4話 村人は踊る
~登場人物~
主人公~~ベル
貴族の息子~~ルイ
村の若者~~トーマス
村長~~カール
死んだ村人の妻~~キャシー
_「今回は、付いてこなくても構わない」
_「どうして?」
_「人が死ぬところは、見たくないんだろ?」
_「見たい人は、いないと思うけど」
_「それに…俺を止める理由は、無い」
_「・・・そうだね」
_「姿が見えないベルが居れば、犯人を見つけるのも、楽なんだが…」
_「もしかして…付いて来てほしいの?」
_「違う!一人だと、話し相手がいないだろ…」
_「…さびしいの?」
_「そういう訳では・・・」
_「ふ~ん」
_「・・・事件解決に協力してくれ」
_「くれ?」
_「協力してくれないか」
_「まあ、いいでしょう。わたしが、力を貸してあげる」
_「よし。出発だ」
一人、馬に跨るルイ。
_「わたしは、歩きなの?」
_「馬をすり抜けるんだから、仕方がないだろ」
_「忘れ物ですよ~」
走って来る執事。
_「これを!」
鞘に収められた、ナイフを二本、手渡す。
_「・・・ありがとうございます」
_「行ってらっしゃいませ。どうかご無事で」
_「ああ。はっ」
ルイは、隣町へと馬を走らせた。
篝火で輝く町が近づく。
_「この町、明るすぎない?」
_「ああ。異常だな」
馬を降り、おそるおそる、村に足を踏み入れる、ルイ。
道には、火がくべられた、トーチが並ぶ。
_「だれだ!」
殺気だった青年の声。
_「村長に呼ばれて、来た者だ」
_「そうか…」
バッ、ササ。
突然、棍棒を手に持った青年が、ルイに襲いかかった。
_「危ない!
振り下ろされた棍棒を、交わすルイ。
_「何をする⁉」
_「この身のこなし…狩人で間違いないな」
_「狩人?」
_「付いてこい」
_「・・・ああ」
青年に案内されるまま、大きな家の前に着く。
_「着いたぞ。入れ」
_「あ~これは、これは。お早い到着で…ただ」
_「村長、来てはいけなかったか」
_「いえいえ。そういうわけでは」
_「きゃーー」
「!!」
_「叫び声?」
_「まさか…」
_「やられた!」
_「またか…」
_「行きましょう」
村長に案内され、叫び声が聞こえた方へ向かう。
そこには、身体を真っ二つに引き裂かれた男性の死体と、側で泣き叫ぶ女性がいた。
「ああ~あなた。そんな、、」
_「あれほど、夜は、出歩くなと言ったのに、なぜ!」
_「忘れ物をしたから、どうしてもって。私は、止めたのに…」
_「今日は、私の誕生日だったのに。もう…ああ~」
傍らには、宝石の付いたネックレスが落ちていた。
_「この傷は…」
_「人狼ですよ」
_「人狼?」
_「それは、都で噂になった、あの…」
_「ええ。2年前、都で起きた殺人事件です。死体は、二つに裂かれ、目撃者は、人狼を見たと証言した」
_「正しくは、毛皮を血に染めた人物だったはず…」
_「身体を二つに裂くなんて、人間には出来ませんよ」
_「だから、噂では、人狼に換わっていたのか」
_「その後、各地で人狼による事件が起きるようになりました」
_「そして先日、この村にも…」
_「人狼が現れた」
_「お願いします。どうか人狼を殺してください」
_「おい!この方は、商会のご子息様だぞ」
_「えっ狩人じゃないのか」
_「ルイは、狩人に間違われていたんだ…」
_「村の者が大変失礼いたしました。ただ…我々では、事件を解決できません」
_「村の者を疑うことは出来ない。だから、部外者に犯人を捜してほしいと」
_「…そうです。このままでは、納期のほうも…」
_「分かっている。こちらも、作業が遅れては困る」
_「犯人は、我々が捜そう」
_「我々?」
_「わたしとルイ以外に、誰か居るの?」
_「う、うんっ。何でもない。それで、犯人に心当たりは、あるのか?」
_「・・・」
_「あるんだな」
_「昔の話です」
_「この村に、ある女がやって来ました」
_「戦争で夫を亡くし、都で暮らせなくなったから、村に移住したいと」
_「移住には大歓迎だったのですが、当時の村は、女性が働く仕事がなかった」
_「この村でも女一人では、とても暮らしていけず、村の男に貢がせることで、食いつないでいました」
_「しかし、村の男は、女を巡って争いを繰り返すようになりました」
_「見かねた村長は、その女を追放しました」
_「女は、あっさりと出て行きましたが…」
_「女が村を出た後、女を巡り揉めていた男の妻たちが、次々に亡くなったのです」
_「当時は、呪いだと思っていましたが…」
_「あの女が、人狼だったのかもしれません」
_「死んだ妻も、あの女が…」
_「はっ?なんでもかんでも、その女のせいにしているけど、悪いのは、自分たちじゃない!」
_「・・・その女性を追放したのは、2年前のことか」
_「いえ。もう18年前のことです」
_「そうか…」
_「明日から捜査を始めよう。今日は、もう遅い」
_「ありがとうございます」
ルイは、貸家へと案内される。
_「ここをお使いください」
_「わかった。ここへは、誰も近づけさせるなよ」
_「はい?」
_「”近づいた者は殺す”と村の者に伝えておいて」
_「は、はい。わかりました」
サッササ。
遠ざかる足音。
_「・・・さてと。ベル、犯人は解ったかな?」
_「・・・分かるわけないでしょ」
_「そうか。僕は、分かったよ」
_「だれなの」
_「それは…教えられないな」
_「犯人を殺すんじゃなかったの?」
_「君は、僕を止めたいんでしょ」
_「!、さあ。ね」
_「今回は、僕も証拠が出てこないと、人殺しは出来ない」
_「だから、ベル。僕の為に、証拠、探してきてくれない?」
_「・・・わかった。集める」
_「へー。僕に、協力してくれるんだ」
_「犯人を止めるほうが、先だから」
_「随分と、素直だね…まあ、隠しても、無駄だからね」
_「君が見えるのは、僕だけなんだから」




