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幽霊人間と殺人鬼  作者: 真知コまち


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7/26

7話 言葉は踊る

~登場人物~

 主人公~~ベル

 貴族の息子~~ルイ

 村長~~カール

 村人~~トーマス

 村人~~キャシー

 村人~~ヘレン

 村長の息子~~ルイン

  

_(〘ベル〙)「トーマスが犯人?違う。犯人は、ヘレンよ」

 _(〘ルイ〙)「ヘレンか…ベルは、彼女の家で、何か見つけたんだね?」

_(〘ベル〙)「!。地下室があること、知ってたの⁉」

 _(〘ルイ〙)「地下室?なるほど…」

_(〘ベル〙)「?」

 _(〘ルイ〙)「ベル!証拠は、地下室にあるよ」

_(〘ベル〙)「嘘!わたし、そこに居たけど…暗くて何も見えなくて…」

_(〘トーマス〙)「あの~」

   ビクッ!

 _(〘ルイ〙)「なんでしょう?」

_(〘トーマス〙)「大体、動かせたんですけど…一人では、重くて動かせない物があって…」

 _(〘ルイ〙)「わかりました。手伝います」

_(〘ベル〙)「わたしは…」

   トーマスに話し掛けようとしたベルの腕を、ルイの手が掴む。

 _(〘ルイ〙)「地下室のことは、二人だけの秘密だよ」

_(〘ベル〙)「わ、わかった…」

 _(〘ルイ〙)「あと…僕が、これから何を言っても、絶対、顔に出さないでね」

_(〘ベル〙)「う、うん?」

 _(〘ルイ〙)「それから・・・」


   道を塞ぐように倒れた戸棚。

 _(〘ルイ〙)「こっちを持てばいいかな?」

_(〘トーマス〙)「はい。持ち上げるには重すぎますし、奥に押し転がせれば…」

 _(〘ルイ〙)「ねえ。君には、”何か”が見えているのかな?」

_(〘トーマス〙)「えっ」

_(〘ベル〙)「え!」

   ドン。  

_(〘トーマス〙)「…ルイ様にも、幽霊が見えているのですか!」

 _(〘ルイ〙)「”幽霊”ね~。見えてるよ、幽霊」

_(〘トーマス〙)「ほ、本当ですか…」

 _(〘ルイ〙)「いいえ、噓です」

_(〘トーマス〙)「そ、そうですよね…」

   びっくりした!

   わたし、顔に出て無かったかな…

   あんなに、隠していたのに、自分から『見えている?』なんて聞く?

 _(〘ルイ〙)「君は、見えているんだね。その”幽霊”が…」

_(〘トーマス〙)「…はい」

 _(〘ルイ〙)「いつからかな?」

_(〘トーマス〙)「え~と、ルイ様が、村に来た時から…」

 _(〘ルイ〙)「それは、嘘だよね?」

_(〘トーマス〙)「え?」

 _(〘ルイ〙)「・・・実は、この村に入った時から、嫌な気配を感じていたんです」

_(〘トーマス〙)「・・・」

 _(〘ルイ〙)「僕は、18年前に起きた事件の”被害者の霊”だと思ったのですが…違いましたか」

_(〘トーマス〙)「そうですか。多分、違うと思いますよ」

 _(〘ルイ〙)「じゃあ~その幽霊は、”男”なんですね?」

_(〘トーマス〙)「…はい。そうです」

_(〘ベル〙)「わたし、”女”なんだけど…」

   不思議そうな顔で見つめるベルを、無視するトーマス。

_(〘トーマス〙)「あの~道も拓けたので、部屋の中に入りませんか」

 _(〘ルイ〙)「…はい」

 

