いやー、皆即答してくれたね。

 これなら信頼出来そうだ。


 「では……これから12年後、この国に勇者が召喚されます。その勇者に転生者とは何か、聞いてみれば私に関する全てが分かるでしょう」

 「勇者?あの、伝説の?」

 「はい、その伝説の。それと、この事は黙っていて欲しいです」

 「分かった、リューナー公爵家の名に誓おう」

 「でも、今、貴方の口からは言えないの?」

 「はい、言えません」

 「それは何で?」


 何でって、それは勿論……。


 「その方が面白そうだからです!」


 俺の言葉に家族全員が顔を唖然とさせる。


 「じゃあ、夕食も食べ終わったので、先に自室に戻らせて貰います。では」


 俺はそのまま皆を置いて、自室に向かった。




************************************


 side~リューナー公爵家~


 レミアが自室に向かった後。

 我に帰った五人は、それぞれの反応を示していた。


 「勇者か………突拍子もないな。だが、子供を信じてやってこその親だ。密かに準備だけはしておくか」

 「それはそうとして、レミアってあんなに悪戯っぽい子だったかしら?」


 マリアは不思議そうに首をかしげている。

 それもそうだろう。

 普段は素直な子が、突然悪戯めいた理由で秘密を隠しているのだから。

 マリアのその様子に、ヘミルが言う。


 「多分、今までは自分を少し、隠していたんじゃないでしょうか。自分が知っている事を隠す為に……」

 「それがこうやって話した事で信頼してくれて、自分を見せてくれたって事かな?セリフィはどう思う?」


 スレアがセリフィに意見を求めるが………。


 「ウフフ、悪戯なレミアも良いかも」


 セリフィはすっかり自分の世界に行っていた。

 その様子に、セリフィ以外の全員が溜め息をつく。


 「セリフィ?セリフィはどう思うの?」

 「え?ああ、レミアについてね。そんなのどうでも良いわよ。レミアがどう思おうと、私のレミアに対する想いは変わらないもの」


 セリフィのその言葉に、全員が一瞬驚くも、直ぐにその顔に笑みを浮かべる。


 「セリフィの言う通りだな。レミアがどう思おうと、私達の想いは変わらない」

 「ええ、全くその通りね。娘に教えられるとは、思わなかったわ」

 「これからも、レミアには今まで通り接してあげましょう」

 「うん、そうだね。…………でも、そこのセリフィの事は大丈夫なの?何か、姉弟以上の感情を抱いてる様に、僕には見えるんだけど」

 「それは………レミアに任せよう」

 「そうね、本人同士の事だもの」

 「ハハハハハハッ!!」

 「フフフフフフッ」

 「レミア……大変そうだな………」

 「まあ、それしか出来ないよ……」


 大部屋には、微妙な空気が流れていた……。


************************************


 side~レミア~


 いやー、皆の反応、面白かったなぁー。

 さて、明日はアキュレ達に訓練をつけて、その後はどうするかなー。

 冒険者ギルドにでも行ってみるかな。

 でも、確か登録出来るのが、15歳からなんだよなぁー。

 じゃあ、自分の訓練でもするかな。

 体力はあって困んないし。


 「よし、明日の予定は決まったな」


 明日が楽しみだ。

 レミアは楽しそうに、自室に歩いていった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 翌日、俺はあの空き地に向かっていた。

