マイケル?
ん〜……
今日はなんだか、目覚ましが鳴ってないのに目が覚めた。
そうか、学校へ行きたくないからだ…
くっそぉーミクめ……
下へ降りると、昨日と同様、朝食が出来ていた。
なんとも朝がよく感じられる…
いやいや、今はそれどころではない。
「おはよ!使途っ!」
俺にジャンプで飛びついてきたミク…
しがみ付いたミクを、無理やり剥がす。
「いいか、朝から過激なのはやめてくれ」
「朝じゃなかったらいいのねっ!?じゃあ今日の放課後、学校の体育か……」
「死ね」
さっさと朝食を食べ始める。
ミクも、俺の隣に楽しそうに座って食べる。
なんでこんなに元気なんだ……
そりゃそうか…コイツには何にも関係ないもんな…
俺は同級生じゃなく、ただの世話してくれるお兄さん的な……
ん?俺のほうが世話してもらってないか?
ミクは自分の食器を片付けている。
なんて世話しない子だ。
ちょっと見直した。
「ミクは使途のお嫁さん〜今は違ってもそうなるよ〜♪」
スマン。さっきの撤回だ。
鼻歌がおかしいだろ…
「なぁ。お前、今の俺の心境分かってる?」
「早く彼女がほしい」
く…痛いところをついてきやがる。
「お前、危機感なさすぎ…」
「なんであたしが危機を感じなきゃいけないの?」
「俺とお前が一緒に生活してるとおかしいだろ」
やっぱりガキはガキだ…
許して、ごめんなさい、で済むと思ってやがる…
そんなんで済めば警察(いるが)いらないんだよ!
でも、今回の場合はどちらかと言うと弁護士がほしい。
俺のフォローをしていただきたい。
「大丈夫よ〜あたし昨日、神様にお願いしたからっ!」
おぉ!なぜ俺は気づかなかった!
「じゃあ光は忘れてるのか?」
「ううん。忘れさせるのは無理だから、お友達ってことにしておいた」
それはそれでまずいのでは…
しかし、状況はマシになった。
学校への足取りが軽くなる。
おっと、時間がない。
「ミク!学校行くぞ!」
ミクがびっくりした顔をしている。
「別々じゃないとまずいんじゃないの?」
あぁそうだった。
「スマン、先に行く」
先に家を飛び出す。
そういやアイツ、どこに制服とか置いてあるんだ?
いやいや、望めばすぐに出てくるか…
よっしゃー学校ギリギリセーフ!
教室へ勢いおく飛び込む。
男子の視線が、昨日に増して痛い…
席につくと、数人の男子に囲まれる。
「使途くぅ〜ん?君、もうミクちゃんと仲良くなったってねぇ〜本当かぁ〜い?」
「あ……あぁ、分からないこと教えてあげたら…そうなった」
バコン!
ひやぁ〜机を思いっきり叩かれた。
「君は何もしなくていいんだよ〜僕たちが教えるから〜」
俺は事情聴取される犯人かよぉ…
男子たちの後ろで、光が笑ってやがる。
あとでコロス。
ガラガラガラ
やったぁ〜先生だぁ…助かったぁ!
「コラコ〜ラ!この人〜ハ悪くないです〜ヨ」
は?
「お前、誰だ!?」
男子達の間を通って、俺の真横に立つ。
「ワタクシ〜ハこの人の弁護士〜で、あるのデ〜ス」
「誰?」
「マイケル=インチキ、デ〜ス」
確かにインチキだ。
なんでこんなやつが学校にいるんだ…
「あぁー!!!」
そうだ…俺が弁護士に来てほしいと思ったんだ…
「おい、使途!お前知り合いか?」
「いや、まったく知らん。つか、知りたくない」
みんな一斉に頷く。
「それ〜は、それ〜は、ヒッド〜イんじゃ、あ〜りませ〜んカ!?」
みんなの顔がやつれ始めた…
「使途、許してやるからコイツどうにかしろ…」
「ワタクシ〜はこの人〜の弁護士〜だって、言ってる〜じゃないです〜カ」
うぜぇ…
ガラガラガラ
「みんな早く席に………誰だ!?お前は!?」
「おやお〜や、見つかってしま〜いましたネ」
「不審者だぁーーーー!!!!!」
大声で怒鳴った先生…
「ホッホッホ。ワタクシ〜はこれにてさら〜ばでゴザル〜」
おい、ホントにインチキだな。
最後に日本の文化盗んで行きやがったぞ。
教室から一目散に逃げていった。
「なんだったんだ……アイツ…」
みんな俺のことなど目もくれず、席についた。
なんだかんだと言って、俺助かったじゃん!
