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キリナ

赤い誘惑

作者: zan

 いつものように呼び出されて、いつものように毎日が過ぎていくだけ。

 こんなにも空は明るいのに、私のこころの中にはいつもいつも雨が降っているなんて。

 お嬢さま学校なんていわれてる女子学院。そこに通う生徒は当然、家柄のいいお嬢様だけ。凡人は近寄ることもできないようなお上品なオーラを敷地からこれでもかというほど放ちまくって変質者を寄り付かせない。

 しかしそうしたお嬢様の中でも一際家柄のいいお金持ちのお嬢さま、なんてのが必ずいる。いわゆるお姫様であって、家族からは勿論、先生方からも大切にされている。それだけの地位と頭脳と血筋があるというわけだ。

 そんなお姫様たちは当然自分の地位を自慢したいだろうし、周囲の子もお姫様の身分を承知しているからへりくだることになり、階級ができていく。家柄によるお嬢様度カーストが形成されていくのだ。私は小学生のうちからそれを学ぶ結果となった。ようするにピラミッドの頂点におわすようなお嬢様方は自分の地位を誇示したがるわけである。

 つまり何が言いたいかって、いじめだ。彼女達は自分達が偉い人だということを見せるためにちょっと頭の回らない子とか、気にいらない子なんかがいると陰湿にいじめたり、いびったりする。

 その被害者が、たまたま私だったというだけのこと。半年ほどいびられているが、解決のめどはたたない。

 私の、真田朱美という名前も、別に普通だ。兄が一人いるが、すでに就職していて学校とは無縁である。父は一応名士といえるくらいだし、資産もそれなりにある。お嬢様度カーストで最底辺に位置するというわけでもない。ではなぜ私がいじめられることになったのか。思い当たることがない、とは言わない。

 いびられていた下級生を助けたことがある。ただそれだけ。

 それも表立っていじめていた子を殴ったとか恥をかかせたとかそういうこともない。ただ、泣いていた子を助け起こして励ましただけ。泣いている子を見捨てて立ち去るのは、よくないと思ったからそうしただけのこと。

 しかしながら、それがかっこつけているとか、ぶっているだとか。そうしたふうに受け取られてしまったらしい。らしい、というのは確証がとれないから。


 この半年で、私の気力は殆ど削ぎとられてしまった。執拗で、陰湿なのだ。ただひたすらに。いじめられているという証拠を残すことさえ、ままならない。何しろお嬢様学校なのでスマートフォンや携帯電話の持ち込みも厳しく制限されている。撮影や録音ができず、法的手段もとれない。

 そもそも、誰も私がいじめられていることで心を痛めたり、悲しんだりしていないのだ。どうでもいいと思っている。その証拠に、こうして私が夜遅くに体育倉庫から出てきても、誰一人何も気付かない。何にも変わらず、チャイムが鳴っている。忙しそうに教員が渡り廊下を歩いている。月が出ている。

 とっくに部活動なんかやめてしまったけれど、今日も遅くなったことを親には部活動でってことにする。文化祭が近いからってことで納得してくれているけれども、その費用ってことでもらったお金まで彼女たちに奪われているのがつらい。

 今の私には彼女達に反抗する勇気も、その力もない。ただただ、いびられ続けるだけだ。死ぬまで。

 死ぬまで。

 このままだと本当に私は殺されてしまうのかもしれない。とにかくつらい。しかし学校を休むなんてことは許されない。熱があろうが骨折していようが無遅刻無欠席が当然なんだという親がいるのだ。どうにもならないのだ。

 私はただ家で寝て、学校にやってきてはいびられて消耗していく。一日一日が地獄のようだ。

 この学校は外聞こそお嬢様学校の誉れが高いが、内実は監獄のようだ。私が入学してから、すでに何人か自殺者が出ている。今年に入ってからもあった。

 それまで公立の学校に通っていて、高等部からこの学院にきたって子なのだった。そういう子はお嬢さま方の間にある暗黙の了解というものが理解できずに、結局空気の読めない子として扱われて、しまいにはいじめの対象になる。最後まで彼女は救われず、死という道へ逃避する以外なくなった。いじめなんて、そういう暗い部分にはなるべくかかわらないでおこうとするクラスメートもたくさんいるのだが、そういう方々はいじめに加担することはなくても、助けてくれることもない。そう、助けてくれないのだ。

 風の噂でそれを知ってしまった私は、いたたまれない。自分も近いうちにそうなるのだろうな、となんとなく予見した。

 死んだその子は、私が助けた後輩だったのだ。もしかしたら私が余計なことをしたばっかりにエスカレートしたのかもしれない、とまで考えてしまった。

 ふらふらと私は進んで、校門に向かっていった。幸いにも今日は制服が汚されていない。体育倉庫に閉じ込められただけですんだのだ。お金は巻き上げられたけれども。

 そのお金というのは昼ごはん代ということでもらっているものだ。私が空腹に耐えて手にしたお金を彼女たちは容赦なく奪っていく。このお金があったからこそ、この程度ですんだのである。ない場合はもう少しキツい。痛い目をみることになっただろう。今でも痛いけれども。

