EP.1
小説本文 西暦2040年4月8日
防衛省情報局-関西支部-司令部
「突然で悪いが楸藍佳捜査官任務だ。向こう側の元イグラード帝国情報軍・特殊作戦群にいた殺し屋が入国している可能性がある」
司令部の方に呼ばれてそうそう何かと思えば仕事の話だった。しかし毎回思うのは「入国管理局はもっと仕事しろよ」ということだ。
まあ、そんな事を考えいると上司の顔色が悪い方向に変わっていくので取りあえず続きを聞いた。
「その殺し屋とはなんですか?」
「背丈は174cm程度が一人と165cm程度が一人。二人ともおそらく女性。顔はわからない」
「情報はあるようで無いんですね」と悪態ついて言った。何故なら情報量が少ないって事は、この2人調べ上げろということだからだ。
上司は僕の考えを読み取ったのか今時珍しい紙の資料を渡してきた。
「ユニット名はアイリスアウト。資料はこれだ」
不鮮明な、数少ない写真と今までに関わってきた事件の一覧だ。
「彼女らの狙いは日本国内にいるアジア系武器商人だと考えられる。全員のビジネスビザがまだだいぶ残っているうえに、今後二週間以内にさらに一人増える。動きが予想できないうえに一部には外交官もいるために下手に対応できない。警視庁公安部などに可能な限り監視を密にするように要請したが、もしものこともある。特に心にとどめておいてくれ」
上司の話を聞いていると疑問に思った事がある。
普通、殺し屋は日本国内にも結構いる。多くは暴力団やギャングの組織に属した人間だが、まれに世界を股に掛けるような殺し屋も出てくる。しかし殺し屋の本場はアメリカやヨーロッパなどだ。マフィアやギャングの抗争や政治家間の争いが激化しがちな地域の多い欧米では、銃器の規制が緩かったり闇でも多くの銃器が流れているので殺し屋は欧米を基軸として行動している。
「だからって、向こう側から殺し屋が来るんですか?」
「それは先日捕まえた韓国国家情報院(NIS)の不法工作員が証言している。相手は連絡先以外の詳しい素性はどこにも漏らさず仕事は確実でしかも派手にしてくれるとな」
「つまり分からないということですか」
「ま、まあな。あとなぜ韓国政府が野放しにしてるのは日本は危険だという宣伝ができるからだろう」
まじかよ。この上司さらっと話そらしたぞ。
「確か今年から来年は大統領選だから何が何でも日本を貶めたいわけということですか」
「まあ、そういうことで彼女らが行動を起こす前に対処してほしい」




