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序章 紅蓮の遺炭
空は赤く焼け、大人たちの乗ったカプセルシップの黒い影が、カラスのように遠くに見えた。
地上に残されたのは、赤ん坊から高校生くらいまでの子供たち。
みんな焼けた。
真っ赤に焼けて、炭になった。
目がくらむほどの、赤。
真っ赤な炭になった。
序章 紅蓮の遺炭
焼け果てたコンクリートと、死者の炭で埋め尽くされた街だ。
かつて東京と呼ばれていた大都市は、6年前に起きた突然の大災害で消滅した。
東京だけではない。世界中が火に包まれた日だった。
まだ子供だった私たちには分からなかった。
何が起こったのか。
何が襲ってきたのか。
何で親は自分たちを見捨てたのか。
紅蓮の遺炭は何も語らぬ。