モテる本を手に入れたぜ
俺はついに手に入れたぞ、これで昨日までの、モテない自分とはさよならだ!
「クククク!ハハハハ⋯ゲホゲホブヒヒ『うるさい』ひぃすみません。」
また妹に怒られてた。なんだよあいつだって最近「私のネコちゃん可愛いよ~」とか、こっちに聞こえる声で騒いでるくせに⋯いやそんなことはいい、今日から俺は変わるのだから、このモテる本でな!
『モテモテの秘訣あなたに教えます~これであなたもモテ人間』
本屋でいい本がないか、見ていたらこの本を見つけた。 まるで運命に導かれたように感じたね。⋯会計の時店員に、残念なやつを見る目でこちらを見て来たが、別に傷ついてないからね。
「さてと、どれどれどんなことが書いてあるのかな~」
俺は期待に胸を膨らませ、本を開いた。
『モテるのに簡単な方法それは、来世に期待することです。今の残念なあなたよりま⋯』
俺は本を閉じた。いやここで諦めたら駄目だ、そう俺は今世でモテたいのだ! 俺は次の項目を開く。
『出会いは突然やってくるとか、まるで運命に導かれたように感じるなどと、奇跡を信じる事をやめましょう。
正直にそんな事を考える奴はバカ、鏡を見て見ましょう。その鏡に映るのがあなたの現実です』
俺は本を閉じ鏡を見た⋯目や鼻から水を垂れ流して、顔面が歪んでいる男の姿があった。
「なんなんだよ、ふざけんなんよ!奇跡を信じてなにが悪いんだよ!」
そうだ、ここで諦めるものか、俺は今日で変わる⋯あたらしい俺になるんだ。
『相手に伝えなくても、伝わるという妄想はやめてしっかり気持ちは伝えよう。妄想は夢の中だけにしよう』
『モテる人には出会いがあります。おっとこれはモテないあなたは関係ない話をしましたね、すみません』
『第一印象が大事、笑顔としっかりとした声が大切、心配しなくていいですよ、あなたには関係ないから』
さっきから意識が朧げだ⋯あれ俺なにやってんだろ? たしかモテる秘訣を知りたいはずだったのに。
なんで俺はこんなにも虚しい気持ちにならないといけないのか。
「嘘だ、こんなはずない、そうだよ!まだこの本を読みきってない。 最後まで諦めるな俺」
俺はこんな所で倒れる訳にはいかない、俺は最後の項目に目を通した。
『最後まで読んでいただきありがとうございます。最後まで読んだあなたに一番のアドバイスをお伝えします。
ズバリ、この本を読む時間があるなら、実践で経験を得た方がいいと思います。え、最後まで読んだ? それはそれは⋯時間の無駄でしたね。すみません。』
俺は本を閉じ布団に入る、さてと、来世でモテモテになる夢でも見ようかな。