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幽霊人間と殺人鬼  作者: 真知コまち


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4話 村人は踊る

~登場人物~

 主人公~~ベル

 貴族の息子~~ルイ

 村の若者~~トーマス

 村長~~カール

 死んだ村人の妻~~キャシー


_(〘ルイ〙)「今回は、付いてこなくても構わない」

_(〘ベル〙)「どうして?」

_(〘ルイ〙)「人が死ぬところは、見たくないんだろ?」

_(〘ベル〙)「見たい人は、いないと思うけど」

_(〘ルイ〙)「それに…俺を止める理由は、無い」

_(〘ベル〙)「・・・そうだね」

_(〘ルイ〙)「姿が見えないベルが居れば、犯人を見つけるのも、楽なんだが…」

_(〘ベル〙)「もしかして…付いて来てほしいの?」

_(〘ルイ〙)「違う!一人だと、話し相手がいないだろ…」

_(〘ベル〙)「…さびしいの?」

_(〘ルイ〙)「そういう訳では・・・」

_(〘ベル〙)「ふ~ん」

_(〘ルイ〙)「・・・事件解決に協力してくれ」

_(〘ベル〙)()()?」

_(〘ルイ〙)「協力してくれないか」

_(〘ベル〙)「まあ、いいでしょう。わたしが、力を貸してあげる」


_(〘ルイ〙)「よし。出発だ」

   一人、馬に跨るルイ。

_(〘ベル〙)「わたしは、歩きなの?」

_(〘ルイ〙)「馬をすり抜けるんだから、仕方がないだろ」

 _(〘執事〙)「忘れ物ですよ~」

   走って来る執事。

 _(〘執事〙)「これを!」

   鞘に収められた、ナイフを二本、手渡す。

_(〘ルイ〙)「・・・ありがとうございます」

 _(〘執事〙)「行ってらっしゃいませ。どうかご無事で」

_(〘ルイ〙)「ああ。はっ」

   ルイは、隣町へと馬を走らせた。


   篝火で輝く町が近づく。

_(〘ベル〙)「この町、明るすぎない?」

_(〘ルイ〙)「ああ。異常だな」

   馬を降り、おそるおそる、村に足を踏み入れる、ルイ。

   道には、火がくべられた、トーチが並ぶ。

 _(〘トーマス〙)「だれだ!」

   殺気だった青年の声。

_(〘ルイ〙)「村長に呼ばれて、来た者だ」

 _(〘トーマス〙)「そうか…」

    バッ、ササ。

  突然、棍棒を手に持った青年が、ルイに襲いかかった。

_(〘ベル〙)「危ない!