   三人は、赤い部屋に移動する。

 _(〘ルイ〙)「真っ赤ですね~血ですかね?」

_(〘トーマス〙)「これは…仕事で使う染料ですね」

 _(〘ルイ〙)「前に来た時も、部屋は、この様子でした?」

_(〘トーマス〙)「前に来た時は、家の中に入っていないので…って、”前に来た”って言いました?」

 _(〘ルイ〙)「あれは…大きな独り言でしたかね?」

_(〘トーマス〙)「隠れて、盗み聞きしていたんですか」

 _(〘ルイ〙)「人の気配がしたので、つい…」

_(〘トーマス〙)「・・・他には、何か聞きましたか」

 _(〘ルイ〙)「いいえ、他に何か言ってましたかね?」

_(〘トーマス〙)「どうでしょう…あれ?」

   ベルが消えたことに気づき、辺りを見回すトーマス。

 _(〘ルイ〙)「どうかしましたか」

_(〘トーマス〙)「い、いえ。何も…」

 _(〘ルイ〙)「村長を、殺した証拠でも見つけました?」

_(〘トーマス〙)「そんな物あるわけないでしょ」

 _(〘ルイ〙)「ええ、そうでしょう。まだ、殺していないのですからね」

_(〘トーマス〙)「何…言ってるんですか。冗談でしょ?」

 _(〘ルイ〙)「君はまだ引き返せるよ。今なら…」

_(〘トーマス〙)「引き返す?何を?」

 _(〘ルイ〙)息子しんゆうを殺した罪悪感があったから、仇である村長を生かしていたのでしょ?」

_(〘トーマス〙)「・・・どこまで調べた?」

 _(〘ルイ〙)「僕は、何も調べていないよ。聞いた()()

_(〘トーマス〙)「聞いた?」

 _(〘ルイ〙)「まさか、ずっと隠れていたの?優しいね、君は…」

_(〘トーマス〙)「は?」

   トーマスの背後に、男性の幽霊が現れる。

_(〘トーマス〙)「・・・ルイン」

_(〘ルイン〙)「久しぶり。トーマス」


 _(〘ルイ〙)「”男の幽霊”と言っていたから、幽霊になった”親友ルイン”の存在を知っているんだと思ってたよ…」

_(〘トーマス〙)「やっぱり…あんたは、幽霊が見えていたのか」

 _(〘ルイ〙)「噓つきは、お互い様でしょ?」

_(〘トーマス〙)「・・・()()()に、全部、聞いたんだろ。事件のこと?」

 _(〘ルイ〙)「いいえ。『トー()マス()を止めてほしい』とだけ。後は、何も喋ろうとしない」

_(〘ルイン〙)「・・・」

 _(〘ルイ〙)「おかげさまで、色々と、この村について知れましたよ」

_(〘トーマス〙)「はっ。結局、調べてたのかよ」

_(〘ルイン〙)「違う。お前が、罪の無い人を殺し始めたから…僕が話したんだ」

_(〘トーマス〙)「罪が無い…」

_(〘ルイン〙)「キャシーさんの夫は、18年前の事件には、関わっていないだろ!」

_(〘トーマス〙)「罪だ!この村に”幸せ”は要らない!」

_(〘ルイン〙)「・・・トーマス」

 _(〘ルイ〙)「そうですか、そうですか…では、殺しましょうかね」

    

赤い家の入り口で~

 _(〘ルイ〙)「それから…ベルは、頃合いを見て、村長の家に向かってください」

_(〘ベル〙)「それは”見張りに戻れ”ってこと⁉」

 _(〘ルイ〙)「もう、手遅れかもしれません…が、何とかしてください」

_(〘ベル〙)「はぁ⁉」

   こっそりと抜け出し、村長の家に向かうベル。

    手遅れ?何とかしろ?どういうこと…

    一人で全部抱え込んで!何も話してくれないから…

   村長の家へ向かうベルの歩みが遅くなる。

    ルイ…犯人と二人っきりだけど、大丈夫かな?

    でも、村長の身に、危険が迫っているって…!

    まさか、犯人は、一人じゃない!

 _(〘村人1〙)「誰か~助けて!」

_(〘ベル〙)「え?」

   叫び声の響く村。

   木々が並ぶ道を抜けたベルの瞳には、あちこちで火が上がる、村が映っていた。


_(〘ベル〙)「・・・何、これ…」

 _(〘村人2〙)「あっちに人が!」

 _(〘村人3〙)「今、行く」 

 _(〘近隣の村人〙)「た、大変…」

_(〘近隣の村人の夫〙)「どうした⁈」

 _(〘近隣の村人〙)「大変なのよ!」

_(〘近隣の村人の夫〙)「大変なのは、見ればわかる!」

 _(〘近隣の村人〙)「へレンが…」

_(〘ベル〙)「ヘレン‼」

   ベルは、燃える家々を抜けて、地下室を見つけたヘレンの家へ向かう。

  パチパチ、ガラガラガラ。 

   ヘレンの家は、真っ黒に変わり、骨組みだけが形を成していた。

_(〘ベル〙)「そんな…」

   崩壊しない、ぎりぎりのバランスを保った、家に上がる。

   家の中には、人の形をした、黒い煤の塊が落ちていた。

  それは、精巧に出来た人形とは思えない、”人間したい”だった。

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