欠片
せめて、この恋が実らぬならばあなたが死ぬときに、『無くて良い出会いはなかった』と思って欲しいのだ。
平和になれば歌手は絶望を口に、芸術家は死や虚無を絵にするというのに、いざ絶望の真っ只中に放り出されれば希望や生を賛美するのだから、つくづく手に負えない。
欲しいのは平等ではない。納得だ。せめて『仕方がない』と吐くだけの理由が欲しいのだ。それが無い時に不平等を口にする。
本を読んで感想を零す。これ程無遠慮なものは無いだろう。ましてや感想文だなんて無粋の極みだ。しっとりと、言葉に出来ないものを楽しむべきだ。言葉にして意味を探ろうだなんて衒学がすぎるよ。
学生の時に初恋をすべきだ。大人になってから初恋を探そうとすれば人の悪いところから目につく。ましてや竹馬の友や命題たる趣味を見つけてはいけない。初恋こそ盲目でなければならない。無知と執着と妄想、そして少しの暇が初恋を彩る。
眠れない夜は今日が無為の一日だった証。良き日でも、悪しき日でも、何かあったのならば人は早く寝る。布団に潜ってさえ、今日を生きた証を欲しがる。
夢を叶える間が一番楽しい。そんな言葉は諦めた人間の慰めだ。叶った時が一番嬉しくないなら夢ではない。もしくは過程を到達地点と勘違いしている。
世界の広さ等、知りたくは無かった。地方の、1000人もいない村で一生が終わっても文句などなかった。なぜ、世界と自分を比べねばならない。村一番の笛吹で十分だ。
自殺する者よ、君は自分で死に場所と時を選べたのだから幸福だ。そのために君は痛苦に苛まれたのだ。
あんなに丹精を込めて整えたのだから、卒業ではなく出荷と呼んではどうか。
嫌な奴が死んだ。寂しい気持ちになるのは死があまりにも美しいからか、それとも飾らなくてもよかったからか。
ひっくり返った虫は思ったよりも足が動く。哀れと呼ぶな。気色が悪いと言ってやるな。生き足掻いているのだ。そっと手を出してやれ。そうでないなら見なかったことにしてやれ。
AIに負けた。子供に負けた気がした。
正直者より嘘つきの方が余程付き合いやすい。正論が人を救わないのだから、嘘が慰めでいい。
寂しさに胸が躍れば、孤独に嫌われる。
向日葵の 独りよがりな 背伸びかな
砕けた鏡に何が映り込もうと鏡とは言わぬ
いつも胸に残るのはやらなかった事だけ。やった後悔は直ぐに忘れた。だから引き摺るのはやらなかった事だけ。
自由だ、自由だ。息苦しい。
夢がない者を見た。人には見えなかった。努力出来ぬと口にする者と語った。人ではなかった。金が無い人と居た。辛うじて人だった。
爪と髪ばかりが伸びる。孤独が吹き溜まる。
しょうがない、そう言えるのはやり切った人間だけ。しょうがない、そう言えるだけの事を君は成してはいない。仕方がなかった。そう言われる資格もありはしない。




