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妙な学園生活  作者: rouge
3/20

ばれた…

リリリリリリリ

「ん…ん〜朝か…」

リリリ…ポチッ

何故か布団の中に、やわらかいものがある…

「うわぁっ!」

俺の布団の中にミクがいた…

「ふへ……」

目をこすって眠そうにしている。

「お前、なんで俺のベッドの中に入ってんだよっ!?」

「はひ…?俺のペットになってくれ…?」

完全に寝ぼけてやがる。

ったく…

「まぁいい。学校行く準備するから。そこで大人しくしてろ」

顔を洗い、歯を磨いて下へ降りる。

ん?飯の匂いが…

テーブルの上には、朝食と紙が置かれていた。

「あいつがやったのか?」

紙には下手な字で、いってらっしゃいと書いてある。

そうか。一度起きて、もう一度ベッドに入るときに間違えて俺のベッドに入ったのか。

「かわいいじゃん」

「ホントに!?」

ミクが後ろに立っていた。

長い髪を結んでいるようだ。うまく結べずにイライラしている。

「あぁ、お前が今後ろにいなかったらそう思ってた」

髪を結ぶのを手伝う。

サラサラとしている金髪の髪は、すごくきれいだ。

「ありがとっ!」

満面の笑みを浮かべたミクはかわいらしい。

「これ、ホントにお前が作ったのか?」

椅子に座りながら問いかける。

「うんっ!パパもママも作ってくれなかったから……」

どうやら昨日言ってたことは本当らしい。

「食べてみて。絶対おいしいよっ!」

テーブルに両肘を着いて、短い足を椅子の下にブラブラしながらこちらを見ている。

正直、食べづらい…

魚を一口食ってみる。

「おいしい」

「やっぱねっ!」

ピョンッと椅子から飛び降り、俺の膝にのる。

「この魚はね、柚子味噌がポイントなのよ!これはねぇ………」

なんか変なガキだなぁ…

「あっ俺そろそろ学校行かないと」

ミクを抱き上げて、床に降ろすと怒っていた。

「おいっ!こんな家にあたしだけを残すつもりっ!?」

「あぁ。誰も来てくれと頼んだ覚えはないからな」

あれ?待てよ…

「ひっどー!だから経験0で、彼女も出来ないのよっ!」

「うるせーっ!」

ませガキめ…俺だって彼女くらい………ほしいわっ!

さっさと家を飛び出して学校へ行く。

はぁ……学校へ行っている最中に思った。

あいつが来たのは、俺が望んだからだ…

ただいま、と言った時、返事がほしい。

朝食ぐらい、誰かに作ってほしい。

そういったことを考えてたから、あいつが来たんだろう。

「おはよっ使途!」

「おはよ……」

これじゃ立場逆転じゃないか…

「元気ないな?」

「お前は立ち直りが早すぎだ。」

というか、俺が祈ってやったんだっけ?

「ふふふふふ。俺は思ったのだよ。昨日のことがきっかけで、今日はきっと話しかけられる、とね。」

腹の立つ口調で話しかけないでもらいたい。

「そうか、せいぜい頑張れ。」

「お前、やっぱ変だぞ?」

そりゃ家に帰って、自分と同じ境遇のガキにあったら変にもなるさ。

学校に着いた。

今日はセンコーうぜぇとか言って、こけさせたりはしないでおこう。

席に着くと、凛が話しかけてきた。

「今日転入生来るって!もしかしたらあんた達の初恋になるかもよっ!」

「俺はすでに恋してるんだよっ!」

本気で反論する光。

「ぷっ…むきになりすぎっ」

「俺だって……」

ぼそりと呟く。

「俺だって何??」

「聞こえたっ?」

まずい、聞かれてしまった。

「何?好きな人いるの?」

「あ…いや、その………」

顔が近い……赤面する。

ガラガラガラ

教室の戸が開いて、先生が入ってきた。

「席着け〜」

助かった……

「あとで絶対聞きだしてやる…」

どうやら今日は逃げ続けることになりそうだ…

「今日はまず転入生を紹介する」

おー!

