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勇者召喚!かと思ったら転生!?こうなったら精一杯生きてやる!!  作者: 冷星 夜姫
新しい家族~新たな始まり~
14/25

13話 小太刀と家族の日常


 あの日から五日後。

 屋敷に俺宛の荷物が届いたと、メイドが木箱を置いていった。

 あ、言い忘れていたが、俺は既に自分の部屋が与えられている。

 いやー、広いし、結構気に入ってるんだよね。

 それに、魔力の訓練も流石に三年もやってたから、息をする様にとまではいかなくとも、かなり自然に出来る様になっている。

 と、それよりも今は木箱だ。

 恐らくこれは、リマスさんからの配達品、つまり小太刀だろう。

 俺は木箱を開けて、中の布をめくる。


 「おお、小太刀だ…。だけど、今の俺には持ち手も刀身の長さも合って無い様な……ん?これは、手紙?」


 送られてきた小太刀は、柄頭から鞘の先まで真っ黒だった。

 鞘から小太刀を抜いてみると、銀色の刀身が窓から入ってきた光を反射している。

 小太刀を見て首を捻っていると、木箱の中に手紙があるのを見つけた。

 小太刀を置いて、手紙を読んでみる。


〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆

レミアへ

 よう、レミア!小太刀は無事にそっちに届いたか?

 サイズが合わなくて、驚いただろう。

 今作っても直ぐに小さくなって使えなくなると思ってな。

 大きくなっても使える様に、でかい奴を作っておいた。

 ちゃんと今から使える様に、小さい奴も作ってあるから安心しろ。

 その小太刀、大切に使うんだぞ!

<リマス鍛冶工房>リマスより


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 「小さい奴……これか。確かに小さいが、まだ俺には大きいし、五歳までは使えるな」


 木箱の下の方に置いてあった小太刀は、さっきの小太刀の縮小版のようなものだった。


 「あ、そう言えば、まだ鑑定で見てなかったな。見てみるか」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

【小太刀・銀閃】

【二刀一対の小太刀。斬れ味上昇の効果が付与されている。かなりの業物。】


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

【小太刀・訓練用小太刀】

【訓練用の小太刀。子供用に小さく作られていて、斬れ味は少し悪くなっている。】


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 「銀閃……か。随分と凄い物を作って貰っちゃったな。大切に部屋に保管しておこう」


 銀閃を木箱に仕舞い、ベッドの下に隠しておく。


 「じゃあ、訓練を……と言いたいが、流石に三歳児がやってたらおかしいからな。これも部屋に置いておくか。それで俺がやる事と言えば、また書庫で本でも読むかな」


 結局、やる事は変わってないな。

 俺は苦笑いをしながら部屋から出て、書庫に向かう。

 本来なら、俺はメイド長(出産の時のメイドだ。どうやらエルフだったらしい)の授業を受ける筈なのだが、必要な知識は書庫に通っていたので既に覚えてしまっていて、貴族としての振る舞いも兄弟達を見て出来ているので、授業を受けなくても大丈夫だとメイド長さんに言われ、俺はやる事がなくなったのだ。

 因みに、今着ているのはあの日の買い物で買って貰った服だ。

 真っ黒の、貴族が着る様な高価な半袖短パンだ。

 キチンと装飾が施されていて、一目で高いとわかる。

 と、書庫の前に着いた。

 今回は歴史書を読むので、その間、リューナー家について話しておこう。

 リューナー家は、大きな権力を持つ大貴族だ。

 王家から王都の近くの領地を与えられており、リナーベルと言う街に屋敷を構えている。

 当主、ピリアム・フォラ・リューナーは、領民からの信頼が厚く、多くの領民に慕われている。

 その保有兵力は大きいが、私利私欲の為に使われた事は、一切無い。

 なので、屋敷にも兵士は沢山いるが、仕事の方に全力で当たって貰う為、ヘミル兄様の剣術の指導には、冒険者のリーグルさんが雇われたのだ。

 先代は早めに当主の座を退き、今はお婆様と一緒に隠居旅行中らしい。

 と、読み終わった。


 「あー、もうやる事が無いな。皆の様子でも見てくるかな」


 何もやる事がなくなったので、屋敷をぶらつく事にした。

 最初は庭かな。

 この時間なら、まだヘミル兄様とリーグルさんが訓練をしている筈だ。

 庭に出ると、二人は丁度模擬戦を始めたところだった。

 邪魔しちゃ悪いので、隠密を使って出入り口辺りの壁に寄りかかって見ている事にする。

 最初に仕掛けたのは、ヘミル兄様だった。

 使っているのは、片手剣型の木剣かな。

 左手は何も持っていないが、多分、魔法用になるんだろう。

 ヘミル兄様は木剣を縦に振り下ろす。

 リーグルさんはこれを軽く避けて、木剣を横に振る。

 ヘミル兄様はそれを下から斬り上げて、後ろに回避しようとする。

 が、リーグルさんは弾かれた反動を利用して、そのまま一回転してヘミル兄様の首に木剣を当てた。

 リーグルさんの勝ちだな。

 ヘミル兄様も八歳なのにあの動きって、凄くないか?