   振り下ろされた棍棒を、交わすルイ。

_(〘ルイ〙)「何をする⁉」

 _(〘トーマス〙)「この身のこなし…狩人で間違いないな」

_(〘ベル〙)「狩人?」

 _(〘トーマス〙)「付いてこい」

_(〘ルイ〙)「・・・ああ」

   青年に案内されるまま、大きな家の前に着く。

 _(〘トーマス〙)「着いたぞ。入れ」   

 _(〘カール〙)「あ~これは、これは。お早い到着で…ただ」

_(〘ルイ〙)「村長、来てはいけなかったか」

 _(〘カール〙)「いえいえ。そういうわけでは」

  _(〘キャシー〙)「きゃーー」

  「!!」

_(〘ベル〙)「叫び声?」

_(〘ルイ〙)「まさか…」

 _(〘トーマス〙)「やられた!」

 _(〘カール〙)「またか…」

 _(〘トーマス〙)「行きましょう」

   村長に案内され、叫び声が聞こえた方へ向かう。

   そこには、身体を真っ二つに引き裂かれた男性の死体と、側で泣き叫ぶ女性がいた。

  「ああ~あなた。そんな、、」

 _(〘カール〙)「あれほど、夜は、出歩くなと言ったのに、なぜ!」

 _(〘キャシー〙)「忘れ物をしたから、どうしてもって。私は、止めたのに…」

 _(〘キャシー〙)「今日は、私の誕生日だったのに。もう…ああ~」

   傍らには、宝石の付いたネックレスが落ちていた。

_(〘ルイ〙)「この傷は…」

 _(〘トーマス〙)「人狼ですよ」

_(〘ルイ〙)「人狼?」


_(〘ルイ〙)「それは、都で噂になった、あの…」

 _(〘トーマス〙)「ええ。2年前、都で起きた殺人事件です。死体は、二つに裂かれ、目撃者は、人狼を見たと証言した」

_(〘ルイ〙)「正しくは、毛皮を血に染めた人物だったはず…」

 _(〘トーマス〙)「身体を二つに裂くなんて、人間には出来ませんよ」

_(〘ルイ〙)「だから、噂では、人狼に換わっていたのか」

 _(〘カール〙)「その後、各地で人狼による事件が起きるようになりました」

 _(〘カール〙)「そして先日、この村にも…」

_(〘ルイ〙)「人狼が現れた」

 _(〘トーマス〙)「お願いします。どうか人狼を殺してください」

 _(〘カール〙)「おい!この方は、商会のご子息様だぞ」

 _(〘トーマス〙)「えっ狩人じゃないのか」

_(〘ベル〙)「ルイは、狩人に間違われていたんだ…」

 _(〘カール〙)「村の者が大変失礼いたしました。ただ…我々では、事件を解決できません」

_(〘ルイ〙)「村の者を疑うことは出来ない。だから、部外者に犯人を捜してほしいと」

 _(〘カール〙)「…そうです。このままでは、納期のほうも…」

_(〘ルイ〙)「分かっている。こちらも、作業が遅れては困る」

_(〘ルイ〙)「犯人は、我々が捜そう」

 _(〘カール〙)「我々?」

_(〘ベル〙)「わたしとルイ以外に、誰か居るの?」

_(〘ルイ〙)「う、うんっ。何でもない。それで、犯人に心当たりは、あるのか?」

 _(〘カール〙)「・・・」

_(〘ルイ〙)「あるんだな」

 _(〘カール〙)「昔の話です」


 _(〘カール〙)「この村に、ある女がやって来ました」

 _(〘カール〙)「戦争で夫を亡くし、都で暮らせなくなったから、村に移住したいと」

 _(〘カール〙)「移住には大歓迎だったのですが、当時の村は、女性が働く仕事がなかった」

 _(〘カール〙)「この村でも女一人では、とても暮らしていけず、村の男に貢がせることで、食いつないでいました」

 _(〘カール〙)「しかし、村の男は、女を巡って争いを繰り返すようになりました」

 _(〘トーマス〙)「見かねた村長は、その女を追放しました」

 _(〘トーマス〙)「女は、あっさりと出て行きましたが…」

 _(〘カール〙)「女が村を出た後、女を巡り揉めていた男の妻たちが、次々に亡くなったのです」

 _(〘カール〙)「当時は、呪いだと思っていましたが…」

 _(〘トーマス〙)「あの女が、人狼だったのかもしれません」

 _(〘カール〙)「死んだ妻も、あの女が…」

_(〘ベル〙)「はっ?なんでもかんでも、その女のせいにしているけど、悪いのは、自分たちじゃない!」

_(〘ルイ〙)「・・・その女性を追放したのは、2年前のことか」

 _(〘トーマス〙)「いえ。もう18年前のことです」

_(〘ルイ〙)「そうか…」

_(〘ルイ〙)「明日から捜査を始めよう。今日は、もう遅い」

 _(〘カール〙)「ありがとうございます」

   ルイは、貸家へと案内される。

 _(〘カール〙)「ここをお使いください」

_(〘ルイ〙)「わかった。ここへは、誰も近づけさせるなよ」

 _(〘カール〙)「はい?」

_(〘ルイ〙)「”近づいた者は殺す”と村の者に伝えておいて」

 _(〘カール〙)「は、はい。わかりました」

    サッササ。

   遠ざかる足音。

_(〘ルイ〙)「・・・さてと。ベル、犯人は解ったかな?」

_(〘ベル〙)「・・・分かるわけないでしょ」

_(〘ルイ〙)「そうか。僕は、分かったよ」

_(〘ベル〙)「だれなの」

_(〘ルイ〙)「それは…教えられないな」

_(〘ベル〙)「犯人を殺すんじゃなかったの?」

_(〘ルイ〙)「君は、僕を止めたいんでしょ」

_(〘ベル〙)「!、さあ。ね」

_(〘ルイ〙)「今回は、僕も証拠が出てこないと、人殺しは出来ない」

_(〘ルイ〙)「だから、ベル。僕の為に、証拠、探してきてくれない?」

_(〘ベル〙)「・・・わかった。集める」

_(〘ルイ〙)「へー。僕に、協力してくれるんだ」

_(〘ベル〙)「犯人を止めるほうが、先だから」

_(〘ルイ〙)「随分と、素直だね…まあ、隠しても、無駄だからね」

_(〘ルイ〙)「君が見えるのは、僕だけなんだから」

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