10話 夜の書庫
あれから9か月が経ちました。
いやー、赤ん坊ってやる事が無いから、時間経つのが早いんだよ。
因みに、魔力切れは続けてた。
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【レミアーク・ファル・リューナー】
【種族・人間】
【職業・暗殺者/道化師】
【Lv1】
体力 8
魔力 57
筋力 6
耐久 14
敏捷 9
【固有スキル・吸収/不屈/黒鴉之紋翼】
【特殊スキル・無音歩行/天駆/二刀流/闇化/道化/ポーカーフェイス】
【通常スキル・小太刀術/気配察知/魔力感知/魔力操作/偽装/礼儀作法/闇魔法/鑑定/詐術】
【称号・勇者/闇の化身/転生者/公爵家三男/嘘つき】
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(魔力は赤ん坊にしては、かなり高いんじゃないかな。他の能力値も上がってるのは、手足をいっぱい動かしてたからだ)
重大な報告がある。
実は、最近ハイハイが出来るようになったのだ!
これで、外は無理でも、家の中なら動けるだろう。
今はもう夜なので、皆寝ている。
ばれずに行動する、絶好のチャンスだ。
俺は柵をよじ登り、ベビーベッドの脚にしがみつき、下に滑り落ちる。
脚から床につくが、無音歩行があるので全く音が鳴らない。
俺はハイハイで、扉まで移動して、止まる。
(ここが一番の問題だったんだよな。だが、俺には天駆がある!)
俺は天駆を使い、ドアノブのところまで跳び、空中に立って扉を開ける。
俺は素早く地面に降りて、部屋から出る。
(ふぅー、無事出られたな。やっぱり広いなこの家)
俺は廊下を歩き、部屋を一つ一つ確認していく。
因みに今居るのは二階だ。
一通り探したが見つからない。
階段を下りて、一階に移動する。
玄関もかなり広いな、流石公爵家。
一階も二階と同じ様に探していく。
(あ、あった!やっぱり、本があるのは書庫だよなー)
俺は先程と同じ様に扉を開けて、書庫の中に入る。
(うわ、凄い量だな。目当ての本は見つかるかな?)
俺は、本の多さに圧倒されつつも、魔力関連の本がないか、探していく。
ないかなー、っと、あった!
(えーと、何々?題名は『必見!理想的な魔力の運用法』か。なかなか面白そうだな)
俺は、本を床に置いて表紙をめくる。
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目次 第一章<魔力とは>
第二章<魔力の動かし方>
第三章<魔力で出来る事>
第四章<魔力の鍛え方>
第五章<魔力の操作に慣れる方法>
第六章<理想的な使い方>
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俺は第一章と第二章をとばして、第三章から読み始める。
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第三章<魔力で出来る事>
魔力で出来る事で、最初に思い浮かぶのは、魔法だろう。
魔法は自分の中にある魔力で、空気中の魔素に干渉して、イメージした現象を起こす技術である。
魔法は、自分の持っている属性の魔素にしか干渉出来ない。
魔力で出来る事は他にもある。
その内の一つが身体強化だ。
これは戦う者なら、大半の者が身に付けている。
魔力を身体の中で循環させて、身体能力や身体の硬度、柔軟性を上げるのだ。
これを使えれば、子供でもゴブリン位なら戦える様になる。
ただ、これは使用中魔力を消費するので、長時間は使用出来ない。
もう一つが、魔力で直接戦う方法だ。
これは、大まかに二つに分けられる。
まず、魔力撃。
魔力を固めて放つ方法。
これは、魔法よりもかなり早く放つ事が出来るが、魔法よりも威力が下がり、魔力の消費量も増加する。
次が、魔装。
魔力を身体の表面に纏い、身体の防御力をあげたり、魔力の形を変えて固めれば、武器にもなる。
これは、身体強化と重複して発動すれば、かなりの相乗効果を生み出すが、魔力の消費量がとてつもなく多い。
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(魔法以外にも、こんな使い方があるのか。身体強化は……こうか?)
