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妙な学園生活  作者: rouge
2/20

不審者は子供

朝、通学路を無視し、学校へ向かう。

家から徒歩か、自転車で行ける距離なので、非常に楽だ。

「おはよっ!」

光か。

「おはよう。変態君」

お前、今口から何かが飛び出たぞ。

「それは昨日言わないって約束しただろうっ」

耳元で囁いてくる。

「囁くな気持ち悪い。言わないから寄るな」

素直に顔を引く。

少し言い過ぎたか?

「…まぁ年頃なんだし、あぁいうのもいいかもな」

光の顔が著しく笑顔になってきた。

「やっぱ!?使途も分かってんじゃんっ」

いや、お前に同情したまでだ。

「ファイルにダウンロードしてからしか見れないやつもあるけど、直で見れるやつってやっぱいいよなっ!俺はやっぱり普通にやってるやつが一番いいかなぁ!」

「ゴメン、やっぱり引く…」

光がミスったという表情を浮かべる。

「お前も見てるんだろ?」

「誰がそんなことを言ったんだ?」

変なことをベラベラと喋ったコイツには、マジでうける。

「使徒ひでぇだろっ!」

「まぁ恨むなら自分の読解力を恨みたまえ」

悔しそうにしていたが、すぐに立ち直った。

「いいぜいいぜ!もう俺は自分の道を歩む!自分の道は自分で切り開くんだぁ!」

言っちゃったよこの子。

「光が、自信を持って自慢できる人生を歩めるように願うよ。」

おっと、俺の話を聞かずに走り去って行きやがった。

ちくしょー。

学校へ着くと、朝のホームルームが始まるところだった。

「神野、遅いぞ」

「すいません」

そそくさと席に着く。

俺の隣に座っている光が、ざまあみろ!と言う顔でこちらを見てくる。

「では…………」

ぐだぐだぐだぐだぐだぐだ…

つまんねぇ〜。

よし。

鶴山のセンコーこけろ、こけろ、こけろ…

「うわぁ!」

ドッタン。

ぶっ…憐れだ。

みんなは爆笑している。

俺は鶴山を見ることが出来ずに外を見つめる。

「もういいっ!今日はここまで。」

すぐさま教室を立ち去る。

「鶴山、自分の頭と一緒で滑ったんじゃね?」

「腹の肉がボヨヨ〜ンってなってたぜっ!」

みんなの笑いは止まらない。

きっと他クラスまで広がるんだろうなぁ。

少しかわいそうだったか…

「なぁ使徒!あいつマジうけるよなっ!」

「ちょっと酷かった。」

曖昧な表情を浮かべながら、一元目の準備をする。

「あぁ!数学の教科書忘れた!」

ふっ馬鹿め。

「どうしよー森、マジこえーからなぁ…」

ん〜少しかわいそうだな。

「昨日学校の下駄箱の上においてあったけど」

「マジで!?」

光はまさに、光の速さの如く教室を抜け出していった。

そして、一分としない間に戻ってきた。

「ラッキー!あったぜぇ〜。神よ、ありがとう!」

神は神でもこの俺、神野に礼を言ってほしい。

「あんた、予習やってあんの?」

凛が話に入ってきた。

「そんなのやってあるに決まって………」

青ざめてくる光。

「ない……」

心の中で笑いつつも、声に出して笑うと凛にどんな目で見られるか不安だったので、声には出さない。

微笑を浮かべる。

「私はちゃんとやってあるわよ〜」

自慢げに見せびらかす凛。

「うぉおお!見せてくれ!」

「やだねっ」

光かわいそうだ…宿題のことまで祈っとけば良かったな。

でももうやってない、って知られちゃったから無理だ。

「頼む、凛様、見せてください…」

「へへーん。自分でやってこないほうが悪いんだよー」

そのとおりだ。

光の視線がこちらへ向かう。

「使徒!お前親友だよな!?」

「本当の親友は、厳しく高めあっていくもの」

「いいこというじゃん!」

床に崩れこむ光。

(別に予習くらい、やってなかったところで怒られるだけなのに)

「あのぅ…あたしでよかったら見せましょうか?」

後ろには、光の片思い(・・・)の相手、海野が立っていた。

「ほ、本当か…!?」

光が涙を浮かべている。

「雫〜甘やかしちゃだめだって」

凛を睨み付ける。

「でも可哀想ですし…」

「ありがとう!!!」

すぐさまノートを受け取る。

「よし!即行で移すぞ!」

キーンコーカーンコーン

「ぇ…………」

そのときのチャイムは、きっと光にとって長い間忘れることが出来ないだろうな。

なんせ、宿題を見せてくれた相手が相手だ。

「ど〜んまい!」

「あのぅ…ごめんなさい!」

2人とも席につく。

海野は言うまでもなく、自分のノートを持って…

「は……はは…は」

凍り付いている…

時間配分と言うものは大切だよ。

その後、暗い光と共に一日を過ごした。

「今日は最悪な一日だった…」

「周りからすればマジ面白かったぞ」

はぁ…とため息をついている。

「怒る元気すらないよ。」

「ははっ」

ゆっくりなペースで歩く。

「今日はお前ん家やめとく……」

「そうか」

無言が続く。

光が喋らないとこんなに静かなんだな。

分かれ道…

「じゃな!」

「おぅ…」

あれは重症だな。

明日元気になるように祈ってやるか。

家へ着くと、灯が点いている。

昨日消し忘れたっけ、とか思いながら家へ入る。

「ただいま…」

「おっかぇり〜!!」

なっ……

「誰だお前!?」

言う言葉が違った。

普通、泥棒だぁ!とかそっちだろっ!俺の馬鹿…

「あたしはミクよっ。よろしくね!」

何が…よろしくだ!?

「何で俺ん家にいるんだよっ!」

「いやぁ〜何か不慮の事故か何かで、ここに来たって感じ?」

「感じ?じゃねぇー!」

誰だコイツは……あきらかに小学生じゃねーか!

「あたしも捨てられたんだもん…」

は?

「あたしも変なことが出来るからママにどっか行けって言われたんだもん…」

悲しそうな瞳。

思わず同情してしまう…

「なんちゃって!」

「う……ふざけんなっ!」

俺のパンチをひらりとかわした。

「でも今言った事は本当よ」

「で、俺と何の関係がある。」

まったく、何なんだよコイツ。

「あたしは使徒の、とぉ〜〜〜〜〜〜い親戚なんだよっ」

「嘘つけ」

頬をぷぅっと膨らました。

「パパに、ここに行きなさいって言われて、鍵渡されたんだもん!」

待て待て…俺んちの鍵持ってるお前の父は誰だ!?

「100歩譲って、お前が親戚だとしよう。もう100歩譲って、俺ん家で預かったとしよう!お前は俺ん家でどうするんだ?」

「馬鹿ねぇ〜学校行くに決まってんじゃないっ」

「馬鹿はどっちだ…俺はお前なんか小学校に通わせる気はないっ!」

何喋ってんのよ的な顔でこちらを見ても、俺は通わせねーぞっ。

「高校行くからいいも〜ん」

「いや、お前ガキじゃん?」

また頬に空気を入れて膨らます。

「高校行くのっ!あたし行くのっ!」

まさに駄々こねるガキじゃねぇか…

「分かった分かった。今日は大人しく家に居ろ。」

「はーいっ!」

顔があまりにも子供っぽく、可愛くて怒りがおさまってしまった。

これからどうなることやら…

先が思いやられる…



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