 帰り道も気をつけないといけない。毎日下校ルートを変えて、彼女たちに待ち伏せを食らわないようにしている。何度か夜の間に背後から襲撃を食らっているからこそ、こうしたこともしなければならなくなった。

 川沿いの道を歩いて、大きく迂回する。この道を通るのは久しぶりだった。半年以上、こんな道を通ってはいない。すでに日が落ちているので、灯かりは少なかった。私は黙々と歩いていく。

 ぱしん、と。何か空気の抜けるような音がした。

 誰かが川原で何かしているらしい。私はそちらに目をやった。数日前に叩かれてまだじくじくと痛むわき腹をおさえながら。

 エアガンを撃っている女の子が見えた。ランプのような明かりをつけて、空き缶を撃っている。銃器だ。

 別に関係のないことだな、と私はそこを通り過ぎようとする。しかし、数歩も行かないうちに足が止まる。

 あの子が持っているエアガン。缶を打ち抜いている。しかも、かなり大きい。両手で持たないといけないくらいの大きさだ。ハンドガンという感じじゃない。ライフルだ。

 圧倒的な暴力だった。

 もしも。あのライフルで今頃家にいるだろうあのお姫様たちを撃ってやれたらさぞかし気分がいいだろうな、と考えてしまう。

 私はそんなことを考えて、川原にいる誰とも知らない女の子がエアガンを撃つのを見守った。

 カン、カンと。金属音をたてて空き缶が宙に舞う。そのたびにお姫様たちが撃ち殺されたような気になって、喜んだ。とても根暗な喜びだが、私にはそのくらいしか溜飲を下げる手段がなかった。

 しばらく見ていると、その女の子は私に気付いたらしい。こちらを向いて、手招きをしてきた。

 ちょっと怖いので逃げようとも思ったが、躊躇しているうちに女の子のほうから私に近づいてくる。逃げることもできない。足が動かなかった。


「こいつに興味があるなら、ちょっと撃ってみるか?」


 エアガンを私に見せ付けて、彼女はそんなことを言う。

 驚きの提案だった。しかし、魅力的な提案。

 お嬢様学校に通っているような私だ。エアガンなんて今まで実物を見たこともなかったし、触ったことなんてあるはずもない。撃ち方も持ち方も知らない。


「でも、撃ち方も知らないし」

「なんかいやなことがあったんだろ、あんたは。ちょっとは気が晴れるかもしれないぜ」


 その子は気取った様子もなく自然な調子でそんなことを言い放った。女の子の口調としてはかなり乱暴だ。

 気の強そうな、ギラギラした目をしている。勝気で、自信とエネルギーに満ちた瞳。蛇みたいだ。髪は長かったがぼさぼさで、怠惰に伸ばされた感じである。

 それなのに。私は確かに彼女のことを美人だと思った。あまりにもワイルドなその女の子を。


「うん、少し借ります」


 私は勢いに押されるようにして、エアガンを借りた。後から思えば、ここが運命の分かれ道だったのかもしれない。しかし、このときはそんなことを考えるはずもない。日々の地獄を少しでも忘れられるならと、その黒くて長いものを握ったのだ。

 それから生まれて初めて、私は銃を構えて、引き金を引いた。外れた。

 もう一発撃つと、また外れた。見かねたのか女の子が銃に手を添えて、狙いをつけてくれる。


「よし、撃ってみな」


 言われて引き金を引いた。ぽしゅ、と発射音こそ少し頼りなかったが、標的の空き缶は吹っ飛んでいった。

 当たった。当たったのだ。

 あはは、と私は少しだけ笑った。嬉しかったからである。

 女の子が缶を拾ってセットしなおす。それを私はまた狙ってみた。今度は補助なしでも当たった。ガツン、と空き缶はまた穴を開けられて飛んでいく。


「なかなかの腕だな。最初にしちゃ上出来すぎる」

「すごく、楽しいです」

「そうかよ。まあ、これで気が晴れたなら私も嬉しい」


 くく、と女の子は咽喉の奥で笑っていた。服装は黒っぽいコートを着込んでいるということしかわからない。

 私はしばらくエアガンを撃った後、お礼を言って家に帰った。わき腹の痛みはいつの間にか消えていた。

 しかし、家に戻ると親に色々と言い訳をしておく必要があり、嘘を重ねてしまう。明日また学校に行かなければならないと考えると気が重くなった。

 そういえばあの女の子の名前も聞いていなかったけれど、そのほうがいい。私と遊んだからといって、彼女までいじめられることになるかもしれない。そんな突拍子もないことまで私は考えてしまい、その日もあまり眠れなかった。