歓声が沸く。

「せんせー!男子ですか?女子ですか?」

その質問に、みんな息を呑む。

「女の子だ」

うぉおお!

男子から更なる歓声が沸き、女子は少し残念そうにしている。

俺は特に興味をそそられることも無く、空を見つめ続ける。

「じゃあ入ってくれ。花園ー」

ガラガラガラ

興味がないとは言え、転入生の顔くらい拝んでおこうと思い、ドアのほうを向く。

なっ!?

「はじめまして。花園美紅(はなぞのみく)です。ミクって呼んでください。よろしく」

男子の目がハートマークになるのが分かる…

「おい、めっちゃカワイイじゃんか」

「背ちっちゃー。俺タイプかも」

「いやいや、あれカワイくないって言うやつの方がおかしいって」

いろんなところから声が聞こえる。

確かにカワイイよ。カワイイけど………

あいつ…なんで…

「ぇーっと…じゃあ神野の後ろにでも座ってくれ」

ぎゃーーーーーー!悪夢だ…

「神野さん。よろしくお願いします」

誰だてめぇ…

グサグサグサ、グサ…

男子から、とんでもない視線を感じる…

手出したら殺すみたいな……

「分からないことがあると思うから、みんなしっかりフォローしてやれよ」

「は〜い」

先生が教室を出て行く。

「おい、お前なんで……」

「昨日言ったじゃない。あたし、変な力持ってるんだって」

自慢げに答える。

「使途ぉぉぉおお!」

バーン!

「早速手出してんじゃないわよ!変態!ロリコン!童貞っ!」

俺の顔を思いっきり押さえつける凛。

ちなみに、俺は変態でもロリコンでもない。

童貞って……高1じゃ変ではないだろう…

「ミクちゃんっ!ゴメンね。コイツ馬鹿で。手だしたら私が殺してあげるからっ」

ぐ………

「ねぇ、どこから来たの?」

「ちっちゃくてホントカワイイよねっ!」

「髪金髪だよね〜もしかしてハーフ?」

気がつくと、後ろには人が溜まっていた。

「いてて……」

「はっは。いい様だ」

光め……

「いきなり喋りかけるから悪いんだよ」

「るっさい……」

みんな…おかしいとは思わないのか…

そいつ、明らかに高校生ではないだろ……

「次、サッカーだから早く着替えに行くぞ」

はぁ…どうしよう…最悪だ…

「使途、聞いてんの?」

「あぁ……」

適当に返事を返す。

「お前朝から変だぞ?」

「いや、大丈夫だ。お前と違って変な趣味は持っていない」

立ち上がって更衣室へと向かう。

着替えて外に出ると、もうすでにミクのことが噂になっていた。

「授業始めるぞ〜。並べ〜」

体育の先生は優しくて、生徒からも人気が高い。

「じゃあ今日はサッカーだ。楽しめればそれでよし。じゃあ始めるぞ」

みんな自分のポジションへつく。

ピィィィ

開始の笛が鳴って、試合が開始される。

こんなことしてる場合じゃないのに…

ピィィィ

「2-1でA組の勝ち。礼」

「ありがとうございました〜」

なんか俺たちのクラスが勝ったようだ。

佐藤とか、鈴木とかサッカー部のやつらいるからなぁ…

次の時間は……理科だ。

サボっても学力に影響はないと考え、屋上で昼寝しようと思った。

もちろん屋上は通常、出入り禁止となっているが、俺は天文部の幽霊部員なので鍵はある。

部長と仲がいいため、貸してもらえるのだ。

屋上で寝そべり、空を見上げる。

あ〜雲って何でできてるんだっけ?

水だったっけ?

水蒸気かな?

いやいや、目に見えないものが水蒸気なんだから水だろう。

でも水だったら落下してこないか?

飛行機が通過して、飛行機雲が出来る。

ん?

あぁーもしかしたらガスなんじゃね?

でも、中学のときに「雲はガスです」なんて習った覚えはないし。

ん〜なんだろう。

雲の陰から、太陽が顔を出す。

太陽がまぶしいなぁ。

そうだ。太陽はガスって習わなかったっけ?