俺は自分の身体の中にある血管に、血と一緒に魔力も流れる様にイメージしながら流してみる。
すると、初めは少しつっかかる感じがしたが、次第にスムーズに身体の隅々まで廻る様になった。
(これは……結構、維持するのがきついな。てか、魔力がどんどん減ってる)
まだ試す事があるので、魔力を使いきる訳にはいかない。
次に試すのは、魔装だ。
今度は身体の表面を覆う様に魔力を出して、みる。
(うわっ、ヤバッ!)
だが、俺は直ぐに魔装を解く。
魔力の消費が激しすぎて、一瞬で無くなりそうになったのだ。
一応試し終わったので、また本に視線を戻す。
次は第五章からだ。
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第五章<魔力の操作に慣れる方法>
魔力の操作に慣れるには、とにかく使い続ければいい。
日常でも魔力を操作し続ければ、息をする様に操作出来る様になる。
これには根気と時間が必要になるが、出来ればかなり戦闘の助けになるだろう。
使うなら、身体強化が一番いい。
身体強化が一番使い続け易いし、ついでに耐久も鍛える事が出来る。
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(身体強化を使い続けるのか。大人なら生活に支障が出そうだが、俺は赤ん坊だから問題ないな。)
俺はこれを実行する事を決めて、次の第六章を開く。
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第六章<理想的な使い方>
魔力の理想的な使い方は、魔力を身体に留める方法だ。
魔法や魔力撃は別だが、身体強化や魔装を使う時には、身体から魔力が流れ出している。
これを身体に留める事が出来れば、魔力の消費もかなり抑えられ、その魔力も循環させれば効果も上がるだろう。
だが、これを実際に使える者は少ない。
これは、とてつもない集中力を必要とするのだ。
これを使いながら戦える様になるには、時間を必要とする。
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(成る程、魔力を留める、か。身体強化でやってみるか)
実際にやってみると、確かに魔力の消費量は格段に少なくなった。
だが…………。
(ぐうぅぅぅ!っはぁ!む、難しいな。微かに意識をそらすだけでも解ける。だが、これを続ける事が必要なんだ。これも使い続けてみせるぞ!)
俺は決意を新たにして、気を引き締めた。
本を本棚に戻して、寝室に戻り、ベビーベッドに横になる。
(あー、ヤバイ。魔力を使い過ぎた。もう、眠…い……)
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(あー、よく寝たー!じゃあ早速始めるか)
俺は集中して、本に書いてあった通りに魔力を操作する。
そして、また眠りにつき、昼頃に起きた。
また始めようとすると、部屋に気配が近づいてくるのを感じた。
(あ、この気配はヘミル兄様だ。また遊びに来てくれたのかな)
この家の長男のヘミル兄様は、勉強が終わると、たまに遊びに来てくれるのだ。
部屋の扉が開いて、ヘミル兄様が中に入ってくる。
「なあ、レミア、聞いてくれないか?」
(ん?何か今日は一段と嬉しそうだな。何かあったのか?)
「実は明日、教会にステータスを貰いに行くんだ。ああ、レミアは知らないよな。ステータスっていうのは、強さとか能力とかを目に見える様にしたものだよ。普通は五歳になると、教会に行ってステータスを貰うんだ。英雄譚にでてくる勇者様は最初から見れるみたいだけど」
へー、本来はそうやってステータスを見れる様にするんだ。
あ、因みに鑑定で見たヘミル兄様のステータスがこれだ。
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【ヘミルード・フゥル・リューナー】
【種族・人間】
【職業・魔法剣士】
【Lv1】
体力 37
魔力 51
筋力 24
耐久 28
敏捷 31
【特殊スキル・魔法剣】
【通常スキル・剣術/雷魔法/礼儀作法】
【称号・公爵家長男】
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魔法剣士だからなー。
結構良い職業だと思うよ?
あ、お父様のステータスは見れなかった。
隠れてて、?にしか見えなかったんだよな。
多分、偽装のスキルを持ってるんだろう。
そして、少しの間話すと、ヘミル兄様は部屋から出ていった。
俺は魔力の訓練を再開する。
俺はまた眠りに落ちていった。