 いじめは、年々陰湿になるし、苛烈になる。『家』はスーパーとか超とかいう接頭語がつくくらいに金持ちであるにもかかわらず、お小遣いがもっと欲しいから、あるいは自分がちょっと欲求不満だから、などという理由だけで、いじめられっ子からお金を巻き上げる。いじめられっ子の試験の点数が自分より高かったりすると執拗に陰湿な暴力を振るい、次に自分の点数を超えることは許さない、なんてことを言うこともあるらしい。

 これがもっと苛烈なものになってくると、自殺という選択肢を選ぶ余裕もなく、いじめられっ子は『事故死』してしまう。たいていの場合はあんまりに殴りすぎて、内臓破裂を起こして死んでしまうというパターン。ひどいケースだと死んだ子が妊娠していた、なんていう話になる。もちろん、素敵な彼との愛の結晶だったわけではないのだろう。『暴力』の副産物だ。こういう話を私が知っているのはいろいろなところから漏れ聞こえてくるヒソヒソ話を聞いて集めたからであるが、その度にいちいち自分の今の境遇と重ねてしまうから、困る。益々自分がみじめになるのだ。

 この頃には私は一体、自殺か『事故死』か、どっちの方法でこの世から消えてしまうのだろう、なんてことを考えていた。私もいじめを受けているわけだから、徐々に、身体にあざが増えていくのだ。大腿のあたりなんて青あざが消えることがない。胸部、腹部にいたってはそうとうな打撃を受けている。少し前から厚めの下着やコルセットを巻いて対策をしているが、それでも無傷というわけにはいかない。

 私の心は、雨が降り続いたままだ。エアガンを撃ったときは少し気持ちが晴れたが、その次の日には前日と同じようないじめが待っているわけであって、何の解決にもなっていない。

 あるとき鏡をのぞいてみると、おどろくほどにやつれたやせぎすの女がうつっているのが目に入った。これは一体、誰なんだろうなんてことを数秒間考えて、それから急に恐ろしくなって気分が悪くなり、その場に倒れそうになった。自分が自分じゃなくなっていくような感覚に、心底の恐怖を覚えた。

 私をいじめている方々は、常に利己的で傲慢な要求をしてくる。

 金銭を要求されることも多かった。近日はその金額がエスカレートしている。私は自分の持ち物を売り払ったり、兄から借りたりしてしのいでいた。

 しかしそれにも飽きてくるとアダルトショップに買い物に行かされたりもした。もちろん、制服のままでだ。店員さんに追い返されたりすると余計にいじめがひどくなった。なんで言うとおりに買い物してこなかったんだ、という言い分だが口実なんてどうでもいいに違いない。私を困らせて暴行する理由付けがあればいいのだ。買い物に成功したとしても、彼女達は私が恥ずかしがったり、困ったりしている様を見てニヤニヤと楽しむだけ。どうして私がこんな目に遭わなくちゃいけないのだろうか。

 学校では常に物が足りない。捨てられたり、燃やされたりしているからだ。汚されていることも多い。上履きや体育館用のシューズ。教科書、ノート。レポート。

 そんなんだから成績も絶賛、急下降中だ。教科書がないのではいくら私でもどうしようもない。参考書を買ってきて、必死に自分だけのノートを家で作成し、決して学校に持ってこないようにするしかない。が、時間が圧倒的に足りない。睡眠時間もだ。

 何のために学校に行っているのかよくわからなくなりつつある。学歴のため? 親のため?


 しかし、ふと。そんな毎日にわずかな光が差した。

 通学の途上で道を聞かれたのだ。それも、同い年の男子高校生にだ。礼儀正しく、清潔感のある人だった。

 知っている共学の学校への道だったので、テキパキ教えたら笑ってありがとうと言ってくれた。気分のいい人だと思えたのだ。

 それで終わりかと思っていたら、帰り道にも彼に遭遇した。偶然だった。

 奇遇だということで彼と話し込み、連絡先を交換して別れた。彼氏、とまではいかないし、そんなことは高望みだが男子の友人。それだけで私は十分だった。

 何よりいじめに加担してこない貴重な友達。心強さが私の中に芽生えた。

 生きている理由ができた、と私は思えたのである。


 彼がいるのだ。そう思うだけで私はいじめに耐える自信がわずかに回復。小学生レベルのどうしようもないつまらないイジメで楽しんでいる彼女たちがかえってアワレに見えてきたくらいである。大人の寛大な精神で許してやろう、と。余裕の態度でいられる、かもしれない。

