表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妙な学園生活  作者: rouge
18/20

想い

キーンコーンカーンコーン

一日終了っ!

今日も桂と一緒に帰れるかなぁ。

昨日のような表情をもっと見たい。

でもちょっと雲行きが怪しい。

もしかしたら夜は雨になるかも。

「いたいたっ!」

いたいた?

「ゴフッ…」

イテテテテ…

「彼女待たせちゃいけないんだー!それに目の前に彼女いるのにボーっとしてるってどういうことだ!」

カバンで腹をぶん殴られた。

見かけによらずパワフル…

彼女じゃなかったら蹴り飛ばしてやるのに。

「いくよっ!使徒君っ」

にっこりと笑って俺に手を差し伸べてくる桂。

やっぱり可愛いので蹴れません。

手を握って起き上がる。

女の子の手って小さくて、強く握ったら壊れてしまいそう。

起き上がり、手を離そうとしたら握りかえされた。

「このまま帰ろっ!」

え……手握ったまま!?

恥ずかしい……

桂は彼氏と手握ったことあるのかな?

なかったらこんなことしないよな。

わっ!

指と指を絡めてくる。

やばいって!そんな握り方されたら手が痙攣起こすって!

まだ校門を出てすぐのところなのにもう何キロも歩いたような気がする。

「ねぇ、使徒君って趣味ある?」

唐突だなぁ…

「まぁ……星を見ることかなぁ」

星はきれいだ。

でもそれだけの理由ではない。

星を見てるとなんだか、すべてを忘れられる気がする。

「ホント星ってきれいだよね!」

すべてを忘れて、普通の生活をしていた時のことを思い出せる。

「この辺は都会すぎることもないし、田舎すぎることもないから普通に星見えるしねっ」

悲しいことがあった時、夜空を見上げると慰めてくれる気がする。

「でも私は青空のほうが好きだなぁ。なんかすっきりするし……ってか雨降ってない?」

しかし、そんなきれいな星から目を逸らすと現実が舞い戻ってくる。

その瞬間はやるせない気持ちになるが、心にポッカリと穴が開いたような感覚も嫌いではない。

「……って、聞いてる?」

「ぁ、うんっ!」

なんか俺桂といるときほとんど文章喋ってない!

「こんな話しててもつまらないかなぁ……?」

やっば…

「い いや、そんなこと無いって!ただ緊張してるだけで…その……」

「使徒君と話せるの帰りだけだしさ……それにお互いのことほとんど知らないからもっと知りたくて…」

そうだな…

俺桂のことまったく知らない。

なんで付き合ってるかもよく分からないかも…

「使徒君は私のこと気にならないの?」

「気にならないわけない!」

必死にごまかしてる俺って惨め……

「でも他の子のほうが気になるんでしょ?」

―――

なんと返してよいかまったく浮かばなかった。

今は桂のことを好きになろうとしている。

でも心のどこかで凛を忘れられない気持ちもある。

「帰る」

「え!?」

俺の手をパッと離し、走っていった。

こんなの…ダメだ。

また俺は自分のことばっかり…

「桂っ!」

雨の中、桂を追いかける。

桂ってあんなに足速かったのか。

あと少し…

「桂っ!」

捕まえた。

手をしっかりと握って呼吸を整える。

きっと俺がもっと恋愛経験豊富ならここで抱き寄せたりするんだろうなぁ。

「なによ…」

「俺、桂のこと好きになるから、絶対、」

振り返った桂は泣いているのだろうか?

雨でよく分からない。

「俺、不器用だから、ゆっくりしか無理だけど、少しずつ桂のこと好きになるから…」

息がきれて言葉が続かない。

「だから…」

パンッ

「桂って呼ぶなって言ったでしょ……」

そんだけで顔思いっきりたたくこと……

「不安なんだよ?高校違うから会えないし話しかけてもボーっとしてるし……」

結局俺は知らない間に桂のことを傷つけて…

早く凛のこと忘れなければ…

「ホントは使徒君ってこんな人なのかと思っちゃったぁ」

まさか…フラれる!?

「でも追いかけて来てくれたから……ありがと」

こういうとき、彼女を無性に抱きしめたくなるんだと思った。

胸がキュンとして理性を抑えきれない。

抱きしめていいんだよな?

俺彼氏だし…

桂―――

「雨すごくなってきたね。私の家寄ってきなよっ……って何やってんの?」

中途半端で止めてしまった……

「カバン……持とうか?」

せっかくのチャンスがぁ!!!

「ありがとっ」

――ま、いっか。

カワイイ笑顔見れたしな。

「へっくしゅんっ!」

寒…

「ホント風邪ひくよ!早く入ろ!」

気づいたらもう家の近くまで来ていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