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幽霊人間と殺人鬼  作者: 真知コまち


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3話 警官は踊る

~登場人物~

 主人公~~ベル

 貴族の息子~~ルイ

 ルイの父~~ジャック

 幼馴染(警部補)~~マルコ

 マルコの父(警視)~~ジョン

 ジョンの後輩(警部)~~スコット


_(〘ベル〙)「あっああーーそんな、だめ!起きて、起きてよ」

   私は、彼女の死体を抱きしめる。

_(〘ベル〙)「どうして、どうしてこんな事をするの、ルイ!」

   死体の瞳に映るルイは、血の付いたナイフを終い、その場を後にする。 

_(〘ベル〙)「ねえ、待って。止まって!」

   コートを掴もうとする手は、無情にも、すり抜けていく。

_(〘ベル〙)「待って!…ごめんなさい」

   そっと、死体を地面に降ろし、ルイの後を追った。

   ルイは、速足で、ぼろぼろの空き家へと向かう。

_(〘ルイ〙)「・・・」

_(〘ベル〙)「待って。待っててば」

  ギーバタン!

   勢いよく閉められた扉に、足が止まる。

   これはルイの、誰も寄せ付けないと言う、意思表示なのかもしれない。

_(〘ベル〙)「だめよ。ひるんじゃ」

   ゆっくりと扉を抜けて、暗い部屋の中に居る、ルイを捜した。

_(〘ベル〙)「ルイ。どこにいるの…」

    バリンッ

_(〘ルイ〙)「ああ。あっああーー」

   部屋の奥から、激しい物音と叫び声が、聞こえてくる。

    バッ

_(〘ベル〙)「ルイ!」

   部屋は乱れ、暴れ狂ったルイは血と涙を流し、地に崩れ落ちた。

_(〘ベル〙)「・・・」

   複雑な感情を押し殺す…

  すり抜ける、ルイの身体を、優しく抱きしめた。

 



_(〘ジョン〙)「マルコ!こっち来い」

_(〘マルコ〙)「はい」

_(〘ジョン〙)「この傷を見てみろ」

_(〘マルコ〙)「えっ・・・うぷっ」

_(〘ジョン〙)「おい!吐くなよ」

_(〘マルコ〙)「はううっ。はい」

_(〘ジョン〙)「そろそろ、死体ぐらい慣れろ!」

 _(〘スコット〙)「そうですよ。そんなことでは、いつまで経っても、警視に追いつけませんよ」

_(〘ジョン〙)「おいおい。自分の息子に追いつかれてたまるかよ」

_(〘マルコ〙)「すみません。必ず、追いついて見せます」

 _(〘スコット〙)「追いつくつもりなんだね…」

_(〘ジョン〙)「まずは、一人前の警官を目指せ。話は、それからだ」

_(〘マルコ〙)「はい!」

_(〘ジョン〙)「亡くなったのは、10~30代の女性。身なりからして…貴族か商家の娘だろう」

 _(〘スコット〙)「心臓を一突き。例の殺人鬼ですかね…」

_(〘マルコ〙)「えっそれって!」

_(〘ジョン〙)「・・・しばらく静かだったが、また動きだしたのか」

_(〘マルコ〙)「父さん。自分も、捜査に加えてください」

_(〘ジョン〙)「現場では、父さんと…」

   真剣な眼差しを向けるマルコ。

_(〘ジョン〙)「わかった。各自、目撃者がいないか、聞き込みを行え!」

_(〘マルコ〙)「はい」

 _(〘スコット〙)「警官大量殺人事件に、殺人鬼事件。物騒な世の中ですね」

_(〘ジョン〙)「・・・ああ」

   雲一つ無い、快晴の空を見上げる。


_(〘ベル〙)「・・・朝」

   目を覚ましたベル。

   気持ち程度の、クッションとブランケットが、付近に添えてあった。

_(〘ベル〙)「また、眠ってしまった…」

_(〘ルイ〙)「起きたか。もう、昼過ぎだぞ」

   昨夜の面影が無い…

_(〘ベル〙)「ふー」

   ルイの様子を見て、安堵する。

_(〘ベル〙)「こんな時間まで、ここに居たら、屋敷の人が心配するんじゃない?」

_(〘ルイ〙)「心配はされないと思うが、仕事が山積みになっているだろうな」

    コンコンコンッ

_(〘ベル〙)「だれだろう?出ないの、んっ」

   ルイは、唇を手で押さえ、静寂を促す。

 _(〘マルコ〙)「すみません。事件のことで、お話しをお聞きしたいのですが」

_(〘ベル〙)んえん(事件)?・・・んいあん(警官)

