13話 夜は踊る 【フリガナ版】
~登場人物~
主人公~~ベル
貴族の息子~~ルイ
ルイの父~~ジャック
_「う~ん」
壁に寄りかかって寝ていたベルが、目を覚ます。
_「わたし…ルイを運んで…執事さんを…」
村を出た後の、朧げな記憶を辿る。
三日月が雲で見え隠れする空を見上げる。
どれぐらい、寝てたんだろう?
ルイの熱は、あの傷が原因…
_「わたしのせい…よね」
応急処置をした自分を責め、ルイを思い俯く、ベル。
_「大丈夫よね!」
ルイの無事を信じたいベルは、屋敷の扉を開け、ルイの寝室へと向かった。
_「医者は、何と言っている?」
_「夜を越せるか怪しいと…」
_「そんな…」
部屋に向かっていたベルは、廊下で話す父親と執事《〘執事〙》の会話を、偶然きいてしまう。
_「そうか。私は、仕事に戻る。看病は、任せたぞ」
_「・・・よろしいのですか」
_「横に居たところで、傷が治るわけでは無いだろ」
ルイの部屋に背を向け、自室へと戻る、ジャック。
_「…はい。かしこまりました」
_「酷い…」
何あれ!
まるで、ルイが大事じゃないみたい!
ジャックの部屋に置かれていた写真が、ベルの脳裏に蘇る。
_「ルイは、本当の息子じゃないの?」
写真の記憶を考えながら、ルイの眠る部屋に入ろうとする、ベル。
_「痛い!」
壁をすり抜け様としたベルは、頭を壁にぶつけた。
_「また、失敗した…」
扉の前には、ルイを心配する侍女達が、集まっている。
皆の前で、扉を開けるわけには…
風も無く動く扉を、想像する。
_「騒ぎを起こすと、寝ているルイの体に、響くよね?」
水を取りに行った執事が、扉を開けるまで、廊下に座り待つ、ベル。
じっと座るベルは、人を殺していた時の、ルイを思い出す。
ルイは、使命に沿って、人を殺していた。
ルイが使命を失えば、わたしは消える。
でも、今、消えるわけには…
_「ルイを止めることが、わたしの使命だったはずなのに…」
侍女たちが祈る廊下で、一人考え込む、ベル。
そもそも、わたしに、ルイが助けられるの?
幽霊に、傷を治す特殊能力なんて無い。
_「ルイに会えても、何も出来ないじゃん」
ベルは、絶望的な状況に下を向く。
_「皆さんは、部屋に戻りなさい。明日の仕事に、響きますよ」
水桶を持って来た執事が、侍女達を追い払う。
_「・・・お会いになりますか」
廊下に座るベルに、突然、執事が声を掛ける。
_「…わたしの事が、見えているの⁉」
_「申し訳ございません。声は、聞こえていないのです」
_「そう…よね…」
_「ですが、死神様が、ルイ様のお傍に居られたことは、ずっと見ておりました」
_「し、死神!」
_「ルイ様は、悪い…良い人間なのです。どうか、ルイ様を救って頂けますんか。お願い致します」
_「救うって…わたし、死神じゃないんだけど…」
_「どうか、どうか…」
ベルに頭を下げ、必死に懇願する執事。
_「・・・」
立ち上がったベルは、ルイの眠る部屋へと向かった。




