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妙な学園生活  作者: rouge
19/20

慣れてるから

「お邪魔しま〜す……」

「って何言ってんのっ!」

俺を軽く小突いた。

意味不明なまま上がろうとする。

が、一歩が踏み出せない。

緊張している。

「どうしたの?早くしないと風邪引くよっ」

「ぁ、うん」

言葉をかけてもらって緊張がほぐれたのか、やっと足が上がった。

しかし桂の父さん怖かったらどうしよう…

――うちの娘をお前みたいな軟弱者にはやらん!!!!!――

こえーよ!

――私の子にはもっとカッコいい男の子のほうが似合うわっ――

母さん失礼だなぁ!

――私は使徒君のいいところいっぱい知っているからお付き合いしたいの!――

桂は俺の妄想の中でも可愛くて優しいなぁ。

「もしかして今日予定あったりした?」

はっと我に返ると、廊下で突っ立っていた。

「そんなこと無いよっ。ただ桂の家族に迷惑じゃないかなぁって……」

どちらかというと迷惑というよりも緊張というほうが正しい。

女の子の家とかあんまり行ったことないし……

「お父さんは単身赴任、お母さんはたまにしか帰ってこないよ」

悲しそうな顔を浮かべている。

その気持ちは俺に、桂の心が剥き出しになっているようなほど伝わった。

「そんな顔しないでっ。もう慣れてるからさ!」

精一杯の笑顔を作って俺に向ける桂。

慣れるわけない。

家に誰もいない孤独感。

返事の返ってこないつらさ。

空っぽの空間。

苦しさは、俺が身をもって知っている。

こんなことするつもりなかったのに…

「使徒君っ!?」

「なんでそんな無理して笑うんだよ…辛いなら辛いって言えよ…」

ただ無性に抱きしめてやりたくなった。

雨でぐちゃぐちゃなまま気持ち悪い。

でも、それでも苦しさを少しでも減らしてやりたかった。

「寂しいなら寂しいって言えよ……」

桂は抱きしめられているだけだった。

「うん…使徒君、私が思ってたよりずっと優しいんだね」

「ぇ?」

俺が手を離すと、桂は少し後ろに下がった。

「でも私は大丈夫だから!心配しないでっ」

桂は強いな…

そうだ、俺とは違うんだ。

桂はいつでも会えるんだ……俺と違って。

「ずっと濡れたままだから寒いでしょ。お風呂入ってきなよ!」

俺は背中をぐっと押されながら脱衣所まで連れて行かれた。

「出たらお父さんのスウェットでも着て。そこにあるやつ勝手に着ていいから」

そういってそそくさと立ち去った。

まだ付き合って3日目。

出会って3日目。

ほんとにいいのかな?




「使徒君ってなんでこんなにキュンとすること言うのかなぁ…」

心臓のドキドキが止まらない。

使徒君のこともっと好きになっちゃいそう。

私が苦しんでることすぐ分かってくれるなんて…

いつも誰だって言った。


『親がいないなんてせーせーしていいなぁ』


『うちの親もいなくなればいいのに〜』


『1人で偉いねぇ』


でも使徒君は違った。

私の苦しみに気づいてくれた。

他の人とは違う、私の彼氏…

大好き…言葉じゃ表せないくら……

「桂――」

「ぁ! 次私入ってくるねっ!部屋で待ってて!」

あ〜もう!なんでこんなこと考えてるときに来るわけっ!




待ってろって言われても…ねぇ。

桂の部屋に入ったが、どこに座っていいかすら分からない…

取り合えずベッドに……

………

……

ぎこちねぇ!!!

ああ〜時間長っ。

って言っても早く来てもらったらそれはそれで困る…

何を話せばいいか分からない。

俺テンパッたらどうしよっ!

緊張する〜。

今家は桂と2人だけだろっ。

ありえねぇし!

というかさっき桂に抱きついたから余計話しづらいし…

俺なんで抱きついたんだよー。

ばかばかばかばか。

ガラガラガラ

桂が出てきたようだ…

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