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幽霊人間と殺人鬼  作者: 真知コまち


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8話 真実は踊る

~登場人物~

 主人公~~ベル

 貴族の息子~~ルイ

 村長~~カール

 村人~~トーマス

 村人~~キャシー

 村人~~ヘレン

 村長の息子~~ルイン


 黒炭の柱が崩れ落ち、崩壊するヘレンの家。


 _(〘隣人の村人の夫〙)「誰も、ヘレンさんを見ていないのか」

 _(〘隣人の村人〙)「きっと、逃げ遅れたのよ。あーどうしよう…どうしよう…」

 _(〘隣人の村人の夫〙)「落ち着け。まだ、逃げ遅れたと決まったわけじゃないだろ」

 _(〘隣人の村人〙)「でも…」

_(〘ベル〙)「あれは、本当にヘレンだったの?」

   顔は、黒墨になり、判別できない。 

   焼けた死体は、直立した状態で倒れていた。

    火事で焼死したのなら、逃げようと踠いたはず…

    死体は、別人?あるいは…”誰かに殺された”

_(〘ベル〙)「でも、誰が…」

 _(〘村人1〙)「た、大変だーー」

 _(〘隣人の村人の夫〙)「火事なら、ほとんど消火したぞ?」

 _(〘村人1〙)「違う!村長が!」

_(〘ベル〙)「今度は、村長?」 

   村長の家に集まる村人。

 _(〘村人2〙)「あれ。落書きじゃなかったんだな」

 _(〘村人3〙)「じゃあ、本当に人狼がこの村に!」

 _(〘村人4〙)「人狼って、誰がだよ?」

 _(〘村人3〙)「それは…村人の誰か()だろ?」

_(〘ベル〙)「落書き?人狼?何で、今更…」

   ベルは、人混みをすり抜け、村長の家に入る。

   そこには、血塗れで倒れる村長カールの姿があった。

_(〘ベル〙)「死んでる。ルイが言った通り、村長が襲われた」

   『手遅れ』って、この事だったの?

    もし、ヘレンの家に寄り道しなければ、犯人が分かっていた!