 お姫様たちは最近やっと、何かを隠したりするようなつまらないことに飽きてくれたらしく、ただの暴力に逆戻りしている。多分私がほとんど無反応なので楽しくなくなったのだろう。それと、そろそろ燃やしたり隠したりするものがなくなってきたというのもある。あとは制服とカバンくらいなのである。これを破られたり汚されたりしたら、もう学校に来ることはできない。前に汚れたときは必死に洗ってなんとかした。だが、もう二度として欲しくない。

 それに引き換えただ殴られるだけなら、ちょっと我慢すれば大丈夫。まだ耐えられる。今日も今日とて、人気のない体育館裏に呼び出された私は、早く終ってくれないかなと思いながら、下を向いていた。


「反抗的じゃない? この子さぁ」


 上目遣いで彼女達を見ると、私をいじめている方々はそんなことを仰る。彼女達は全員で五人。リーダー格なのは旧家のお嬢さまを自称している本当のお姫さまで、あとはそのお姫さまの家柄にへつらっている金魚の糞やコバンザメ。そんなことはわかっているのだけど、彼女達は暴力と世評によって私をいいように操っている。


「またパンツ売らせようよ、ねぇ」


 ひどい話を平然と、校内でする彼女達。してほしくないことだ。殴るだけですむなら、それが一番楽なのでそうしてもらいたい。

 アダルトショップに行くのは羞恥だけですむ問題じゃない。私の家にまで被害が及ぶ可能性だってある。けれども私は、このいじめの現実を親に知られたくない。いじめられているなんて最大の恥だと考えている親なのだ。どうにか知られてしまうことを避けたい私は小さくなって恐々と命令のままに買い物をする。だが、下着を売らされたのは一番つらかった。最もつらい。いじめられているなんてことよりも恥じゃないかと思うくらいに。

 もちろん、私だって痛いのは嫌なのだから、できるならやめてもらいたい。しかしどうしたって、何をしたって、世間は彼女たちの味方なのだ。一部ではこれを知っている人がいるらしいのだが、前述の通りその方々は知ってはいても助けてくれない。私を助けたりしたら、自分たちまでいじめの標的にされてしまうからだ。

 こういうお嬢さま学校では特にそうなのかもしれないが、彼女達は家柄の高貴さと取り巻きの多さを武器に、不都合な事実を完全に隠蔽してしまうことができるのだ。もう恐ろしい事態である。この学校は狂っている、とときどき思う。彼女達が「カラスは白い」といえばそれがまかり通る。

 私が「いじめられた!」などとこの自分の体の傷を証拠にしてどこかへ訴え出てみたとしても、彼女達はわざとらしく哀れみの目を向けながら「きっとミュンヒハウゼン症候群(自傷行為などで他者の注目を浴びようとする)ですね、先生方彼女を責めないで下さい、彼女は病気なのです」なんてことをのたまうんだろう。そして、それがとおってしまうに違いない。校内新聞だって、彼女達の味方なのだ。

 実際、自殺者が出ているような有様。そして全校生徒のほぼ全てがこの事実を知っているにもかかわらず、『いじめは存在しない』のだ。それが現実であり、真実なのである。

 悲しいことに。腹立たしいことに。憎たらしいことに。呆れたことに。


「ね、それよりさぁ。万引きさせようよ。コンビニでコンドームとか」

「うわっ、えげつな~」


 私は何にも言い返す気力もない。もう気分が悪い。

 いくら大人の余裕の態度と言っても、ここらあたりでは限度がある。私がどう思っていても、外から見れば現実なんて全く変わらない。

 そして残念ながら私のこころの中からあふれた雨が、涙腺を通って静かに体外に出て行くのだ。じわっ、としみ出したしずくはやがて下まぶたからあふれて頬に流れていく。がらんどう、何もない。

 だだっぴろいグランド、草一本生えていない心に、ただただ土砂降りの雨が降り注ぐ。

 でもそれでいい、私のこころには何もないんだから。なにもなくて、このままいつか死んでしまうんだ。

 この羞恥にうったえるいじめは、私も嫌だ。殴られるよりもずっと、ずっと嫌である。死にたくなる。


「だったらもういっそのこと、エンコーしてもらおうよ、お金は私たちで分けてさぁ」

「あ、いいよねそれ。ね、あんたもバージン捨てられて幸せだもんねー、気持ちいい思いしてお金までもらえるなんて、素敵じゃない」

「お金もらうのは私たち、気持ちいーのはそこの約一名、ちょうどつりあいもとれてんじゃない」


 あはははは、と彼女達は笑う。私のからっぽのこころが、ひび割れた。

 悲しいなんてもんじゃない。どうしてこうなるの。

 なんで私が、彼女達のほんの少しのお小遣いのために大切なものをゴミのように捨てられなくてはいけないのか?