太陽のことを学んでるときに、コロナとかプロミネンスとか習った覚えがある。

単語は覚えているが、どういうものかはさっぱりだ。

コロナは確か……分からん

黄道十二星座ってのも関係あったっけなぁ。

いや、無いわ。

あれは星座のことだった気がする。

あーそうそう。

天体の勉強してるときに、銀河と銀河系があやふやになって、非常に困った。

はっきり言って、違いが分からん。

銀河は…俺らのいる地球がある黄道十二星座がなんかで、銀河系は数1000個?

あぁもう!分からん!

宇宙なんかどうだっていいじゃん。

なんで習うんだろうなぁ。

どうせ習うんだったら宇宙の外でも見てみたいなぁ。

でも………キーンコーンカーンコーン

何!?

昼寝の時間がなくなっちまった!

話が発展しすぎた…

くっそぉ〜

どうする…教室へ戻るか。

いや、ここで教室へ戻っては、ここに来た意味がないのでは…

苦渋の選択。

どうせ教室戻ってもミクが来てるから、視線で殺されるし…

塚あいつなんで学校来てんだよ…

キーンコーンカーンコーン

何ぃ!?

またか…

もういいや…寝よ……



「起きて、使途。」

ん…んんん…眠い。

「誰?」

目を開ける。

「うぎゃぁ!」

なんとミクが腹の上に乗っている。

「早く起きなさいよー」

「じゃあお前退け」

んぐぐぐぐぐぐ…

「お前体重何キロだ?」

「35キロっ」

嘘をつくな…

「本当は?」

「本当だよ?」

はぁ…

こんのガキめ…

後で仕返ししてやる。

「で、退かないか?」

「い〜や〜だ」

なんかミクの顔が近づいてくる。

「何っお前!?」

「お子様だと思ってるでしょ〜」

周りにはクラスの男子が、死ねという目で睨み付けている。

「いやいや!思ってない。断じて思ってないぞ!」

どんどん迫ってくる。

「大人の世界へ連れてってあ・げ・る」

ぎゃーーーーーーー!



「んぎゃぁ!」

夢オチかよ…

しかも俺、んぎゃあって……

「やっべ!」

もう夕日は傾いていた。

即刻学校を飛び出して家に向かう。

アイツ1人にさせとくと、何仕出かすか分からない。

ダッシュで道を駆け抜けていく。

「おっ!使途〜。どこにいたんだよ。今日もいつも通り……」

「悪い!今日無理!」

横を猛スピードで駆け抜ける。

「やっぱり今日のあいつ、変だ…」

そんな言葉は今の俺には届かない。

家に到着!

灯が点いている。

「おいミク!お前どういうつも……」

見ると、夕飯の準備をしていた。

「何?何か用?」

コイツ…意外といいやつかもな…

「そっかぁ!ただいまのキスねっ!はいっ」

唇を突き出してくる。

「ばーか」

前言撤回だ。

カバンで頭を叩く。

「いったいなぁ…もぅ!子供虐待よっ!」

「自分で子供って認めてるくせに、なんで学校来たんだよ」

頬を膨らます。

「だって詰まんないじゃんか!」

理由になっていない。

「大体なんだよ神野くんって…」

「あら、じゃあ使途って呼んでもよろしくて?」

うぜー…ませたガキめ…

「まぁいい。問題は起こすなよ」

自分の部屋に入って寝転がる。

はぁ…でもあいつ、制服似合ってたな。

ん?

アイツが高校来たってことは2人で同居ってのはまずくないか?

「使途〜!今日お前変だったから、見舞いに来たぜ〜!」

やばい!光が勝手に家に上がってきた!

全力で下へ降りていく。

「光!入るなぁあああ!」

光が、キッチンとリビングのつながっている部屋へ足を踏み入れた。

「あら、千葉君だっけ?」

そのときのポジションは、ミクがキッチン、俺が廊下、そして光が入り口だ。

光がこちらを向く。

顔が真っ赤になっていた。

「こ……この………裏切り者ぉぉおお!」

「おい待てっ!っちょ……」

もう光は行ってしまった……

「どうしたの?」

クッソッガッキ……

起こる元気もない…

明日の学校が、非常に怖くなった…

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