9話 家族
(ん、んー、あれ?俺、寝ちゃってたのか)
部屋の窓から、光が入ってきている。
(んー?何で寝ちゃったんだ?最後は魔力を動かしただけ、って、まさか)
俺はステータスを出す。
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【レミアーク・ファル・リューナー】
【種族・人間】
【職業・暗殺者/道化師】
【Lv1】
体力 ∞
魔力 5
筋力 1
耐久 2
敏捷 1
【固有スキル・吸収/不屈/黒鴉之紋翼】
【特殊スキル・無音歩行/天駆/二刀流/闇化/道化/ポーカーフェイス】
【通常スキル・小太刀術/気配察知/魔力感知/魔力操作/偽装/礼儀作法/闇魔法/鑑定/詐術】
【称号・勇者/闇の化身/転生者/公爵家三男/嘘つき】
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(やっぱり。魔力が増えてる。魔力が枯渇したんだな。キュシアさんは、魔力を上げるには魔力を使いきる、って言ってたしな。真面目に聞いておいて良かった。耐久が上がってるのは、赤ん坊には、魔力切れは負荷が大きかったからかもな)
それにしても、腹減ったなー。
と、そう思った途端、大きな泣き声が聞こえた。
(て、俺の声か。体は赤ん坊だから、我慢が出来ないのかもな)
ここは父親と母親の二人の寝室みたいで、ベッドに二人が並んで眠っている。
俺の泣き声に起きた母親が、こっちに来て、俺を抱き上げた。
そのまま椅子に座り、服をめくった。
(え、えぇぇぇ!!?な、何をして、って、あ、そうか!俺、今赤ん坊だったんだ。って事はご飯も………)
「レミア、ご飯だよ、ちゃんと食べてねー」
(やっぱりぃー!)
しかし、恥ずかしがっていても、腹は一杯にはならないので、仕方なく口にする。
その後、俺がお腹一杯になると、母親はベッドに戻って寝直した。
父親はその直ぐ後に起きて、母親と俺を見ると、着替えて部屋から出ていった。
(はぁー、恥ずかしかった。あれがこれからも続くのか。はぁー)
俺は溜め息をつくが、実際には溜め息など出ない。
(でも、この後どうするかな。やっぱり魔力切れをするかな?でも、せっかくの一日だしなー)
結局、やる事が無いので、魔力切れをする事にした。
(ああ、やっぱ、ね…む………)
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(ん、あー!うるさーい!)
自分の泣き声で目が覚めた。
ベッドには母親はもう居ない。
泣き声を聞いてか、廊下から走るような音が聞こえてきた。
部屋の扉が開き、出産の時とは別のメイドさんが入ってくる。
「はーい、何ですかー、レミアーク様?ああ、成る程。今おしめ替えますから、ちょっと待って下さいね」
(なっ!?だから俺、泣いてたのか!?)
メイドさんが替えてくれるが、さすがに恥ずかし過ぎるので、ステータスを確認して意識をそらす事にする。
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【レミアーク・ファル・リューナー】
【種族・人間】
【職業・暗殺者/道化師】
【Lv1】
体力 ∞
魔力 8
筋力 1
耐久 3
敏捷 1
【固有スキル・吸収/不屈/黒鴉之紋翼】
【特殊スキル・無音歩行/天駆/二刀流/闇化/道化/ポーカーフェイス】
【通常スキル・小太刀術/気配察知/魔力感知/魔力操作/偽装/礼儀作法/闇魔法/鑑定/詐術】
【称号・勇者/闇の化身/転生者/公爵家三男/嘘つき】
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(おお、やっぱり上がってるな。これは毎日一回はやっておくか)
と、どうやら終わったみたいだ。
これからはこうやってやり過ごそう。
メイドさんは既に部屋から出ていっている。
俺はせっかくなのでスキルの検証をする事にした。
(転生する前も使った事がないスキルが、結構あるんだよな!吸収は今は使えないし、不屈はパッシブ系のスキルだからなー。黒鴉之紋翼は使ったら騒ぎになるだろうし。あ、そういえば、転生してから偽装してなかったな)
て事で、ステータスを全部隠しておく。
その後、試せるスキルが無いのが分かったので、気配察知と魔力感知を常に使っておく事にした。
すると、この家に居る人の位置が大体分かる。
皆、それぞれの部屋から全然動かないな。
あ、一つ動いた。
(って、こっちに向かって来る?)