 誰か説明して。

 これも神様が私に与えた試練なのでしょうか?

 そんなはず、ないと思う。

 だったらどうして、こんなことになるのだろう。


「LINEとさぁ、出会い系どっちがいい? 掲示板だとなんかヤバいらしいからさ」

「え、まじでやんの? 鬼畜ぅ~。どうせやるんだったらテレクラにしようよ。履歴とか残らないし」


 そんな会話が聞こえてきたが、もう聞こえているだけ。彼女たちはスマートフォンをいじっている。

 視界の端に、ちょうど校門を出て行く女の子が見えた。ここは、定番の体育館裏だ。滅多に人なんて来ないし、こちらに目を向けるような人もいない。しかし、そのとき本当に偶然校門を出て行くところだったその女の子は、私の視線を感じてくれたのか、こっちを見たのだ。

 私とその女の子の視線はぶつかり合って、お互いの視線をはっきりと感じた。目が合ったのだ。長い髪を肩にかかるほどに伸ばし、まるで蛇みたいにギラギラとした目をしたその子。 射すくめられてしまいそうだった。

 その子。その子!

 エアガンを貸してくれたあの女の子だ!

 しかしその子はこちらの状況をはっきりと確認したにもかかわらず、そのまま校門をくぐり、去っていってしまった。

 一瞬のことだったけど、クラスメートでさえも助けてくれないのに、通りすがりの人なんかに助けを求めてしまった私がどうかしているのだろう。そんなふうに思わせられた。

 傍から見たら、仲良しの6人組に見えるのだろう。私たちは連れ立って駅裏の公衆電話に歩いていった。そこに折りしも貼ってあった怪しいのチラシを持って見せて、ここに電話してよという彼女達。

 私はそんな怖いことできないし、そこへ電話したこともない。無言で拒否する。私にはテレクラというのが何を指しているのかもわからないのだ。それに、それなりの往来の真ん中で、彼女達も暴力をふるったりはできないはずだという読みがあった。

 途端、内腿のあたりが強烈に痛んだ。他の五人が私ともう一人をすっかり隠すように立ちふさがって、その中でスカートの中をつねられている。こんな手があるなんて読みが甘かった、というよりもそうまでされたって嫌だ。どんなにこころを失ったって、自分の身体を売るなんてことを、できるはずがない。私にだって、素晴らしい男性と出会いたいという欲もあれば、その人と結ばれたいという欲もある。

 あの男の子とは別にそんなんじゃないけど、と心の中で小さく言い訳。でも、とにかく痛い。


「生意気いってんじゃないよ、あんたのキッタナいバージンを人が善意でとってやろうってのにさ。感謝しなよ」


 彼女はすごく汚い言葉で私を罵倒して、力を強くこめた。私は叫び声をあげようとしたが、どこからか伸びてきた手に口をふさがれる。こんなところで、そこまでやってなんで周囲にばれていないのだろう。誰か、誰か助けて欲しい。

 助けて欲しい。

 …………助けて欲しい。

 けれど現実は無情だった。そんなこころの声、どこにも届かない。からっぽで、雨の降り続く私のこころからでは、どこに届くわけもないのだろう。

 結局一人が私の声色を真似て電話した。手馴れた調子で一人のお客さんをつかまえた、とか言っている。彼女達のはしゃぐ声。


「一万八千円だってさ、シケてるよね~」

「もっと値上げしなよ、カラオケ一回で終わりじゃん」

「こんな蜘蛛の巣はってそうなので諭吉1.8人なら上出来でしょぉ~?」


 きゃははは、と甲高くって、耳につくその声は。

 私のプライドを粉々に砕いた。

 私は、ぽろぽろと涙をこぼして、泣いた。


 その相手の男の人との待ち合わせには、私一人で行かされた。この世の終わりのような顔をしていることだろう、この私は、制服を着たままで……。目印だという、白いジャケットを着込んだお父さんよりも年上の男の人と会った。

 その人に先払いでお願いします、とロボットみたいな声で言う。おじさんは、すっと茶封筒に入ったお金を差し出してきた。中身を一応確認してみると、本当に一万八千円が入っている。ああ、こんな紙切れが数枚だけで、私が十何年も守ってきたものを売られるのだ。目の前の景色がぐにゃりと歪んだ。

 もらったお金をそのまま握って、泣き出しそうになっていると、背後から誰かが走ってやってきて、茶封筒を奪っていった。ちらりとしか見えなかったけど、それがお姫様たちであることはよくわかった。お金を数えている気配が、後ろのほうでしている。彼女達は私にこの人の相手をさせておいて、自分達は多分どこかへいって遊ぶのだろう。