いつの間にか後ろには、ミクが来ていた。
その後は、不審者が現れたときの対処法を学ぶため、全校集会が行われた。
めんどくさいとは思ったが、ミクとのことがばれるよりマシだ。
それにアイツ(マイケル)のおかげで若干、助かったしな。
今日も一日が終わり、光と一緒に帰る。
「なぁお前、俺のこと…」
「ゴメンっ!誤るから許してっ!」
先に手を打たれた。
「……………………………うん」
すげぇ思い空気だ……
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「じゃあな」
すっげー気まずかった。
別れ道に、こんなにも喜びを感じるとは…
「あ…今日は俺、お前ん家行くのやめとくよ」
「よろこんで」
そりゃ君も来づらいでしょうね。
しかし、こっちにもそれ以上に来てほしくない理由があるのだよ。
「ん、じゃあな」
光と別れた。
あぁ…今日は凛と喋ってないな…
それどころか、光ともまともに喋ってないんじゃないのか?
まぁばれなかっただけよしとしよう。
家へ着いた。
ん?灯が点いていない。ミクいないんじゃないか?
「ただいま…」
シ〜ン
「いないじゃん」
家の隅々まで探したが、見当たらない。
まさか、変な人に捕まったり?
だが、あんなガキ捕まえてもねぇ…
いや、万が一と言うこともあり得る。
「ぷっ」
何真剣に考えてるんだ俺は……
あんなやつ、いなくなっても別に…………よくない。
アイツのおかげで、飯とか作ってもらえてるしなぁ。
でもそんな理由じゃ馬鹿みたいだし、一応俺がめんどうを見る役になってる(気がする)から、探したほうがいいって理由はどうだ?
しかし探しに行ってどうもなかったら、俺馬鹿じゃんか。
どうするべきかなぁ…
ふと、ミクの笑顔が頭を過ぎる。
……………
……あぁ、もう!
家を飛び出す。
俺、相当馬鹿だ。俺のおせっかいめ!
「あ、帰ってたの!?」
ぶはっ…
まさか玄関を飛び出て即、会うとは…
「ゴメン、もうお前のことは心配しない」
あぁ…ストレート投げてくると見せかけて、変化球が実は来る、と思ったが裏の裏をかいて、ストレートを投げてくると想定してバットを振ったら、変化球で合ってて、空振り三振した感じの気分だ。
(まったく意味が分からないかも知れないが、なんとか理解してくれ)
「もしかして、心配してくれてたの!?」
一応、ガキのお守りってことでな…
「なんて優しい人なの!?胸が高鳴る、どきどきする。そう、これこそが恋…恋なのねー!?」
やめてほしい…
「お前、演劇部か?」
「違うわよ。なんで?」
もういい……
家へ入り、テレビをつける。
ニュースが始まるところだった。
「こんにちは、視聴率が低いニュースです」
認めてるんだ……
「速報です。今日午前、都内の学校に不法侵入した、マイケル=インチキ容疑者が捕まったとのことです。彼は、インチキな日本語で、事情聴取を受け答えてます。」
「ぶ……捕まったのかよ」
夕飯の準備をしていたミクがこちらを見る。
「あぁ、朝いた人?」
「そう」
マイケルどうなったんだろう…
「以上で、視聴率が低いニュースを終わります」
は?
????
「ってこらー!今始まったばっかじゃねーか!」
わけわかんねぇよ。
「短気な男ねぇ。光る箱に向かって怒鳴っても、仕方ないじゃない」
「こんな番組許されるのか?」
はぁっと、ため息をつき俺の前に来る。
「いい?番組がやってたら、成り立ってるの。それでいいの。」
ダメだろ。
夕食を食べようと、椅子に座りながらふと思った。
「ところで、なんでお前が飯を作ってくれてるんだ?」
俺が無理に押し付けたわけでもないし、そんな趣味もない。
「何言ってるの?ペットに餌をやるのは当たり前じゃない」
何様だてめー。
「お前はここの家の主が誰か、分かってるのか?」
は〜!?と言って詰め寄ってきた。
「あたしよ、あ・た・し!」
死ね。
勝手に上がりこんで、居候してるくせに…
「だからあんたは、あたしの犬。黙ってここにいればいいの」
あ〜そうかいそうかい。俺は犬かい。
お前の意見はすべて無視しよう。
さっさと飯を食べ終えて、二階へ上がっていく。
「あたしがいないからって、1人で変なことしちゃだめよー!」
「誰がするか!」
つくづく可愛げのないやつめ…
でも、ミクが来てから少しは家が楽しいな。
そういやアイツ、学校ではほとんどみないな…
当たり前か。この二日間、寝て、全校集会をしただけだ。
明日は、普通の学校生活が送れるといいな…
ほんとに。