    ルイは、そのためにわたしを…

_(〘ベル〙)「これ・・・やっちゃったかもしれない…」


 ~同時刻~

   赤い部屋の家では、懐からナイフを取り出したルイが、トーマスに襲い掛かっていた。

_(〘ルイン〙)「避けて!トーマス」

   軽い身のこなしで、斬撃を避けるトーマス。

   互いに距離を取り、出方を窺う。

_(〘トーマス〙)「とても、貴人の動きとは思えないな?」

_(〘ルイ〙)「お褒めに預かり光栄です」

_(〘トーマス〙)「嫌な奴だな!」

   ルイに向かい走りだす、トーマス。

    キラリ。

_(〘ルイ〙)「!」

   ルイの顔付近を、トーマスの腕が通過する。

   下から突き上げた、通過する手には、針の様な物が握られていた。

_(〘ルイ〙)「毒でも塗っているのかな?悪趣味だね」

_(〘トーマス〙)「お褒め頂き光栄だが、喋るほどの余裕があるのかな!」

   手に持つ針を投げるトーマス。

   ルイは、体を大きく反らし、飛んで来る毒針をかわす。

_(〘ルイ〙)「ふー危ない、危ない。大事な武器どくばりを捨てて、良かったのかい?」

_(〘トーマス〙)「安心しろ。まだまだ、沢山用意している」

   トーマスは、針を見せびらかし、余裕を見せる。

_(〘ルイ〙)「掠めただけで死んでしまう毒を、そんなに持ち歩いていたんだ」

_(〘トーマス〙)「ただの神経毒だ。死にはしない」

_(〘ルイ〙)「これまでの殺人も、神経毒で眠らせてから、殺していたのかな?」

_(〘トーマス〙)「この毒では、眠りはしない。意識を残したまま体を裂けるように、毒を弱めている」

_(〘ルイ〙)「本当に、悪趣味だね。君は…」

_(〘トーマス〙)「苦痛を与えなければ、罰にはならないだろ?」


 村長の家では、人狼と火災の対策について、村人たちが話し合いを始めていた。


_(〘村人1〙)「これから、どうすればいいんだ」

_(〘村人4〙)「まずは、燃えた家の修理を…」

_(〘村人5〙)「しかし、村の資金は、村長が管理をしている」

_(〘村人2〙)「どれぐらいの予算を修理に使えるか、把握しているのは、村長だけだぞ!」

_(〘村人1〙)「その村長は…もう…」

   重い空気が流れる。

_(〘ベル〙)「この村で計算が出来るのは、村長だけだったんだ」

_(〘ベル〙)「まさか、犯人の狙いは、村長だけじゃなく、村人たちも?」

    村長カールを殺すためだけに、村に火を点けるとは思えない。

   村長の死体には、この前とは違い、何度も刺した様な無数の傷があった。

    犯人は、余程、村長に恨みを抱いていた”人間”だと思うけど…

_(〘ベル〙)この村と村長、両方に恨みを持った人物なんて…」

_(〘ベル〙)「もし、ルイが言っていたように、犯人がトーマスだったとしたら…わたしと出会ったあの時、家に火を点けていた可能性も!」

_(〘ベル〙)「いやいや。あり得ないか~」

   それでは、火を点けてから時間が経ちすぎている。

   万が一、トーマスが家々に火を点けることが出来たとしても、村長を殺す時間は、無い。

   家に火を点けて、村人に気づかれず村長を殺害できる人物なんて…

_(〘ベル〙)「・・・!一人、居た」

   

   息を上げ、隙を窺う両者に、窓から太陽の光が当たる。

_(〘ルイ〙)「はぁはぁ。そろそろ毒針(ネタ)切れかな?」

_(〘トーマス〙)「はぁはぁ。そうだな。そろそろだ」

_(〘ルイ〙)「?」

_(〘トーマス〙)「凄いよ、あんた。針を避けながら、ナイフで切りつける」

_(〘トーマス〙)「お陰様で、全身、血だらけだ」

_(〘ルイ〙)「その傷で、よく立っていられるね?」

_(〘トーマス〙)「悪いが、今ここで、死ぬわけにはいかない」

_(〘ルイ〙)「?。村長を殺せば、君の復讐は、終わりだろ?」

_(〘トーマス〙)「俺は…あの女を殺すまで、死ぬわけにはいかないんだ!」

   ルイに向かい走りだす。

_(〘ルイ〙)「それは…穏やかじゃない話だね!」

    ドスッ。

_(〘ルイ〙)「は?」

   ルイは、背中に温かな感覚を感じ、足を止める。

   そのまま、体の力が抜け、片膝を付く。

_(〘ルイン〙)「しまった…」

   ルイの背中には、小型のナイフが刺さっていた。

_(〘トーマス〙)「くくく、はははは。油断したな!」

_(〘ルイ〙)「そうでした。あなたも居たんでしたね」

_(〘ヘレン〙)「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

   ヘレンは、ナイフをルイの体から引き抜き、再び、刺そうとする。

_(〘ルイ〙)「ちっ」

   サッー。

_(〘ヘレン〙)「あぁっ!」

   ルイは、右手に持つナイフで、ヘレンを切りつける。

   反撃にあったヘレンは、ナイフを手放し倒れこんだ。

_(〘トーマス〙)「降参ですよね…その傷では、もう避け続けられない」

   ヘレンの落としたナイフを拾い、ルイに近づく。

_(〘ルイン〙)「やめろ!トーマス」

   トーマスとルイの間に、割って入るルイン。

_(〘トーマス〙)「ルイン…邪魔しないでくれ」

_(〘ルイン〙)「これ以上、無関係な人を傷つけるな!」

_(〘トーマス〙)「ルインが、俺のことを話したから、こいつが死ぬんだよ」

_(〘ルイン〙)「違う!おまえは…本当のおまえは、優しいやつなんだ」

_(〘トーマス〙)「そうかもな。でも、俺を邪魔する人間は”絶対に殺す”」

_(〘トーマス〙)「そういう奴だ!」

   トーマスの持つナイフが、ルイに迫る。

_(〘ベル〙)「ルイ!」

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