 罪の自覚なんて、これっぽっちもないのだ。

 私は死刑囚よりもたぶんひどい気持ちになって、泣きたいのをこらえる。


「悪いなお嬢ちゃん、おれも今カネを払っちまったんで……行こうか?」


 震える肩を引き寄せたのは、たった今私を一万八千円で買った男の人だ。耐えられなかった。

 私は一体、何のために生きているのだろう。

 いや、でも、彼がいるから。折角あって、連絡先まで交換した彼がいる。


 そう思った私はもう一度振り返った。誰か、できれば彼が助けに来てくれることだけを期待して。

 しかしそこで私が見たのは、お姫さまやその取り巻きに加わっている男の人の姿。早くも男を連れ込んで遊びにいくつもりか、と。そこで私は目を見開く。

 彼だったからだ。そこに加わっている男の人というのが、通学路で出会い、帰り道で出会った彼だったからだ。

 何度か連絡をして、でも彼には心配かけまいとしてイジメのことは決して言わなかった。言わなかったのに。


 お姫様が私を指差して大笑いしている。彼も私に向かって赤い舌を出している。

 ああ。

 ああ、ああ……。


 彼は、お姫様たちから仕掛けられた罠の一つだったんだ。

 私はそんなことも知らないで、彼に信頼を寄せて、好意を抱いて、拠り所にして。

 私の中の何かが全部、ガラガラと音を立てて崩れていくような気がした。誰も信じられない。


 そんなことを思っているのに、横にいる男の人は私の肩に手を回してくるのだ。

 これからベッドの上で私を征服しようとしているのだ。私には何も残らない。純潔も、お金も、健康も、誇りも。

 何もかも、全て奪い去られるだけだ。それに耐えなければならない。これから先もずっと、生きている限り。


 嫌だ。絶対に嫌だ。

 そんなつらい思いをするくらいだったら、死んだほうがいい。

 この隣の男の人の吐く息が、耐えられない。おぞましい。肩に触れた手が、嫌だ。

 もう何もかも、この私を取り巻く理不尽に耐えられない。何もかも嫌だ。


 私の手が、エアガンを撃った感覚を思い出す。

 空き缶を吹き飛ばすみたいに、あいつらの頭を狙ってあれを撃てたらどんなに気分がいいか。

 私に何か、この場に何か武器があれば、武器さえあれば、一度、一度だけでも反撃して見せるのに!

 それもできない私ができる反撃って何だろうか、死ぬことだけか。

 いじめを告発した遺書を残してどこか教育機関のお偉いさんに郵送して、自殺することだけが私に残された武器なのか。

 そんなのは、そんなのはあまりにもひどい。

 脳裏に、私が前にかばってあげた後輩の顔がよぎった。

 これからあの子のような人間を何人もつくってしまうのかもしれない。

 やらなきゃ。

 私が自殺なんかしてちゃ、いけない。遺書なんかきっともみ消される、今までも多分そうだったに違いないのだ。


「わぁぁっ!」


 咽喉の奥から、そんな叫びがほとばしった。

 もう、逃げ出す。男の人を振りほどこうとして、私は必死に身体を揺さぶった。


「もう、嫌! 帰らせてっ、こんなのは嫌、嫌、嫌!

 誰か、助けて! 助けて、助けて!」


 絶叫する。悲鳴のように叫んだ。

 もう何が起きようと知ったことじゃない。お姫様たちがあわててこっちに駆け込んでくる。多分このあとは拘束されて殴り殺されるだろう。

 その前に乱暴もされるかもしれないが、このまま一生いじめられ続けるよりはいい。この一瞬の逃亡チャンスを逃すわけにはいかない。

 この場から逃げて、なんとしても逃げて、生きるんだ。

 家にも学校にも帰らないで、どこかへ逃げたい。そうして、全部告発するんだ。そうしなきゃいけない。

 私はそうするべきだったんだ。

 なんでこんな、ギリギリまで気付かなかったんだろう。バカ正直にいじめられ続けることなんてなかったのに。


 しかし私を買った男の人も、私を逃がそうとしない。抱きかかえるようにして、私を拘束しようとする。でも、だめだ。

 逃げ出したい私の執念の方が、執念の方が、わずかに勝っているはずだ。

 時間さえかければこの男の人は振りほどける。

 でも、でも。

 その前にお姫様たちがやってきてしまいそうだった。

 私は自分が負けることを確信する。嫌だ。負けたくない。

 無駄だと知りながら、私は逃走するべく闇の中に目を向ける。すると。


 その瞬間だった。夜の帳の中から溶け出るように、誰かがあらわれたのだ。

 ここは、ラブホテルの前の路上。

 ただのお客さんにしては、一人だけ。一体、何?


