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紅茶の国の人
国ってなんでしょうね。大事にしなきゃいけないってわかってるのに。なんだか大事にしていない人が少なくないような……。
ミヨちゃんはママをじっと見つめる。ママがテーブルで見慣れない物を飲んでいる。
「それ、どこから来たの? なに人?」
「そうね。イギリスかインドかパキスタンからかな。お名前は紅茶さんって言うの」
「ほんとにほんとかなあ?」
ママが出かけたあと、ミヨちゃんはひきだしから紅茶のパックをひとつ持ってきた。
きみは、本当はどこからきたの?
お洋服の中になにをかくしてるの?
ミヨちゃんは紅茶さんがどこの国の人か知りたくなって、パックをびりびりに破いた。葉っぱがぱらぱら。ミヨちゃんが小さな手のひらで集めると、小さなお山ができた。
「きみは、枯葉のお山の国の人だったんだ」
ミヨちゃんは食器棚から透明のボウルを取り出してきて、小さなお山に被せた。
「もう、だれにもお邪魔はさせないからね」
ミヨちゃんは頬杖をつきながら、うっとり。枯葉のお山の国の人を眺めている。