 お、ようやく着いたみたいだ。

 二人は……ちゃんと訓練してるみたいだな。

 アキュレは空き地をグルグル走っていて、チャールは空き地の端でアキュレを笑いながら眺めている。


 「おい、アキュレ!チャール!」

 「お、来たか、レミア。ちゃんと走り込みはやってたぞ」

 「レミア君、アキュレはちゃんとやってたよ。レミアに恥ずかしい所は見せられない、って」


 声をかけると、アキュレとチャールがこっちに集まってきた。


 「そうか、ちゃんとやってたんだな。でも、チャールはさっきやってたか?」

 「あ、その事で報告があるの!昨日、寝る前にやってたらね、身体の中に温かいものがあるのが感じられてきたんだ」


 な、一日で出来たのか。

 才能があるにしても、早すぎだろ……。


 「やったな、チャール。それが魔力だ。今も分かるか?」

 「うん、一度はっきりと感じたら、それからはずっと感じる様になったよ」

 「そうか、じゃあチャールは次の訓練だな。それにしても早すぎるが……」


 俺は言葉を止め、チャールをジッと見つめる。


 「な、何、レミア?」

 「………愛の力か……」

 「ちょっ、レミア!?何言ってるの!?」

 「はは、冗談だよ。それで、訓練内容だが」

 「あ、うん、何?」


 やっぱりチャールをからかうのは面白いな。


 「チャールの次の訓練は魔力を動かす事だ。感じとった魔力を自分の意思で操ってみせろ」

 「分かった、頑張る!」


 そう言って、チャールはさっきの場所に戻って、集中し始めた。

 じゃあ、今度はアキュレだな。


 「アキュレ、お前は今日は体力作りだ」

 「えー、昨日みたいに構えとか教えてくれよぉ、です」

 「我が儘言うな。ちゃんとお前の訓練用にあるものを用意してるんだ。それが出来るまでは体力作りだ。あと、腕立て伏せ」

 「チェッ、分かったよさっきみたいにこの空き地を走れば良いのか、ですか?」

 「ああ、それにジグザグで走ったり、途中でジャンプしたりだな。とりあえず十周だ。騎士になりたいなら、これくらい出来るだろ?」

 「当たり前だ、です!」


 そう言って、アキュレは少し不満そうにしながらも、走り込みを始めた。

 俺はやる事が無いな。

 なにやるかなー。

 素振りでもやってるか。

 俺は小太刀を出して、素振りを始める。

 一撃、一撃に集中しながら、素早く正確に振って、時折蹴りも混ぜていく。

 少し続けていると、視線を感じたので、一旦素振りを止めて、アキュレ達を見る。

 アキュレは脚を止めてこちらを見て、チャールはびっくりした様に俺を見ていた。


 「二人共、何やってるんだ?ほら、訓練再開だ!」

 「は、はい!」

 「う、うっす、分かった、りました、師匠!」


 二人は自分の訓練に戻る。

 ふぅ、全く世話がやけるな。

 俺はもう一度素振りを始めた。

 先程と同じ様に、一撃を素早く、正確に振って、より鋭くしていく。

 少し続けていると、アキュレがこっちに近づいてきた。

 素振りを止めて、アキュレの方を向く。


 「アキュレ、もう終わったのか?」

 「ああ、終わった、ぞ、です。ハァ、ハァ」


 アキュレは息を切らして、汗だくになっていた。

 まあ、容赦はしないんだが。


 「じゃあ、次は腕立て伏せだ。百回やれ。終わったらまた俺に言いに来い」

 「わ、分かった、まし、た、し、師匠」


 アキュレはそう言って、腕立て伏せを始める。

 じゃあ、俺は今度は何をしようかな。

 次は……………体術かな。

 小太刀術に比べてやってないし、スキルも手に入れてないしな。

 俺は小太刀をアイテムボックスに仕舞って、無手で構える。

 俺は拳や脚で仮想の敵を何回も、殴り、蹴りつける。

 暫く続けていると、またアキュレが近づいてきた。


 「どうした、アキュレ。終わったのか?」

 「ああ、何とか、終わり、ました」

 「よし、じゃあ、休憩だ。おーい、チャール!お前も一旦休憩だ!」

 「よっしゃー!」

 「はい、分かりました!」


 アキュレはその場に寝転がり、チャールはこっちに駆け寄ってくる。