「おっさん……」


 黒い、レザーのロングコートを着込んだ女性。かなり若い。私より若いんじゃないか、と思ったら、私たちに向かってくる。その次の瞬間。

 その人は、私の隣にいた男の人を殴りつけていた。突き出すような一撃で、その一発を食らった男の人は、ばったりと倒れてそれきり動かなくなってしまった。完全に白目をむいていて、目が覚めそうにない。

 一体、何が起こったのかよくわからなかった。

 この人は、この人は一体…………。その人は、肩まで伸ばした髪、まるで蛇のようにギラギラと輝く目をもっていた。剣呑な目つきをしたまま、くるりと反転、瞬間的に私の手を掴んでいる。

 突然やってきたこの人に、私は手をつかまれて、そのまま引っ張り込まれた。

 この人は、確か。


 エアガンを貸してくれた女の子だ。


 しかし、力が強い、ぐいぐいと私を引っ張って、向かった先はお姫様のいるところ。私の逃走を食い止めるために、こちらに向かってこようとしていたそこにいた彼女達。

 このやってきた女の子に、戸惑っている。彼女達は、逃げられもしないで、そこに固まっていた。

 彼女たちと遊びに行こうとしていた男二人は、しかしひるまない。多分、女の子一人くらい何ができるのかという感じだったんだろう。

 しかし、私にはそれが獅子に挑もうとしている子犬のように見えて仕方なかった。


「げっ」


 そんな悲鳴にもならないわずかな声を残して、彼らは倒れこんだ。

 私が友達になれただけでもよかったと思っていたその彼は顎先を綺麗に叩かれて膝から崩れ落ち、もう一人は強烈な蹴りをお腹に食らって悶絶している。

 残ったのは逃げることもできずにその場に留まっているお姫様の一派だけだ。女の子ばかり。

 エアガンを貸してくれた黒コートの女の子は、お姫様に向かって淡々と何か確認するように言い放った。


「お前ら、五人か」

「…………」


 恐怖のあまりに、リーダー格の「お姫様」は目を見開いて、くちをぱくぱくさせていた。何しろ、一撃で男の人を昏倒させたのである。それも、三人も。恐れないほうが無理というものだろう。

 女の子は財布を取り出して、中から一万円札を9枚取り出した。そして、それをお姫様の胸ポケットに押し込んだ。


「え、……なに……」

「一人、一万八千円だ。これでお前たちを好きにできるんだろう?」


 まだ意味がわからず、胸ポケットのお金を見つめていた「お姫様」は、女の子の強烈な右ストレートを食らって背後に吹っ飛んだ。まるで映画のように吹っ飛んだ彼女はアスファルトに背中から叩きつけられて、そのまま何メートルか地面を転がった。

 次の一瞬で女性は左右にいる「彼女達」のお腹を、信じられないほどの速さで打ち抜いた。二人は目玉が飛び出すかと思うほどの顔をして、たちまちのうちに膝をつく。

 残った二人は、この事態を把握して逃げ出そうとした。しかし、女性の動きはそれよりも早い。逃げ出そうとした二人をも打ちのめして、たちまちその場には9人の人間が転がってしまった。

 お腹を叩かれた二人は胃液を吐いているし、逃げようとした二人は足の骨を折られたのか顔面蒼白で震えている。

 何て人だろう。

 暴力に訴えることを全く躊躇していないのだ。

 私は震えが止まらなかった。


「知り合いがカネで売られているのは気分悪い。いじめはダメだって教わらなかったのか、お嬢様の癖に」


 いつの間にか、「お姫様」のそばにその女の子はいた。黒コートが足元まで垂れ下がっているが、そのあたりに這いつくばりながら、お姫様も威厳も何もなく彼女は涙目をこらえている。

 「お姫様」は震えていて、鼻の骨でも折れたのか、盛大に鼻血を噴出しているその姿は滑稽だ。

 私も殴られているときはあんな具合だったんだろう。


「な、なんでこんなこと」

「ちょっと見かけたからだ。このくらいの覚悟はあってやってたんだろ」


 平然と、女の子が答える。

 すると、


「う…………あなた、あなたには関係ないことじゃない!」


 お姫様が大きな声を上げた。無関係の人がこんなところで乱入してきたことが許せないらしい。

 つまり、自分の遊びが失敗して苛立っている。こんなはずじゃなかったのに、あんたさえいなければと。


「うるせぇ! 私に関係ないことなんか、この世にねぇんだよ!」


 しかし乱入してきた女の子はお姫様よりも大きな声を張り上げて、彼女をたじろがせた。

 びくり、とその肩が跳ね上がったくらいである。

 その女性は、お姫様の顔面に右足を当てた。殺すつもりかもしれない。彼女はその足が自分の顔面に突き刺さることを想像したのか、恐怖に縮み上がったようだ。


「や、やめ……殺さないで!!」


 命乞いをするその声を無視して足を一旦上げる。そして振り下ろされた足は、お姫様の腹部にめり込んだ。

 彼女口から泡を吹き、そのまま失神してしまう。


「けっ……誰がてめーみてーなのを殺すか。生き地獄を見せてからだ」


 そんな捨て台詞。

 それからその人は、やっと私を見た。正面から、私を見つめた。

 この、蛇のような目の人は。

 私が昼間に、ちょうど校門から出て行くところを見た。ああ、あのときに。

 この人はちゃんと私を助けてくれたんだ!