その気配はこの部屋の前で止まった。
扉がノックされ、廊下から女の子の声が聴こえてくる。
「お母様、失礼しまーす。あれ?お母様居ない。あ、そっか。お父様の所に居るのかも」
そう言いながら、女の子は部屋に入る。
もう気づいてるだろうが、この女の子は俺の姉だ。
姉は、部屋に入ると真っ直ぐ俺の方にやってくる。
「レミア、遊びに来たよ。せっかくだから、レミアが好きな事をして遊ぼっか。うーん、赤ちゃんて、何が好きなんだろ?」
遊びに来てくれたのか、良いお姉ちゃんだな。
それにしても俺が好きな事か。
(城でやってたのは、訓練だけだしな。あ、そうだ、本は無いのかな。魔力について、もっと知りたいんだけど)
俺は体を色々動かして、本を読みたいと伝えてみる。
「ん?わー、元気だねー、レミアー。外に出たいのかなー?」
(駄目だ、全然伝わってない)
伝わる気配が無いので、諦める。
姉はまだ考えていたが、その時、母親が部屋に入ってきた。
「あら、セリフィ、何してるの?」
「あ、お母様!今ね、レミアと遊んでたの」
「あら、そうなの。レミア、楽しい?」
母親がそう聞いてくるので、笑って答えておく。
そうしながらも、俺は別の事を考えていた。
(姉はセリフィって名前なのか?そういえば、まだ人に鑑定使ってなかったな。使ってみるか)
俺は母親と姉に鑑定を使ってみた。
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【マリア・シャン・リューナー】
【種族・人間】
【職業・魔導師】
【Lv59】
体力 1814
魔力 5792
筋力 795
耐久 683
敏捷 679
【特殊スキル・魔法陣】
【通常スキル・火炎魔法/大地魔法/魔法融合/魔力再生】
【称号・元公爵家次女/元宮廷魔導師団団長/溶解の魔女/リューナー公爵家夫人】
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【セリフィローナ・フェン・リューナー】
【種族・人間】
【職業・舞踊剣士】
【Lv1】
体力 18
魔力 31
筋力 13
耐久 17
敏捷 14
【特殊スキル・舞踊】
【通常スキル・剣術/礼儀作法】
【称号・公爵家長女】
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(うわ、凄いな、母親の方は、て、やっぱり言いづらいな、母親って。公爵家だから、それっぽい呼び方が良いよな。これからはお母様、姉はセリフィ姉様と呼ぼう)
結構恥ずかしいけど、いつか慣れるだろ。
(それはそうと、お母様のステータス、凄いな。Lvなんか59だし、称号も結構持ってる。てか、宮廷魔導師団団長って、キュシアさんと同じだな。セリフィ姉様の方は、まあ、Lv1だし、これが普通なんだろう)
お父様もこんなに強いのかな、なんて考えていると、部屋に小さい方のお兄様が入ってきた。
「あれ、セリフィも来てたんだ。レミア、僕とも遊ぼ」
お兄様がそう言いながら、手をこっちに伸ばしてきた。
その手を掴んでみる。
「あ、お母様、レミアが僕の指掴んだよ」
「あら、本当。良かったわね、スレア」
「あー、スレアだけズルい!私もー!」
あー、元気だなー、本当に。
お兄様のステータスも見てみる。
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【スレアーシャ・フォン・リューナー】
【種族・人間】
【職業・魔道具職人】
【Lv1】
体力 23
魔力 25
筋力 21
耐久 18
敏捷 20
【固有スキル・天性の閃き】
【特殊スキル・職人の手】
【通常スキル・魔道具作成/礼儀作法】
【称号・公爵家次男】
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(スレア兄様は生産職か。何かスキルも凄そうだし、ヤバいな、家族揃っておかしい)
この家族ってどうなってるんだろうな。
俺が産まれたから更にヤバい家族になってるし。
(あ、やば、なんか眠く…。そういや、俺、赤ん坊だった…な……………)