 そうだ、休憩の内に聞いておくか。


 「おい、アキュレ、チャール。この後はちょっと別の場所に移動するぞ」

 「へ?何で?」

 「お前の訓練用に木剣を作って貰うんだよ。その人にお前を連れて来い、って言われてるんだ」

 「木剣!?じゃあ、直ぐ行こう!休憩終わり!」

 「お前なぁ。チャールは大丈夫か?」

 「うん、大丈夫だよ」

 「じゃあ行くぞ。こっちだ」


 俺は一気に復活したアキュレと、チャールを連れてリマスさんの工房に向かう。

 場所は昨日行った時に覚えた。

 暫く歩くと、やっと工房に着いた。

 俺は扉を叩きながら、叫ぶ。


 「リマスさん!レミアです!例の子、連れて来ましたよ!」

 「うるせぇ!さっさと中に入れ!」


 勝手に入って良いみたいだ。


 「ほら、行くぞ、二人共」

 「あ、ああ、分かった」

 「うん、分かったよ、レミア君」


 あらら、リマスさんの叫び声に怯えちゃったみたいだ。

 まあ、大丈夫だろ、多分。

 二人を連れて中に入る。

 リマスさんは奥の部屋から出てきた。


 「よお、レミア。その後ろの坊主が例のガキか?」

 「ええ、そうですよ。ほら、アキュレも挨拶して下さい」

 「「!?」」

 「レミア、お前そのしゃ「ちょっとこっちに来て下さい、二人共」」


 俺は二人を部屋の端に引きずっていく。


 「さて、二人共、いつもの私の事は口に出してはいけませんよ?」

 「レミア?でも、なん「いけませんよ?」分かったよ。絶対、後で教えろよな」

 「普段のレミア君の事を言わなければ良いんだよね?」

 「ええ、その通りです。お願いしますよ」


 俺は釘を刺してから、リマスさんのところに戻る。


 「リマスさん、すみません。ちょっと話がありまして。ほら、二人共、挨拶を」

 「あ、アキュレって言います。五歳です」

 「私は、チャールです。宜しくお願いします」

 「おう、俺はリマスだ。アキュレっていったな。ちょっと、両手出しな」


 アキュレの奴、自己紹介下手だなぁ。

 チャールの方が出来てんじゃねぇか。

 アキュレはリマスさんの言う通りに両手を前に出している。

 リマスさんは俺の時と同じ様に、手をジッと見ている。


 「よし、もう良いぞ。レミアの頼みだからな。ちゃんとしたのを作ってやる。期待しとけよ」

 「は、はい!」

 「ありがとうございます、リマスさん」


 はぁ、アキュレには礼儀作法も教えなきゃ駄目だな、やっぱり。

 チャールは問題無さそうだけど。

 二人を先に外に出して、リマスさんに言う。


 「じゃあ、今日はありがとうございました、リマスさん。お母様からお金はちゃんと頂いてるので、ちゃんと払いますからね」

 「なんだ、もう行くのか」

 「ええ、ちょっとあの二人……主にアキュレに礼儀作法を叩き込まなきゃいけないので」


 俺は黒い笑みを浮かべながら言う。

 今の内に教えといた方が楽だからな。


 「そ、そうか。じゃあ、またな、レミア」

 「はい、また来ます」


 ちょっと引きぎみのリマスさんにそう言って工房を出る。


 「あ、やっと来たな、レミア」

 「早く行こう、レミア君。空き地に戻るんでしょ?」


 二人が出てきた俺に気づいて、言ってくる。


 「ああ、悪かったな。行くぞ」


 俺達は三人で空き地まで走っていった。

 二人は笑いながら。

 俺は黒い笑みを浮かべながら……。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 side~リマス~


 「あいつ、マリア達に似てきたな……」


 リマスは、レミア達が去った店内で呟いた。

 さっきのレミアの顔は、昔から見てきた、レミアの両親が何かろくでもない事を考えた時の顔と、そっくりだったのだ。

 リマスも、昔はそれに巻き込まれて、大変な目に会っている。


 「親子って……似るんだな」


 リマスはさっきの二人の子供の顔を思い浮かべながら、二人に応援の念を送った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