_(〘ルイ〙)ここは(ヒソヒソ)、父が所有する倉庫として、扱われている。入っては来ないはずだ」

 _(〘警官仲間〙)「おい。ここは、誰も住んでいない。次に行くぞ」

 _(〘マルコ〙)「あ、はい」

    扉の前から遠ざかる足音。

_(〘ルイ〙)「行ったみたいだ」

_(〘ベル〙)ふぁいえん(離してよ)!もう」

_(〘ルイ〙)「ああ。すまない」

_(〘ベル〙)「て、あれ?なんで…わたし、口を押さえられて…」

_(〘ルイ〙)「触れられるようになった?」

   口元に右手を近づける。

  しかし、ルイの手は、顔をすり抜けてしまった。

_(〘ベル〙)「だめ…みたい」

_(〘ルイ〙)「意識的には触れられないのか…無意識にだったら…」

   ルイの左手が頬を通過する。

_(〘ベル〙)「今、叩こうとした!」

_(〘ルイ〙)「手を、ぶつけてみただけだ」

_(〘ベル〙)「最低」

_(〘ベル〙)「でも、なんでいきなり、触れられるように?」

_(〘ルイ〙)「もしかしたら…成長しているのかもしれない」

_(〘ベル〙)「成長?幽霊なのに?」

_(〘ルイ〙)「いずれ、人間に戻る可能性もある…」

_(〘ベル〙)「本当に!」

_(〘ルイ〙)「あくまで、可能性の話だが…」

_(〘ベル〙)「可能性…人間に戻れるかも」

   喜ぶベルの横顔に、ルイは悲痛の眼差しを向けていた。

_(〘ルイ〙)「とにかく、帰るぞ」

_(〘ルイ〙)「裏手に馬車を回させる。そこからなら、出入りしても見つからないだろう」

    ヒヒッン、ガラガラガラ

 _(〘執事〙)「お待たせいたしました。お乗りください」

_(〘ルイ〙)「さあ、乗って!」

   無意識に、左手を差し出しエスコートする、ルイ。

_(〘ベル〙)「あ…」

   今なら、掴めるかもしれない…

 _(〘執事〙)「何をしておられるのです。早く!」

_(〘ルイ〙)「あっ…はい、そうですね。すみませんでした」

_(〘ベル〙)「ああ…」

   わたしの姿は見えていない。馬車にも乗れない。

   ルイの乗った馬車は、勢いよく走りだした。

_(〘ベル〙)「はー。疲れないとは言え、同じ距離を、同じ景色で、同じ時間。憂鬱だな~」


   月で照らされた屋敷が、ベルを迎える。

_(〘ベル〙)「着いた~」

_(〘ベル〙)「ルイは、仕事があるって言ってたし…屋敷の中を探検しちゃおうかな?」

   昨夜の様子を見て、確信したことがある。

    ルイは、人殺しを望んでいない。

  でも、ターゲットを決めて殺しているみたいだった。

  殺人は、ルイの意思で行っている?

   屋敷を探索するベルは、大きな書斎の部屋を、見つけた。

_(〘ベル〙)「ここは…お父さんの部屋かな」

_(〘ベル〙)「棚に本がいっぱい。ルイの部屋と同じだ~」

   机の上に置かれた、写真立てを、見つける。

_(〘ベル〙)「わあ~ルイの子どもの頃だ。でも、何か雰囲気が違うような…」

  ドンッ

 _(〘ジャック〙)「誰だ!」

   ビクッ

 _(〘ジャック〙)「・・・気のせいか」

_(〘ベル〙)「ふー。よかった、姿が見えてなくて。今のうちに」

   そおっと部屋を後にした、ベル。

_(〘ベル〙)「なぜか、すごく見られていた気がする。霊感?」

_(〘ルイ〙)「ベルか。遅かったな」

_(〘ベル〙)「うん。いろいろと…あったの」

_(〘ルイ〙)「?」

_(〘ルイ〙)「すまないが、話しを聞く時間はない」

_(〘ベル〙)「どうして?」

_(〘ルイ〙)「今から、隣町まで行く」

_(〘ベル〙)「今から!もう夜だよ」

_(〘ルイ〙)「特別な仕事が入った」

_(〘ベル〙)「特別?」

_(〘ルイ〙)「最近、隣町では、殺人事件が相次いでいるらしい」

_(〘ベル〙)「ルイの仕事と、何か関係があるの?」

_(〘ルイ〙)「亡くなった者は、この商会の工場で働く者。または、その関係者だった」

_(〘ベル〙)「偶然・・・じゃないよね」

_(〘ルイ〙)「このままでは、工場が立ち行かなくなる。その前に、事件を解決してほしいそうだ」

_(〘ベル〙)「だから、特別な仕事なんだ」

_(〘ルイ〙)「いや違う。事件の解決は、責任者として、当然の仕事だ」

_(〘ベル〙)「違う?じゃあ、なにが」

_(〘ルイ〙)「”俺が犯人を殺す”ことで、特別な仕事になる」

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