 やっぱりリューナー家っておかしいな。


 「昨日より判断が速くなってたな。だが、まだ型にとらわれているぞ」

 「だって師匠、私はまだ八歳ですよ?出来る訳無いじゃないですか」

 「ほう?そんな弱気を言って良いのか?」

 「いいんですよ、どうせ師匠以外は誰も聴いてないし」

 「じゃあ、あそこに居るのは誰だ?」

 「え?あそこって………レミア!?ま、まさか今の聞いてたか?」

 「はい、はっきりと!」


 リーグルさんに言われて俺に気づいたヘミル兄様が聞いてきたので、元気に答えておく。

 俺の返答に、ヘミル兄様は肩を落とす。


 「ヘミル兄様、大丈夫ですよ。誰でも弱気になる事はありますから」

 「あ、ああ、ありがとな、レミア。でも、三歳児に教えられる俺は一体……」


 ヘミル兄様は苦笑いしている。

 まあ、普通三歳児が言う言葉じゃないからな。

 ヘミル兄様と話していると、リーグルさんが話に割って入ってくる。


 「よう、レミア。悪いが、まだ訓練があるから、話は後にしてくれないか?」

 「あ、はい。こちらこそ、訓練の邪魔をしてすみません。ヘミル兄様、じゃあね」

 「ああ、じゃあな、レミア」


 俺は二人から離れて屋敷に戻る。

 次は……セリフィ姉様のところかな。

 俺はセリフィ姉様の部屋に向かう。

 扉のノックして中に呼び掛ける。


 「セリフィ姉様ー、レミアです。入っても良いですか?」

 「うん、入ってー!」


 返事が返って来たので、部屋に入る。

 セリフィ姉様は窓際の椅子に座っていた。


 「それでレミア、何か用があったの?まあ、いつでも来てくれて良いんだけどねー。あ、レミア、そっちじゃなくてここ!」

 「え、はい、分かりました」


 向かい側に座ろうとしたら、セリフィ姉様が自分の脚を叩いてそう言ったので、一瞬戸惑うが、直ぐに従う。

 座ったら、直ぐにセリフィ姉様が抱きついてきた。


 「それで、レミア。本当は何か用があったの?」

 「いえ、やる事が無いので、屋敷の中をぶらついてただけですから。セリフィ姉様は何をしていたんですか?」

 「私はねー、お勉強してたんだよー。でも、レミアが来たから、一緒に遊ぶの!」


 その時、扉がノックされ、メイド長さんが入ってくる。


 「セリフィ様、失礼します。あら?レミア様もいらしたんですか?」

 「うん!今日は勉強やめて、レミアと遊ぶのー!」

 「駄目ですよ、セリフィ様。レミア様はもう出来ていますが、貴女はまだなんですから」

 「えー、そんなー」


 メイド長さんは、俺に目線を合わせて言う。


 「レミア様、申し訳ありませんが、セリフィ様と遊ぶのは、また今度にしてくれませんか?セリフィ様は、これから勉強ですので」

 「はい、分かりました。セリフィ姉様、また今度遊びましょうね」


 俺は床に降りて、部屋から出る。

 最後に一言。


 「セリフィ姉様、お勉強頑張って下さいね」

 「!うん!お勉強頑張る!」


 セリフィ姉様がやる気になったのを確認し、その場から離れる。

 メイド長さんも頬を赤くしてた様な気がしたが、俺の顔ってそんなに格好いいのか?

 そう言えば、鏡をちゃんと見た事が無いんだが。

 まあ、今は次、何処に行くかだな。

 お父様は街に行ってるし、お母様もお父様と一緒に行ったから……。

 スレア兄様の所かな、やっぱ。

 俺はスレア兄様の部屋に向かう。


 「スレア兄様!レミアです、入ってもいいですか?」

 「うん、入って良いよ、レミア」


 スレア兄様は、本を読んでいたみたいだ。

 だが、あの本は書庫では見た事が無い。


 「スレア兄様、その本は何ですか?」

 「ああ、この本?この前、父上が買ってきてくれたんだ。『魔道具図鑑』って本なんだけどね、意外と面白いんだ」

 「へぇー、魔道具の図鑑ですか」


 確か職業も魔道具職人だったし、そういうのが、気になるのか?


 「レミアも読むかい?よく書庫に居るし、本が好きなんだろう?」

 「いえ、確かに本は好きですが、そういうのはスレア兄様に任せますよ。私は、今は別の本が読みたいので」

 「別の?何の本を読みたいんだい?」

 「魔物についての本です!」


 いつか戦う事になるだろうから、調べておきたいんだよな。


 「へぇ、じゃあ今度父上に頼んでみたら?レミアのお願いなら、簡単に聞いてくれるよ」

 「はい、そうしてみます!あ、もうそろそろ夕食の時間ですね。スレア兄様、一緒に行きましょう!」

 「うん、行こうか」


 夕食は何かなー。



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