緊急告知
「・・・って変なテンションでお店に入って行ったのを思い出すわー」
ジュンキはレイカをからかった。
時には大学同期であり、レイカとは双子のモモカを引き合いに出していた。
「モモカとレイカって双子なのに全然似てへんもんなーレイカちゃん」
「もういいわよ・・・で、話ってなんなの」
ジュンキは深刻そうな顔をして、
「わし、とんでもないことしてしもうた・・・レイカちゃんは聞き役に徹してくれたらええ。」
「別に私でよければ・・・事業に失敗して借金したとか?」
「うん、いかにも僕が仕出かしそうなこと言うけどな、それは外れや」
「そうなんだ、それじゃあ」
いまいち空気の読めないレイカにジュンキは強調した。
「もう一度言うわ。あなたは聞き役に徹してくれたらええ。」
「わかったわよ・・・。」
「そんな嫌な顔せんといて」
「別に・・・」
今日のジュンキはいつもと違う雰囲気だ。
そこにはいつものおちゃらけた天真爛漫の能天気はなかった。
しかし、ジュンキはやはり宇宙人だった。
何を考えているのかわからない奴ゆえ、
「大したことではない。僕、作者にクレームつけてもうたんや。それだけや。」
レイカはキョトンとした。
「へぇ、どんなクレーム?」
ジュンキは話を進めた。
「例えばな、野球やっとる主人公の家族構成とか学園生活とかどうでもええわ、とか。野球やっとるんやからそっちに集中せいってね。あと字数稼ぎなどその他細かいことも指摘してみたんや。んまぁ、多少の繋がりはあるかもしれん。もしかするとな、今世紀最大級のストーリーになってるかもわからん。だからこそ敢えて厳しいことを言うてもうたんや」
「へぇ・・・次元が凄まじいね」
「やろ?せやからここの世界が現実にしろ架空にしろ作者は存在するし、筋書きのないドラマなんてあるやろ?野球の神様信じられとるやろ?実はこっそり誰かが筋書き作っとるかもしれんし、ここにいるぺらっぺらの漫画のキャラクターからしたら神様がその漫画の原作者になるわけや。意味わかるやろか?」
「なるほどねぇ(わかってるふり)」
「わしは愛のつもりで叱咤激励したんやが・・・裏目に出てもうた。反省文まで書かせてしもた。もうどうにもならん。」
「つらいよね(わかってあげてるふり)」
「過ぎたことはしょうがない。責任とるわ。せやから今日から猫になる。」
「は、はぁ・・・」
「愛知県出身最終学歴滋賀大学経済学部卒25歳独身鵜飼潤喜様の称号は猫となる!」
「oh・・・」
「というわけでペットショップでわしを売ってくれ」
「あ、頭大丈夫?」
「それかペットにしてもいいにゃーん」
もう彼の暴走は止められない。