 口に出しては言ってなかったのに、この人は。目が合っただけで全て理解して。

 この人は、この人は!


「た……」


 私のこころを埋めていた雨。

 何もなかったからっぽのこころの中に、何かが染み入ってきた。


 彼でさえもお姫様が用意した罠だったのである。もう、信用できるものなんてない。

 けれども、その直後にこの女の子は全部、何もかも粉砕してくれた。目の前でこれ以上ないほどやってくれたのだ。


「なんで、私を助けてくれたんですか……?」


 助けてくれたと思って間違いない。もう、間違いない。

 それで私はこう訊ねた。私としては、ごく当然の質問だった。


「知ってるのがこんなつまらない手段でハメられてると、カッとくるもんだ」

「…………」


 なんでもないことだ、というふうに彼女は答えた。私は当惑するしかない。

 でも、でも。

 それでも、私は自分の胸に手を当てた。こころの中に、雨は感じない。

 ああ、そうか。私は素直に、嬉しいのだ。自分の危機に、どのような理由にせよ駆けつけてくれた人物がいたということを。


「……」


 私はふるえていた。何も出来ず、死を決意した私を、ギリギリのところで救ってくれた感謝の念に、打ち震えているのだ。

 ゆびさきと、くちびるがふるえた。


「ありがとう……。あなたは私の恩人です」


 私は、倒れたお姫様からサイフやスマートフォンを盗んでいる女性に声をかけた。

 女性は振り返って、本当になんでもないことのように返答してくれる。


「そうかい、まぁ適当に感謝しといてくれ。……ついでにラーメンでもおごってくれればそれでいいぜ」


 そう言いながら、彼女は近くにあるラーメン屋さんを指差した。今よく見てみると、女性は黒いコートの下に、学院の制服を着込んでいる。うちの生徒だったのだ!


「お、お名前をうかがってもよろしいでしょうか」

「私か? 私は沢渡切名だ。……あんたは?」


 キリナ、と名乗ったその女性は、私の制服を見て、それから私の名前も訊ねてくる。

 もちろん私は告げた。あまりにも嬉しくて、胸がつまる。そのために、涙声になりながら告げる。


「真田朱美」


 名前を告げたと同時にこころにふっていた悲しみの雨は完全にあがった。そして、そのかわりに感謝と嬉しさの雨が私の頬から零れ落ちる。

 ああ、私はこれから先、沢渡切名という人が私を助けてくれたことを忘れることはないだろう。先ほど、駅の電話前で流した涙とは違うところからあふれてくる涙が、視界をにじませる。

 この人に、一生かけて恩を返してもまだ足りないだろう。

 気がついたとき、私は無意識のうちに沢渡切名に抱きついていた。


「……ちょ、ちょっと待て。なんのつもりだ」


 突然抱きつかれて戸惑ったらしい沢渡切名は私の腕を振り解く。それでも、私は嬉しくて仕方ないのだ。


「本当に、本当にありがとう。沢渡さん」

「あぁ、そうかい。……ちっ、沢渡さんなんて気持ち悪い。呼ぶならキリナって呼んでくれ」


 お姫様から奪った財布を右手で弄びつつ、ちょっと困った調子で沢渡切名はそう答える。


「キリナ……」

「そう、呼び捨てにしてくれ。で、アケミ、ラーメンおごってくれるんだろうな?」


 平然と私を名前で呼び捨てにし、ポケットにサイフを仕舞いこむと、彼女は私に背を向けてさっさと歩いていってしまう。そうなると、ついていくしかなくなってしまうではないか。

 私は慌てて彼女を追った。倒れているお姫様には構っている余裕がない。

 この傍若無人な沢渡切名、キリナに私は惹かれている。感謝の気持ちと、それ以上に彼女に対する興味で、私は彼女の背を追った。


「ここはおごります、キリナ」

「そうしてくれ、こっちは9万円もあいつらに払っちまったんだから」


 ニヤッと笑って、キリナは私に笑いかける。

 私、真田朱美と沢渡切名の出会いは、こんなところだ。この先何年もずっと彼女とともにある未来を、この時点で想像することはできやしない。

 後ろに9つの身体を残し、私達は歩き出した。

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